水着と鬼
番外編もこれで終わりです。連載中から完結済へ再度変更しました。
今年の水着は水玉が入ったハイカラ系が流行らしい。裕二が偉そうに語っていた。
「なんだもう出てきていたか。すまないな。」
「いえいえ、問題ありま・・・。」
私は持っていた浮き輪をつい落としてしまった。裕二はもう鼻血が出てる。それもそうか、学園のナンバー1とナンバー2がここに居るし、栞や響さんも男子人気があるようだし。
会長はシンプルに黒色のビキニ。ただ、単純なものではなくきちんとフリル的なヒラヒラが付いててセクシーさが出てる。白色のツバの大きな帽子も似合っている。
高橋先輩はかなりボーイッシュな水着だ。ビキニがまるで下着のように見える。短パンを穿き、前は全開。胸元は紐タイプで大人受けするイメージしかない。はやりの水玉のハイカラをアクセントに使っていておしゃれな着こなしだ。
栞は・・・。ん?なんで隠れているんだ?
「大和君、裕二君こっち見ないで!恥ずかしい。」
「何言ってんだ栞!俺たちの中だろ?今更何恥ずかしがってるんだ。」
裕二はそう言いながら栞に詰め寄る。端から見たら変態に襲われている少女って所だ。
「こーら。やめなさい。」
誰が止める訳でもなかったが、止めたのは荻原先生だ。私はじっと見ていただけ。正直栞の水着姿は期待していた部分もあるし、裕二と同じ気持ちなのかもしれない。
先生は会長とは逆で、白の水着だ。ただ、ビキニではなく、V型でへそあたりから肩まで露出が激しい。先生もかなりのプロポーションで、周りの男性が釘付けになっているのが見て分かってしまうほどだ。
「先生、その水着は・・・。」
「良いでしょ?昔やんちゃしてた時のなんだけど、着れたから持ってきちゃった☆」
持ってきちゃったじゃないと思ったのは私だけじゃないはず。会長や高橋先輩のインパクトをそのまま掻っ攫っていってしまった。
後は響さんだけだが・・・。絵美は今日は夏期講習でいけないようで、昨日は泣きじゃくっていたっけか。
響さんが出てきた。が、なんて言うか、え?小学生が着るような水着を着ている。色は流行通り水玉のハイカラ系。でもどう見てもスク水にスカートフリルが付いただけの水着なんだ。会長はこれをどう思ってるんだ?
「響さん・・・、それ・・・。」
「可愛いですよね!この水着!」
この水着は罰ゲームの類いではなく、自ら選んだものだったかー!このセンスはある意味エロティックな感じになるが・・・。いいのだろうかこれ?
とりあえず響さんの意見に同調することにした。
「そうだね。とっても似合ってるよ。」
ニコッとした表情で私にありがとうございますと返事をしてくれる響さん。年下好きがここに居たら卒倒してしまうほどの笑顔だった。
「では皆集まったことだし、今日は一日がっつり遊び倒そう!!」
「会長、高峰が居ませんが・・・。」
「いや、日高ならそこに居るぞ?」
私の横に裕二、そしてその横に高峰が競泳用水着でスタンバイしていた。
「その水着・・・。本気?」
「何を言っているんだ!この水着は高性能で最も速く泳ぐ事に長けているのだ!!」
「速くって・・・、何かするのか?」
「鬼ごっこ。」
私は会長の顔を見た。そう、おそらくこれは会長が望んだ事なのだろうと感じていたのだ。
会長はニコッと笑うと右手を上に挙げた。
「日高の言うとおりだ。これから鬼ごっこサバイバルを行う!ルールは簡単だ。プールの外に出ることは禁止だ。そして鬼に捕まった人は鬼になって残りの人を追いかける。最後の制限時間30分で最後に生き残っていた人の勝ちだ。最初の鬼は私がしよう。それでは5分間で逃げるだけ逃げるがいい!!」
会長の口調がRPGに出てくる魔王みたいになってる。
私は5分でどこに隠れるかを考えた。逃げるといっても逃げられる範囲は広くない。つまり、30分誰にも見つからないような場所に隠れるのが最もベストだと考えた。
様々なアトラクションがある中私は制限時間いっぱいまで隠れる場所を探した。最終的にベストな隠れ場所はなかったものの、最初のスタート付近に隠れて鬼の動向を見極める事がいいと考えた。
会長ならどうするか。私が会長ならまず、近場より遠くに居る人から攻める。道中誰か居れば捕まえて仲間にすればいいだけだし効率が一番いい。
5分が経過したアラームが会長のところから聞こえる。そして歩いてプールに近づいてくる足音も。
「さて、誰から仲間にしていこうかな・・・。体力のありそうな原田君あたりを最初に仲間に出来れば時間以内は容易かもしれないな。よしあのアトラクション付近を探してみるか。」
会長は案の定遠くにあるアトラクションを目指して動き出した。
私は会長の後を追うようにゆっくり、本当にゆっくりと背中を追っていった。しかし、途中カーブのところで会長の姿が見えなくなると見失ってしまった。
次の瞬間。
「橘君捕まえた!」
先輩の手が私の肩に触れていた。一体どこに隠れていたんだ?私はかなりゆっくり尾行していたはずなのに。
「君がスタート地点付近にいたのはすぐ分かったよ。だからあえて作戦を口にしておびき寄せたのだよ。」
「会長に一杯食わされましたね。不覚です。」
「はっはっ!君もこのゲームを楽しんでくれているようで何よりだ。それで、今から君も鬼に加わるのだが、作戦を頼みたい。」
私は先輩にある作戦を頼まれた。
◇プール西エリア
うろうろする栞を見つけた。かなり周りを警戒しているようだ。
「おい、栞~。」
私は小声で呼びかけたが、なかなか反応がない。気づいていないな?
「おーい!栞!」
ビクンと体を揺らし辺りを見渡す。私に気づいて逃げようとするので追いかけた。
「まてまて、私は鬼じゃないぞ!会長の動向がつかめたから見かけた人に伝えてるんだ。さっき高橋先輩にも教えたばかりだ。」
「なんだ、びっくりさせないでよ。まだ5分ぐらいしか立ってないけど間抜けな人なら捕まっててもおかしくないし・・・。」
私は栞の肩をポンと叩いた。
「栞つかまーえた♪」
「え!?嘘!?本当に?」
私は栞にVサインをして私は鬼だと伝えた。
会長の作戦通りだった。
『君に頼みたい事があるんだ。南條君を探してまだ捕まってない降りをして捕まえて欲しいんだ。これは君じゃないとおそらく成功しないだろうから頼んだぞ?』
会長は鬼ではないことを相手に信じ込ませ捕まえていく作戦をとっている。これには、協力者がいるのだ。会長はまだ誰も捕まえれてない鬼を演じ、協力者がまだ捕まってない人を演じ仲間を増やしていく。
私は栞に作戦を伝え、お互い別行動を取ることにした。
この作戦は思った通りの展開を迎えた。一番会長を知っている高橋先輩が全員を警戒して逃げ続けており、そして最後の一人になってしまった。運動能力で勝るこちらが取り囲み、半ば強制かと思うほどの圧倒的戦力差で鬼の勝ちになった。
「やっぱりそんな事考えてたんだ!かげちゃんらしい。」
高橋先輩はお昼の焼きそばを食べながら会長に鬼ごっこの作戦を聞いていた。
午後からは各自各々自由行動になり、私は思う存分遊んだ。
日が暮れ始め、大分疲れだした頃。
「そろそろ皆疲れたでしょ?帰りにおいしい焼き肉でも食べて帰りましょ。私がおごってあげるわ。」
荻原先生の太っ腹発言に全員が元気を取り戻した。勿論私も。
今日という日はかけがえのない日になっただろう。会長達女性陣の水着も拝めたし、プールではしゃいだし、最後は焼き肉までおごってもらって。なんていい日だったんだろう・・・。これが夢とかじゃなければいいな・・・。
「お兄ちゃん!起きてよ!部活行くんじゃないの?」
目の前に絵美がいた。
え?ええ?さっきのは夢?嘘・・・そんな事、ないよね?
「昨日の話聞かせてもらってないんだから!速く部活言って皆の話聞きたい!」
絵美が昨日の話を聞きたがっている。つまり昨日はあったってことか!・・・っほ。
私の夏休みと部活はまだまだ続く――。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
栞の水着は各々の想像にお任せします。




