6 期待効用理論
今回は問題形式で1つだけです。こんな感じに日々考えられればベストな選択ができるんでしょうか・・・。
「じゃあ、大和君は次お休みってこと?それとも次行動してその次から休みになるのかな?」
「さぁどうだろう。アナウンスはどうなってるか分かってるだろうけど、人工知能ではないから分からないな。」
当然次は行動できると考えるのが普通だろう。2巡目で分かる事だ。
「次は響の番だぞ。さぁ何が出るかな?」
「プレイヤー7の方はルーレットを回してください。」
「わわっ!ま、回します~!!」
会長に煽られ、アナウンスに急かされ驚く響さん。
響さんの出した目は絵美と同じ4だった。
「レ、レッドゾーン・・・・・・。」
かなり落ち込んでいるようだ。普通の人生ゲームだとマスの効果は常に同じになるはず。つまり普通の人生ゲームと同じなら絵美と同じ問が飛んでこないといけない。
「レッドゾーンの貴方には次の問いの状態を回避する選択肢を選んでもらいます。選択肢は6択です。」
「6択!?」
この場にいた全員が選択肢の多さに驚いた。
『高校生のAは朝起きていつもテレビで天気予報を確認する。今日の降水確率は50%だった。Aの通学路は交通量が多い道があり、小学生や中学生も通る道である。前日深夜に少し雨が降ったようだが、現在は降っていない。Aは傘を持って行くべきかそれとも持っていかないのか、以下の選択肢から回答せよ。』
Ⅰ持って行くが、帰りに置いて帰る。
Ⅱ持って行かず、降りそうなら近くのコンビにで購入する。
Ⅲ持って行き、細心の注意を払いながら登校する。もちろん登下校とも。
Ⅳ持って行かず、降ってきた場合友人に入れてもらう。
Ⅴ持って行き、帰りに忘れて帰る。
Ⅵ持って行かず、途中雨が降ってきたため急いで学校へ向かう。帰りももちろん急いで帰る。
「なんなんですか、これ。似た様な答えが多いですぅ。」
「ひーちゃん、あせらずにね。落ち着いて答えを探そ?」
「ひろちゃん・・・。」
「とは言ってもよ。簡単に考えれば雨が降るか降らないかの50:50で傘をまず持っていくか行かないかの選択からですよね?」
「そうね。よく試験とかでもこの手の問題は出てくるわね。じゃあまず持っていくべきかどうか考えてみましょう?」
このゲームの面白いところは人生ゲームという個々の対戦ゲームなのに思考を共有する協力プレイが成立してしまう事だ。現に今、正に傘を持っていくべきか話し合いが始まろうとしている。
「私は持っていくべきだと思いますよ。」
「私も橘君に同じ意見ですね。」
「橘君も日高も同じ意見か。しかし、なぜだ?」
「それは、確率が同じなら傘を持っていけば降ってきても大丈夫じゃないですか。それに交通量が多い道を通るという事は車から飛んでくる水も防げそうですし。」
「でもそれだと傘が邪魔じゃない?たしかに持っていることにこした事ではないけれど。コンビニで買うって選択肢もあるわけだし、その時に臨機応変に対応するのも手よ?」
「先輩の言うとおりですね。大和君とそこの変態は間違っているわ!」
「まぁ南条君、まだ間違っているとは決まっていないぞ?こう考えるのはどうだ?」
傘を持ち運ぶ-10、持ち運ばない10
水がかからない10、水がかかる-10
コンビニで傘を買う-10、買わない10
急いで登下校-10、ゆっくり登下校10
友達に入れてもらう-10、自分の傘で帰る10
「こんな感じに数値化してみると見えてくるんじゃないか?まずⅠから考えてみよう。」
会長が数学の先生に見えてきた。
雨が降った場合
Ⅰ持って行く(-10)が、帰りに置いて帰る(-10)。
Ⅱ持って行かず(10)、降りそう(-10)なら近くのコンビにで購入(-10)する。
Ⅲ持って行き(-10)、細心の注意を払いながら(10)登校する。もちろん登下校(10)とも。(10)
Ⅳ持って行かず(10)(-10)、降ってきた場合友人に入れてもらう。(-10)
Ⅴ持って行き(-10)(10)、帰りに忘れて帰る。(-10)
Ⅵ持って行かず(10)、途中雨が降ってきたため急いで(-20)学校へ向かう。帰りももちろん急いで帰る。
「雨が降った場合だと、圧倒的Ⅲが優位ですね。」
雨が降らなかった場合
Ⅰ持って行く(-10)が、帰りに置いて帰る。(20)
Ⅱ持って行かず(10)、降りそうなら近くのコンビにで購入する。(20)
Ⅲ持って行き(-10)、細心の注意を払いながら登校する。もちろん登下校とも。(20)
Ⅳ持って行かず(10)、降ってきた場合友人に入れてもらう。(20)
Ⅴ持って行き(-10)、帰りに忘れて帰る。(20)
Ⅵ持って行かず(10)、途中雨が降ってきたため(-10)急いで学校へ向かう(-10)。帰りももちろん急いで帰る。
「これは6を除いて殆どの選択肢がプラスになってしまいますね。」
「じゃあ全てをトータルで考えてみよう。」
Ⅰ-10
Ⅱ20
Ⅲ30
Ⅳ20
Ⅴ0
Ⅵ-20
「トータルで考えてもⅢの選択が無難と言うわけですね。」
「そうなるな。」
「数字で表すとこんなに明確に分かるものなんですね。」
「南条君、そうなんだよ。これは効用と言って、どういった効果が現れるかを推測するものなんだ。今回は統一して10という数字とー10という数字を使ったが、細かくすればもっと明確に差が出たかもしれない。」
会長の説明に皆「へぇ~」や「おぉ」など声を出して答えていた。
「じゃあこれはⅢを押すって事でいいの?」
「そうなるわね。」
栞に肩をポンと叩かれ、響さんはⅢのボタンを選択した。
「ナイス選択~♪これを選べたあなたにはボーナスマスをプレゼントします。おめでとうございます。」
「わぁ~。ボーナスマスだ。やった!」
喜ぶ顔を見ていると会長の妹だとつくづく思い知らされる。『可愛い』のだ。
もうちょっとだけこのゲーム続きます。お付き合い下さい。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回の最新話更新は午後10時を予定しています。
よければブックマーク、感想等お待ちしています。




