挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

528/569

一周年記念番外編「二人の異世界旅行中編①・目指せハワイ」


 クロと共に日本にやってきて早一週間。岡山に関しては十分に堪能することが出来た。しかし、残念なことに、これで俺が案内できる場所というのは終了した……そして、次はどこへ行こうかという内容に頭を悩ませることになった。
 というわけで、現在俺とクロはホテルの一室で体調のガイドブックを眺めていた。
 ここから先は俺にとってもほぼ初見。ならば、クロが興味を持った場所に行くことにしようと考えた。幸いなことにお金は使い切れないほどあるわけだし、大抵の場所には行くことが出来るはずだ。

 だが、なかなか行き先は決まらなかった。それは、クロが興味を持つような場所がない……というわけではなく、むしろ逆だ。
 『全部に行きたい』クロが、なかなか候補を絞れずにいるからだった。

「う~ん、ここもいいし、ここも楽しそう……あっ、ここもいいなぁ~」
「クロ、流石に全部行くのは無理だからね?」
「うん、分かってるんだけど……どこもすごく楽しそうで、行きたくなっちゃうね」
「あ~たしかに、ガイドブックって見てると行きたくなるよなぁ……」

 クロの気持ちはよく分かる。観光ガイドブックなんてあまり見る機会がなかったが、やはりどこも力を入れているのか、それぞれの特色を前面に押し出した内容は素晴らしい。
 お勧めスポットや食べ物なんてのを見てると、行ってみたいと思ってしまう。
 だが、残り三週間という期限があるので、行く場所は絞らなければならない。まぁ、クロには残念だろうけど、いくつかの候補はまたの機会にしてもらおう。

 悩むクロに、俺が考えたいくつかの候補を伝えようと振り向くと……クロは、一冊のガイドブックを食い入るような表情で見詰めて沈黙していた。

「……クロ?」
「……ここだ。カイトくん! ここに行こう!」
「う、うん? 候補見つかったのか? そのガイドブックはどこの……」
「『ハワイ』に行こう!」
「……う、うん?」

 ハワイ? あれ? 日本以外のガイドブックも混ざってたのか? ま、まぁ、ソレはいいとして……ハワイか……。
 俺も行ったことはないが、興味はある。いい候補かもしれない。
 英語に関しては翻訳魔法もあるし、ハワイには日本語をしゃべれる人も結構多いと聞いたことがあるから、まぁ、なんとかなるだろう。
 有名な場所だから、ガイドブックとうの事前情報にもこと欠かない。飛行機の予約も……うん? 飛行機?

「……パスポートいるんじゃないかな?」
「パスポート?」
「あ~えっと、この世界では、別の国に行く時には特殊な身分証明が必要になるんだよ。で、習得には少し時間がかかったと思うから……すぐには無理かな? 10日ぐらいで出来るはずだから……いまから申請すれば間に合うと思うけど……」
「そ、そうなんだ……」

 あっ、ちょっとガッカリしてる。う~ん、でも、こればっかりはどうしようもないしなぁ……幸い、クロの身分照会はエデンさんのお陰で可能になってるから、作れることは作れる。
 まぁ、クロとしては肩透かしを喰らった気分だろうけど、ここは我慢してもらって……出来れば、今日か明日中に申請を……。

 俺がハワイに行くための準備に関して考え始めると、そのタイミングで突如室内に見知った方が現れた。
 十二単みたいな着物を着たその方は、非常に疲れた表情でなにかを差し出しながら口を開いた。

「……お二方のパスポートです。過去に遡って製作しましたので、発行日は前日になっております。手続きなども正規のもので行っているので、すぐに使用していただけます」
「……あの、天照さん? 大丈夫ですか? 滅茶苦茶疲れた顔してるんですけど……」
「……問題ありません。エデン様からお二方のサポートを命じられているのは妾です。その他、必要なものがあれば、なんなりと……ですが、出来ればクロムエイナ殿は、あまり派手な行動を控えていただけると……その、衛星カメラとかの記録を調整するのも妾なので……」
「う、うん、気をつけるね」

 現れた『地球の苦労担当』こと天照さんは、疲れた表情で話したあと、俺たちにパスポートを手渡してくる。

「月読さんが手伝ってくれたりは……」
「……仕事が増える未来しか見えませんので……」
「そ、そうですか……あの、よかったら、なにか食べます? お菓子とかありますけど……」
「いえ、お気持ちだけいただいておきます。それでは、妾はこれで……」
「あ、はい。お疲れ様です」

 苦笑を浮かべながら去っていく天照さんは、なんともいえない哀愁を漂わせていた。
 たぶんだけど、クロの戸籍とかを用意したのもあの方なんだろうなぁ……もちろん、エデンさんに丸投げされて……。
 今度、クロノアさんを紹介しよう。間違いなく気が合うはずだ。

 まぁ、ともかく、これでパスポートの問題も解決したわけだし、ハワイに行くための準備を進めることにしよう。
 それにしても、クロはなんであんなにハワイに行きたがったんだろう? う、う~ん……マカダミアナッツを使って新作ベビーカステラ、とかじゃないことを祈っておこう。



~今日のエデンママン~

エデン「異世界、二名、来訪、対応、一任」
天照「……は、はぁ、異世界より客人が二名来るので、対応を任せると……そういうことでしょうか?」
エデン「肯定」
天照「かしこまりました。しかし、一体どなたが……」
エデン「最愛、帰還、付属、怨敵」
天照「……快人様とクロムエイナ殿ですか、そうですか……超VIPですね。分かってはいることですが、対応に不備があれば?」
エデン「無能、不用、処分」
天照「……デスヨネー。あの、エデン様? 妾はその、エデン様の我が子にカウントは……」
エデン「思案……微妙。現時点、道具」
天照「……一応役に立つとは認識されていて、現時点と付いたことを喜ぶべきか、甘やかす気はないと告げられていることに嘆くべきか……それとも、血も涙もないエデン様が、快人様の影響で若干丸くなってることに驚くべきか……」
エデン「不敬」
天照「え? あっ、ちょっ……」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ