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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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誰にも負けない魅力のひとつなのかもしれない



 六王祭は、戦王、界王、死王、竜王、幻王、冥王の順番で主催者が変わる。現在は二日目が終了し、次は三日目……アイシスさん主催のお祭りだ。
 アイシスさんのお祭りは、聞いた限りでは巨大なフリーマーケットみたいな感じらしい。しかし、侮ることなかれ、出品者がとんでもないため、並ぶ品もフリーマーケットとは一線を隔している。

 収集家としても知られるアイシスさんは、希少な魔導書や失われた文明の資料など、その道の者からしたら垂涎の品はもちろん。世界に数えるほどしか存在しない希少宝石、すでに絶滅した魔物の剥製など、桁外れの値段が付くものを多く所持している。
 そしてアイシスさんは、今回その品のほとんどを手放すことを宣言しており、参加者たちは大量のお金を用意して明日に備えていた。

 しかも、出品者はアイシスさんだけではなく、他の六王も何点かずつ提供しているらしい。さらには、シロさんが伝説のワインであるシャローグランデと、神界でも最高級の紅茶であるグロリアスティーを少量提供したという情報も流れていた。
 そういった超高級品は中央広場で行われるオークションで競られるらしいが、二日目の終わりに会ったリリアさんは『破産者も出るのではないか』と予想していた。
 ちなみにリリアさんもオークションには参加するらしい。といっても、六王が提供した品を狙うわけではなく……なんか、限定品である竜王……マグナウェルさんの模型が欲しいそうだ。

 まぁ、俺もなにか欲しいものが見つかれば買うつもりだし、明日は本当に楽しみだ。
 しかし、その明日を迎える前に、俺には大きな試練が待ち受けていた。

「……カイト……痒くない?」
「あ、はい」
「……ちゃんと……綺麗にするね」
「ほ、ほどほどで……大丈夫ですよ?」

 柔らかく告げながらスポンジで俺の背中を擦るアイシスさん。そう、アインさんが提案した『翌日の祭りで一緒に回る人が俺と混浴する』という訳の分からないルールにより、現在俺はアイシスさんと一緒にお風呂に入っていた。
 昨日のリリウッドさんとの混浴も、相当きついものがあったが……アイシスさんはさらに強力である。

「……カイトと一緒……明日も……一緒……嬉しい」
「ぐふっ……」

 そう、アイシスさんの向けてくる純粋な好意が、俺の理性にもの凄いダメージを与えてくる。
 どう控えめに表現しても天使なアイシスさん、彼女の厚意は本当に純粋で汚れが無い。いまだって羞恥心とかそういうものはなく、ただただ俺と一緒に居られて幸せだと、なんの迷いもなく告げてくる。
 その破壊力は凄まじく、湯船に浸かるころには、俺の汚れた心は汚れ無き好意で焼き尽くされたように憔悴していた。

「……でも……カイト……明日……私と一緒で……大丈夫? ……迷惑じゃ……ない?」
「迷惑なんて、欠片も思ってません。アイシスさんと一緒に回るのが、今から楽しみです」
「……嬉しい……私も……ずっとずっと……楽しみにしてた……お揃い」

 なにこの天使、いますぐ抱きしめたい。
 はにかむように笑うアイシスさんは、それはそれは可愛らしく、反射的に伸びていた手を慌てて引っ込めた。

「……カイト……疲れてない?」
「全く疲れてないと言ったら嘘になりますが……それ以上に、昨日も一昨日もいろいろ新鮮で、すごく楽しいですよ」
「……そっか……カイトが楽しんでくれてて……よかった」

 ニコニコと、大好きオーラ全開で俺を見つめるアイシスさん。肢体が見えているわけでもないのに、滅茶苦茶ドキドキする。
 というか、アイシスさんは本当に、日に日に可愛くなるというか……正式に恋人になってから、いままで以上に好きだという気持ちを向けてくれるので、こうして二人きりになると妙に緊張してしまう。

「そ、そういえば、アイシスさん。お弁当ありがとうございました。とても美味しかったです」
「……カイトへの愛情……いっぱい込めた」
「あ、あはは……でも、本当に美味しかったです。毎日でも食べたいぐらいでしたよ」
「……カイトが食べたいなら……いつでも作る……次に作る時は……カイトのこと……いまよりずっと好きになってるから……もっと美味しく……作れると思う」

 心から幸せそうに告げて、もたれかかるように俺の方に頭を乗せてくるアイシスさんを見て、そっとその肩を抱く。本当に……可愛らしくて性格も良く、これだけ尽くしてくれる彼女がいる俺は幸せ者だ。
 もちろんこれだけ密着していることに緊張はしてるし、顔も熱い。でも、それ以上に……幸せでたまらなかった。

 明日一緒に回る時は、アイシスさんに心から楽しんでもらえるように……いままでで一番幸せな一日だったと、そう思ってもらえるように……俺も頑張ろう。

 拝啓、母さん、父さん――アイシスさんと一緒に居て、彼女の純粋で大きな愛情を向けられていると、本当に幸せな気分になれる。一緒に居られて幸せだと……そう、当り前のように感じられるのも、アイシスさんの――誰にも負けない魅力のひとつなのかもしれない。



ここからしばらく大天使アイシスのターン!!

シリアス先輩「うわぁぁぁぁぁぁ!? もうだめだ、お終いだ……」
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