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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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一筋縄ではいきそうにない



 メギドさんとの三本勝負の二本目。オセロ対決は一進一退の攻防で進行していき、いよいよ盤面は終盤戦へと差し掛かってきた。
 正に互角の戦い……と、思いたいが……うん。なんかもう盤面が『真っ赤』で石置くところが無いんだけど?

 ど、どうやら俺の負けらしい。なんで俺、この手のボードゲームで勝てないのかな? アリスとやった将棋でも『王単騎』に負けたし……。
 あの時はアリスも困惑してたな……「こ、これ以上、どうやって手加減をすれば……」って感じで……。

 い、いや、誰にだって向き不向きはある。お、俺だって得意なものもあれば、苦手なものもある。
 ボードゲームが苦手なだけで……ル、ルービックキューブとか超得意だし! 自己ベスト十二秒だからね!! 

『決着、二本目は戦王メギドさんの勝利です!』
『……悲しい戦いだったね』
『……ええ、メギドさんが戦いにおいて『手を抜くべきか悩んでいる』なんて姿、初めて見ましたよ』

 え? そこまで!? 俺そんなに弱かった? 悲しい戦いとか言われるほどなの!?

「カイト……その、すまねぇ」
「……三本目いきましょう」
「……そうだな」

 いたたまれない空気である。メギドさんまで悲しそうな表情を浮かべているし……。
 うん、さっさと次に行こう。この空気は大変よろしくない。

「……よし! 気を取り直して三本目! 最後の勝負だ!!」
「はい!」
「いい顔だぜ、カイト。それじゃあ、準備だ!」
「え? なぁっ!?」

 不敵に笑ったメギドさんが指を弾くと、地響きのような音と共に闘技場の風景が変わっていく。
 一見遊園地のアトラクションのように見える仕掛けが次々と現れていき、広い闘技場をぐるりと一周するコースへを形作っていく……おい、ちょっと待て、コレってまさか……。

「最後の勝負は『障害物競争』だ! やっぱり、最後は体と体のぶつかり合いだろ!!」
「……」

 完全に勝ち目ないやつが来た!? スライムになにをさせようとしてるんだメギドさん!?

「ああ、安心しろもちろんカイトに勝ち目のねぇ戦いはしねぇ、ちゃんとハンデはつける」
「……ハンデ、ですか?」
「おう! 俺は『カイトと同じ身体能力』で勝負する。お前の身体能力で不可能な動きはしねぇし、不可能な速度もださねぇ……まぁ、もちろんスタミナの差もあるだろうから、『カイトは魔法使用有りで俺は無し』だ!」
「……ふむ」

 なるほど、確かにそれなら勝ち目はあるかもしれない。
 メギドさんが俺と同じ身体能力で勝負してくるってことは、速度等は互角……メギドさんにはスタミナと技術があるだろうから、その点は俺だけが魔法を使えるということで調整するらしい。

「……身体強化の魔法はどうなるんでしょうか?」
「ああ、俺はつかわねぇ。カイトは使っても大丈夫だ」

 どうやらさらに、俺は身体強化の魔法を使用することもできるらしい。俺の身体強化魔法は非常にしょぼく、せいぜい身体能力が二割増しになる程度だけど、それでも十分有利。トップスピードとうはこちらが上というわけだ。

『ちなみに判定は私とフェイトさんで行います。メギドさんが、カイトさんの身体能力で不可能な動きを行った時点で、メギドさんの負けとなります……大丈夫ですか?』
「おう!!」

 実況と解説が審判も兼ねるらしいが、まぁメギドさんは自分で言った条件を違えるようなことはしないだろう。その点に関しては少しも疑っていない。
 条件は悪くない……むしろ、俺の方がかなり有利と言ってもいい。オートパイロットも使えるし……。

 問題は、コースがかなり複雑で長いこと……スタミナが持つかどうかが心配だが、俺だって陽菜ちゃんとよく一緒に走ってるし、この世界に来た当初に比べてスタミナもついてきている。
 俺はメギドさんに了承の意を伝えるために頷き、一緒にスタート地点へと向かった。







 スタート地点に立つと、最初に待ち構える関門が目に付いた。百メートルほど先に待ち構えるのは、水の溜まった場所につき出ている足場……飛び石みたいな感じの関門だ。
 その先には壁というほどではないが、かなりの勾配の坂……むぅ、ここからじゃ全容は把握しきれないが、アップダウンも結構多そうに見える。

『ちなみに関門作成は、私です』

 うわぁ……厄介な関門作りそうなやつが担当してた。
 こ、コレはある程度戦略を固めないと厳しいな……特にオートパイロット。最小限の動きで最大級のパフォーマンスを発揮してくれる強力な魔法ではあるが、使いどころが難しい。
 ずっと発動しているのは俺の魔力的に不可能だし、動きも設定しなければいけないので準備に時間がかかるので、勝負どころで上手く使う必要がある。

『さあ、両雄並び立ち、いよいよ最終決戦の幕が上がります! 解説のフェイトさん、この勝負はどう見ますか?』
『う~ん。いろいろな関門があるから、そこをどうやって越えていくかだね。条件面ではカイちゃんが有利に見えるけど、経験値……状況対応力では戦王が圧倒してる。魔法の使いどころが鍵になるんじゃないかな?』
『なるほど、ありがとうございます。それでは両者準備はいいですね? では、カウントします! 三、二、一、スタート!』

 アリスの合図と共に、俺とメギドさんがスタートする。
 やはり単純なスピードでは、身体強化魔法がある俺の方が上で、先に第一関門である飛び石まで辿り着く。

 石毎の感覚はそれほど広くないし、少しスピードを落としながら飛んでいけば……。

 そう考えて、まず一つ目の足場に飛び移ろうとすると、追いついてきたメギドさんがスピードを一切緩めることなく跳躍する。

「えぇぇぇ!?」

 そして、一つ目の足場に飛び移り、かなり離れた足場に跳躍、手を付いて逆立ちの要領で次の足場に飛び移る。
 まるで新体操のようにアクロバティックな動きで、素早く第一関門を突破していく。

 そのあまりの動きに驚愕しつつ、反射的にアリス達の居る実況席に目を向けるが……判定は白。え? マジで? 出来るの? 俺の身体能力で、あんな動きが出来るの!?
 お、同じ身体能力でも、動かす人によってここまで差が出るのか……これは、なかなか厳しい戦いになりそうだ。

 拝啓、母さん、父さん――ついに迎えた三本目の勝負。メギドさんとの障害物競争が始まった。能力の面では俺が有利ではあるけど、これは、やはりというかなんというか――一筋縄ではいきそうにない。



カイトくんの特技……ルービックキューブ。

安定の地味さである。
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