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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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メギドさんが知らない秘密がある



 メギドさんとの三本勝負……十分ほどの休憩を挟んで、次は二本目。

『さて、戦王有利との予想を裏切り、初戦は挑戦者の勝利……解説のフェイトさん、コレはメギドさんは苦しい展開ですね』
『そうだね。初戦を勝利したってのは結構大きいと思うよ。戦王はいきなり後が無い……対してカイちゃんは、まだ一回負けることもできるから精神的に余裕があるだろうね』

 むしろ精神的には結構なダメージを受けておりますが……もう芸術勝負は二度としたくない。新たな黒歴史が生み出されてしまった。

『う~ん。物語とかだと、ここはメギドさんが勝利して最終戦に持ち込むってのが定番ですね。実況としてもそちらの方が盛り上がるので、出来れば最終戦までいってもらいたいものです』
『う~ん。私としては早く終わる方がいいな~。……ところでノーちゃん? さっきカイちゃんが作った粘土細工だけど……アレ、貰えたりするの?』

 フェイトさぁぁぁぁん!? 止めて、マジ止めて!? なにしれっと俺のブラックヒストリーをテイクアウトしようとしてるの? 駄目、絶対に駄目だ!?

『あ~それなんですが、希望者が殺到しておりまして……この勝負が終了した後に『じゃんけん大会』を行って、勝者のものになります』

 おいぃぃ!? なんで勝手に賞品にしてるの!? おいこら、赤いゴリラ……なんでサムズアップしてるんだ? 『流石見る目がある奴が多いな』じゃねぇよ!?
 というか、あんなもの欲しがってるのはいったいどこの誰だ!?

『え~ちなみに現在、参加を表明しているのは……冥王クロムエイナさんと死王アイシスさん、それに界王リリウッドさん……まぁ、この人はアイシスさんに連れて来られたんでしょうけどね。生命神と時空神……こっちは創造神様に参加してこいとか言われたみたいです』
『いま思ったけどさ、ノーちゃん、サラッと私の名前公開しちゃったよね? いや、まぁ別に良いんだけど……』
『うっかりしてました。すみません、今度なにか奢ります。えっと、続けます。アルクレシア帝国皇帝クリスさん、ハイドラ王国国王ラグナさん、シンフォニア王国公爵リリアさん他多数。あと、『話しかけただけで9割殺ししてくる謎の天使』……ビックネームはこの辺ですね』
『……すごいよ。世界が滅ぶレベルのボスラッシュだよ』

 滅茶苦茶居た!? ちょっ……いや、皆して一体なにをしてるんだ……知り合いの手に渡るとか、地獄以外のなんでもないぞ?
 あと、エデンさん!? 貴女はいったいなにをしてるんですか!?

『……まぁ、その辺の詳細は後ほどとして、さっそくですが二本目、始めちゃってください!』

 ……どうしてこうなった? いや、うん。あとで考えよう……というかそのじゃんけん大会、俺も参加しよう。あの負の遺産が知り合いの手に渡ることはなんとしても阻止しなければ……。
 世の無情さを感じつつ遠い目をしていると、アリスが二本目の勝負を促し、それを聞いたメギドさんがどこからともなく巨大な板? を取り出した。

「よし! 二本目の勝負は……ズバリ『読み合いと駆け引き』! 『ダブルカラー』で勝負だ!!」
「……ダブルカラー?」
「うん? ああ、なに、簡単なゲームだよ。ガキでも出来る。だが、奥が深けぇ、俺達の勝負に相応しい!」

 ふむ……俺とメギドさんの前には、マス目の入った大きな板……ボードゲームかな?
 中央には赤と青の石が二つずつ置かれていて、アレをゲームに使うみたいだけど……う~ん。なんか凄く見覚えがある。

「ルールは単純だ。俺が赤、カイトが青……そして交互に、この盤面に石を置いていく。そして、相手の石を自分の石で挟めば、挟んだ石は自分の色に変わる。それを繰り返していって、最後に自分の色の石が多い方が勝ちだ!」
「……」

 ……あぁ、なるほど……『オセロ』ね……。
 俺の知ってるオセロ盤と比べて、四倍ぐらいありそうなサイズだけど、それ以外は殆どルールは同じだった。
 引っくり返さなくても、挟めば自動で色が変わる魔法具らしいので、便利になったオセロって感じだ。

「ルールは理解したな? じゃあ、始めようぜ! 熱い勝負をな!!」
「……よろしくお願いします」

 こうして、俺とメギドさんの二本目の勝負……巨大オセロ対決が始まった。

 拝啓、母さん、父さん――不敵に笑うメギドさんの表情は、決して追い込まれている顔ではなかった。燃えたぎるような闘志を向け、全力で俺に挑んできている。しかし、一つだけ、見落としていること、いや……俺には――メギドさんが知らない秘密がある。








 快人とメギドが対決を始め、しばらく経った辺りでアリスとフェイトが実況と解説を始める。

『さて、それでは実況していきますが……基本にこちらの声はカイトさんたちには届かないようになっています。でないと、ヒントになりますからね……では、序盤を見ていきましょう』
『……序盤は大きな動きはないね。でも、見る限り戦王がリードしてるのかな?』
『そうですね。このゲームで大切なのは、一度で多くの石の色を変えることではなく、次に相手が打ちづらい形に持っていくことでしょう……メギドさんのこの手はいいですね。広範囲を睨んでいますし、他のカバーもしやすいです』

 闘技場の上空に魔法で映像を表示しつつ、アリスとフェイトは序盤の攻防を解説していく。

『……となると、カイちゃんのこの手は悪手だね。これで、戦王が結構リードしちゃったし……』
『う~ん。コレに関してはメギドさんを褒めるべきでしょうね。この形は取りたくなるんですよ』
『なるほどね……カイちゃんはここは我慢して、右下に色を作っておくべきだったってことだね』
『そうですね……まぁ、ミスとは言え序盤ですから、取り戻すことは十分できるでしょうが……う~ん』
『どしたの? ノーちゃん。なんか、微妙そうな表情だね?』
『……いや、だって、えっと……ぶっちゃけ実況しましたけど、『この勝負の結果は分かってます』からね』
『え? どういうこと?』

 まだ勝負は中盤だというのに、すでに結果は分かっていると告げるアリスに、フェイトが不思議そうに尋ねる。
 するとアリスは、表情をさらに微妙なものに変えて、ゆっくり呟くように告げた。

『い、いや……えっと、ですね。実は、カイトさん……この手の運が絡まないボードゲーム『超弱い』んですよ』
『……そうなの?』
『え、ええ……いや、別に頭が悪いとか読み合いができないとかじゃないんすけど……ほら、得手不得手ってあるじゃないですか? なんていうか、カイトさん……この手のボードゲームだけは、致命的にセンスなくて……本人曰く九割方負けるそうです』
『……い、一割、あるから……だ、大丈夫だよ……』
『そ、そうですね! 今後の展開に期待しましょう!』

 そう、アリスは知っていた。快人とはよく一緒に遊ぶ彼女は、ボードゲームでも快人と勝負したことはある。しかし、快人はチェスのような戦略型ボードゲームは下手だった。
 それはもう、アリスの方が気を使ってしまうほどに……。

 そして、それは現在対戦しているメギドにとってもそうだった。

(お、おいおい、カイト!? そっちじゃねぇ、なんでそんなところに石置くんだ!? それじゃ、左上が全部……)

 メギドは現在一手ごとにハラハラとしていた。しかし、それは盤面に対してではなく……。

(ばかやろう!? もう一マス右だ! そこじゃまったく次に繋がらねぇだろ!? ……か、カイト……わりぃ、そうか、お前……ダブルカラーは苦手だったのか……)

 もはや哀れみさえ感じ始めているメギドの心境には気付かないまま、快人はまたしても見当外れの場所へ石を置いていた。



快人・弱点:運の絡まないボードゲーム。

将棋:人生で二度ぐらい勝った事がある(相手が手を抜いた)
チェス:ルールを知らない
オセロ:終盤まで行かず全滅(一色にされる)経験多数。

頭いいのに戦略ゲーム弱い人っていますよね。快人は完全にその典型です。とにかくセンスがありません。
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