魔界の遊園地②
ほとんど揺れない快適な馬車で移動して到着した遊園地、その入り口前で合流し……俺たちは揃って軽く唖然とした表情で遊園地を見ていた。
「……お、思った以上に本格的というか……凄いですね」
「え? これ見る限り、滅茶苦茶広そうじゃないですか?」
葵ちゃんと陽菜ちゃんの驚きは理解できる。というか、俺も正直驚いていた。シロさんが作り出したばかりの頃や、クロやアリスと回った時は……まだ普通の遊園地という感じの規模だった。
だが、いま俺たちの目の前にあるのは千葉にあるテーマパークとか、大阪のテーマパークとかを彷彿とさせるような……というか、入り口の時点で既に驚くほどに巨大だった。
「これはまた、とてつもない規模の施設ですね」
「確かに、ここからではまるで全容が把握できませんが……入り口でこの巨大さなら、中も相当の規模でしょうね」
「……カイトさんたちの世界には、こんな巨大施設が複数あるんですね」
リリアさん、ルナさん、ジークさんは当然ながら遊園地を見るのは初めてであり、かなり物珍し気な表情を浮かべていた。
同じようにアニマたちも興味深そうな感じで話をしていた。
「キャラ、かなりのサイズだと思うが……」
「入り口だけじゃ全容までは分からないけど、この辺りのクロムエイナ様が所有している土地の範囲、入り口の巨大さ、簡単な魔力探知で把握できる広さ……これ、中心から半径1kmは越えるぐらいのサイズかも?」
「……シータ、バトルシティの中央コロシアムはどのぐらいの広さだったっけ?」
「確か、半径500mぐらいのはずだから、それより大きいと考えると……魔界に存在する一つの商業施設としては、過去最大規模かも?」
メギドさんの治めるバトルシティのコロシアムは超巨大だ。なにせ、10m越えのメギドさんが思いっきり戦うために作った場所なわけだから、当然と言えば当然ではある。
しかし、アニマやキャラウェイ、イータとシータの見立てではこの遊園地はそれ以上に大きいらしい……てことは、某千葉のテーマパークよりももっとずっと巨大な可能性が出てきた。
「でもでも、ワクワクしますね! この大きさだと、一日で回りきるのは難しそうですけど、凄いアトラクションとかもありそうですね! それにほら、可愛いマスコットも居て、かなり本格的ですよ!」
楽しそうに話す陽菜ちゃんの言葉に導かれるように入り口付近を見てみると、「入場はこちらから」という札を持った猫のマスコットの姿があった。
……うん、なんというか……原型無いな。たぶん、猫ということから考えて、元はアリスが着ていた猫の着ぐるみだとは思うのだが……可愛らしい感じに大幅改変されており、元の微妙な気持ち悪さがあるデザインとはまるで違う。
これたぶん、相当クロの監修が入ったな……以前クロやアリスと回った時は、あの着ぐるみモチーフのグッズとかがあったけど、共同運営という形になったクロがバシバシ駄目出しをしたんだと思う。
「私たちは遊園地というもの事態が初めてなので、カイトさんたちにいろいろ教えてもらわないといけませんね」
「俺たちにしてみても、このサイズ感は初体験ですが……でもまぁ、ある程度どんな施設やアトラクションがあるかってのはイメージできますし、大丈夫だと思います」
リリアさんの言う通り、このメンバーの中で遊園地がどういうものかをちゃんと知っているのは、俺と葵ちゃんと陽菜ちゃんだ。葵ちゃんは遊園地にはいったことが無いみたいだが、それでも知識としてはいろいろ知っているだろう。
そしてチラッとリリアさんたちやアニマたちの方を見ると、皆俺の方を見ている。葵ちゃんと陽菜ちゃんの方を向くと、やはり俺を見ている……あっ、これ、俺が仕切る感じのやつか?
「……とりあえず、入場の手続きをしに行きましょう。出来れば園内の案内図とか、パンフレットがあるといいんですが……」
この面子で纏まって出かける場面で、リリアさんじゃなくて俺が仕切るというのも珍しいが、場所が遊園地となるとある程度仕方ない部分もある。
とはいえ、俺がシロさんやクロやアリスといった時とは、形状も規模も違い過ぎるので、どう回るかを決めるにしてもマップのようなものが欲しいところである。
「……ああいや、居るじゃん。作ったやつ……」
「え? ああ、私使う感じっすか? じゃあ、はい、パンフレットっす」
よくよく考えてみれば、この遊園地をクロと一緒に作ったやつがすぐ傍に居るわけだし、マップとかを知り痛ければアリスに聞けば手っ取り早い。
そう思って声をかけると、アリスも予想はしていたみたいですぐに人数分のパンフレットを取り出して俺たちに渡してきた。
「ありがと……ただちょっと聞きたい。いまチラッと見えた、『ベビーカステラ城』って馬鹿みたいな施設は?」
「ベビーカステラ馬鹿がゴリ押しして作った場所です。ほとんどの施設やアトラクションは相談して作りましたけど、互いにひとつずつ不干渉で趣味前回の施設を作ろうって話になって、クロさんが作ったのがそれですね」
「……そっか、分かった」
まぁ、当然あのベビーカステラの悪魔の仕業である。というか、そうじゃなければ不安になるところだった。あれ? でも、ということはアリスもなにか自分の趣味前回でアトラクションか施設を作ってるんだよな? う~ん、アリスの性格、嗜好……なんか、コテコテの恋愛系アトラクション作ってそうな気がする。
シリアス先輩「自称するぐらい恋愛クソ雑魚だけど、ロマンチックな感じとか、コテコテの恋愛イベントが好きだからなアリス……」
???「おっと、言葉は選んでくださいよ、エセシリアス……調理してマキナに食べさせますよ?」
シリアス先輩「まだなにも馬鹿にしてないから! あくまで、ここまでで得た情報を語ってるだけだから!! 貶してるわけじゃないから!?」




