茶会の話~胃痛なる者⑤~
よほどコンセプトが気に入ったのだろう。以前フレアさんにジムについて話してから、驚くべき早さでフレアさんは実際にジムを作ってしまった。
それだけではなくジムについていろいろ尋ねられる中で話したジャージも制作しており、貸し出しや販売も行うらしい。
このジャージの完成度はかなり高くて動きやすいので、今日購入が可能なら買って帰ろうかと思うほどだ。陽菜ちゃんと一緒にやってる朝のジョギングの際に着るとよさそうだ。
……というか、絶対陽菜ちゃんも欲しがると思うのだがサイズが分からない。この世界には人型でも体格が大きな種族とかも居るので、SMLという単純な表記じゃないので、実際に試着してみないと分からないところがある。
陽菜ちゃんの身長はある程度分かっているので、比較的良さそうなサイズの物は選べると思うが……その、邪な意味ではなく、単純な事実として陽菜ちゃんは胸周りの発育がいいので、もしかするとワンサイズ上の方がいいとかもあるかもしれないので、今度連れてきて買ってあげよう。
ジャージと言えば、以外とエリスさんのジャージ姿が様になっているというか……姿勢がよくて凛としているからか、割となに着てもお洒落に見える感じはある。
ジャージの上からでも出るべきところは出て絞るべきところは絞ってあるのが分かる感じで、たぶんというか間違いなくエリスさんはかなりプロポーションがいいと思う。
そしてそれはおそらく、日頃からかなり気を遣って整えてあるからこそ維持できているのだろう。
いまは運動前に軽くストレッチなどをして体をほぐしているところだが、その動きを見ると……結構運動慣れしている雰囲気があるので、日頃から運動はしているのだと思う。
間違いなくそうとう努力はしているだろうに、それを誇示したり偉ぶったりしない辺り本当にいい人というか、素直に尊敬できる。
「……動きが変でしょうか?」
「ああいえ、すみません。なんだか体を動かし慣れているというか、運動慣れしてる雰囲気があってつい見てしまいました」
俺の視線に気づいたエリスさんが首を傾げたので、少々慌てながら弁明する。邪な気持ちは無く純粋に尊敬の念ではあったが、ストレッチをしている女性を凝視するというのは完全にセクハラである。
俺の言葉を聞いたエリスさんは納得したような表情を浮かべた後で、優しく微笑みながら口を開く。
「ああ、なるほど……確かに一般的な貴族令嬢の認識だと、運動などには縁が無さそうに見えてもしかたないですね」
「確かにエリスさんは深窓の令嬢みたいな雰囲気があるので、あんまり運動しているイメージは湧きにくいですね……でも、よくよく考えてみると舞踏会とかでダンスもするわけですし、ドレスを綺麗に着るためのプロポーション維持とかもあるでしょうから、日頃から運動しててもおかしくないですよね」
「そうですね。もちろんカイト様がイメージするような、運動がまったくダメな令嬢も存在しますが……なんだかんだ貴族も体が資本といいますか、ある程度の体力などは必要ですからね。私も日頃からできるだけ運動はするようにしています。ただ……あまりやり過ぎて筋肉量が多くなってしまうと、体格が厚くなってしまうので、調整しながらではありますけどね」
「……ああ、運動し過ぎてもだめってわけですか……大変そうですね」
理想のプロポーションを維持するのはかなり大変そうである。
そういえばリリアさんも凄く強いけどスラっとしているし、混浴した時に見えた限りでは筋肉質な感じは無かったので気を使って調整しているのかもしれない。でも、身体強化抜きでもリリアさんってかなり力がある気がするのだが……もしかすると筋肉の密度とかが違うのかもしれない。
「そう考えると、ライフさんの祝福って貴族令嬢にとっては最高の効果かもしれませんね」
「そうですね。理想の体格を自然に維持することが可能で、任意の年齢に若返った上で不老となれば、切望する者は多いでしょうね。とはいえ金銭でどうにかなるようなものでもありませんからね」
「……そういえば、エリスさんはライフさんの仮祝福を受けてるんですっけ?」
「ええ、おかげでかなり体格の維持はしやすくなっています。仮祝福ですので常に理想の体格にというわけではありませんが、身体に様々な恩恵があるのでとてもありがたく感じています」
「なるほど……」
例えばそれは、ライフさんが本祝福を行ったならエリスさんは無理なく理想の体型を維持できるわけだ。いやまぁ、エリスさんの性格上そうなったとしても日々の運動とかはしてそうだが……。
「それこそ、ライフさん次第ではありますが、いずれ本祝福を受けたりしたら、エリスさんにとってかなり助かりそうですね」
「……カ、カイト様? あの、いえ、仰ることの意味は分かりますし、同意いたしますが……その、なんでしょう? カイト様が口にすると現実になりそうな予感がするというか……そ、そろそろ、体もほぐれたので運動を始めませんか?」
「え? あ、はい。じゃあ、そうしましょうか……」
なんか、珍しく慌てた様子で話題を切り替えたような気がしたが……ああでも、最高神の本祝福になるとやっぱり恐れ多いって気持ちもあるだろうし、本祝福するかどうかはライフさん次第なのでここでどうこう言える話でもないか……。
貴族令嬢ともなると体型の維持もそうだが、美容などにも相当気を使うのだろう……それでふと思いついたんだが、世界樹の果実を使ったシャンプーはベルの体毛などを物凄く綺麗かつ艶やかにしてくれているわけで……上手く調整したら人用とかも作れないかな? ネピュラの世界樹は沢山あるし、今度アリスに聞いてみよう。
シリアス先輩「ちゃんと最高神の本祝福は恐れ多いと感じてるって気付けて偉い! と思ったら、なんか別の方向で爆弾開発しようとしてるんだけどコイツ!? ネピュラのおかげで世界樹関連の素材は好きなだけ手に入るから、感覚バグってるだろこの胃痛の悪魔……」
???「エリスさんに対する好感度がかなり高いのが悪さしてますね。好感度高いので、なにか力になってあげたい的な気持ちが強いんでしょう……さっ、ワイン飲みますかね」




