もうひとつの建国記念祭⑩
明日が早出で時間が取れないため短めです。
シロさんが海から巨大文字を出現させたと思ったら、その直後に水の演出のようなものが始まり、建国記念祭開催を記念した演出であると拡声魔法による声が聞こえてきた。
とんでもないフォローのスピードである。神族たちの全力具合がうかがえるというか、分かっている俺でも普通に演出なのかと思ってしまうほどの素早く的確なフォローだった。
「……ふむ。悪くない連携ですね。この次元は本来のものではありませんが、こうして成長を実感できるのは喜ばしく感じます」
そう言って満足気に頷くシロさん……いや、シロさんのフォローをしてるんだけど!? いや、シロさん的には白神祭とかを経て神族の連携が強まってるのは喜ばしいし、成長を感じている親心は分かる。
しかもなんなら、神族の方たちも別にこれを苦労とは思ってないだろうし、いまのシロさんの発言を聞いたら泣いて喜びそうではある……うん? じゃあ、別に何も問題ないのか?
「まぁ、とりあえず気を取り直して俺たちも出発しましょうか」
「そうですね。おっと、快人さん大変です」
「ああ、手が空いてますね。じゃ、手を繋いでいきましょう」
俺もシロさんとは付き合いはそれなりに長い……いや、まぁ、シロさんの他の知り合いに比べたら短いかもしれないが、恋人同士だし密度は高い。それこそシロさんのことはかなりよく分かってるつもりだ。
この場面で、あの前振りであるなら次に続くのは「私の手が空いています」という発言だと察したので、先回りして手を繋ぐことを提案して手を差し出すと、シロさんの少しキョトンとした珍しい表情が見れた。
「おや、快人さんはいつの間に心を読めるように?」
「心を読んだんじゃなくて、過去の経験からの予想ですね。まぁ、俺も恋人としてシロさんのことはそれなにりよく知ってるつもりですから、それぐらいは分かりますよ」
「ふむ……私のことは誰よりも知っているとは、なかなか豪胆なセリフですね」
「俺そこまで言いましたっけ……?」
「要約すると『シロさんは俺のもの』宣言ですね」
「どういう飛躍の仕方をしたらそういうことに!?」
とんでもない話の飛躍具合に思わず突っ込むが、そこでふと気が付いた。シロさんの声は相変わらずいつも通りの抑揚のないものではあるが、口角は少し上がっているままだし、発言もいつも以上に突拍子もない。
たぶんだけどこれ、喜んでテンション上がっているんだと思う。俺がシロさんの要望を察して動いたのがよほど嬉しかったらしい。
「ですが、事実として快人さんのものですよ?」
「あはは、それはまぁなんというか、光栄ですね……ともあれ、いきましょうか」
「ええ、では、エスコートをお任せします」
そんなシロさんに苦笑しつつ指を絡めるように恋人繋ぎをして歩き出す。建国記念祭は始まったばかりだし、まず最初はどこに行こうかと、そんなことを考えつつどこか上機嫌なシロさんを横目に見て微笑みを浮かべた。
シリアス先輩「これ、次にサブタイトル変わって①からになるやつだな……私は詳しいんだ! この世界は私が苦しむようにできてるんだよ!!」
???「そうっすね」




