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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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何処からか掴んでいたみたいだ


 俺の話が終わり、リリアさんは飲んでいた紅茶のカップを置き息を吐く。

「……成程、つまりカイトさんは、そのアリスさんという方と一緒に食事に行こうとして……アルクレシア帝国のモンスターレース場に行き……そこで白金貨400枚以上を稼ぎ……偶然ベヒモスを買い取る事になり……その後アルクレシア帝国の王城に国賓として招かれたと……」
「は、はい」
「……あ、頭が、痛いです……ルナ、私二日酔いが酷くなったみたいです。言葉は分かっても、頭が理解を拒否してるんですが……」
「いえ、残念ながらその頭痛は別の原因です」

 リリアさんは両手で頭を抱えて、俯いてしまう。
 確かに我ながら信じられない話だと思う……食事に行ったはずが、いつの間にか凄い事になっていた訳だ。

「……もうやだ……カイトさん怖い……」
「お嬢様。お気を確かに、心中お察しします……ところで、ミヤマ様」
「はい?」
「ミヤマ様の世界から広まった遊びがあるのですが……」
「遊び? ですか?」
「ええ、『宝くじ』と言うものです。今度私と一緒に行きましょう」
「……こら、ルナ」

 何と言うか、ルナマリアさんは安定のルナマリアさんだった。
 意外とアリス辺りと気が合うんじゃなかろうかこの人、駄目人間的な意味で……

「ともかく、リリアさん。お願いします。ベルの事、置かせていただけませんか? 勿論食費とかは俺が出します」
「……う~ん。確かにあの子は、カイトさんに良く懐いていましたし、危険は無いと思いますが……しかし……」
「良いではありませんか、お嬢様」
「ルナッ!?」

 流石に伝説の魔獣と呼ばれるベヒモスともなると、流石のリリアさんでも直ぐに許可は出してくれなかった。
 とにかく誠心誠意頼みこんで……と思っていると、意外な所からが援護射撃が飛んできた。

「ミヤマ様ならしっかり世話も出来ます。それに断ったとして、ベヒモスを放り出す訳にもいかないでしょう?」
「それは、確かにその通りですが……」
「幸いまだ赤ん坊ですし、数年、数十年で巨大に成長する訳でもありませんよ」
「……確かに、それもそうですね。分かりました……カイトさん、しばらくは馬小屋を使用してもらう事になりますが、近い内に専用の小屋を用意しましょう」
「ありがとうございます!」
「ただし、一つだけ条件があります」
「条件?」

 ルナマリアさんの手助けもあり、リリアさんはベルを飼う事を許してくれた。
 お礼の言葉を告げる俺に、リリアさんは苦笑を浮かべながら条件があると告げてくる。

「……ベルフリードの食費、小屋の建築費用……お金は私が出します」
「え? いや、でも……」
「こればかりは譲りません……たまには、恩返しをさせて下さい」
「恩……返し?」

 リリアさんの言葉を聞いて、俺は大きく首を傾げる。
 リリアさんが俺に恩返し? 逆じゃないだろうか? 恩というならいつもお世話になってる俺の方にあるし。迷惑ばかりかけているのに……

「……カイトさんには、感謝しています。カイトさんのお陰で、私は……爵位を得た時に誓った二つの目標……それが叶えられそうな所まで来る事が出来ました」
「え?」
「カイトさんが思っている以上に、貴方という存在の価値は大きい……貴方が滞在してる。その一点だけで、アルベルト公爵家は他の大貴族に匹敵……或いは上回る程の発言力を得る事が出来ました」
「それが、何かリリアさんの目的の助けになってるんですか?」

 リリアさんの二つの目的とは何だろうか? 一つは分かる……ジークさんの声を取り戻すと言う事。
 しかし二つ目は想像できない。リリアさんの表情や口振りから、何となくそれは悲願とも言える目的なんだと言う事は想像できるが……

「……一つは、カイトさんもご存じの通り、ジークの声を取り戻す事。これは、ジーク本人の意思もあって保留としています。そしてもう一つは……かつて、第二師団に偽の情報を流した犯人。それを見つけ出す事です」
「……」
「騎士団の情報をすり替えられる相手……恐らくかなりの力を持った貴族でしょう。少なくとも元王族とはいえ、爵位を得たばかりの私が、犯人を突き止めたとしても笑い飛ばされてしまったでしょう……罪を償わせるには、どうしても国内での発言力……貴族としての力が必要だったんです」
「その、犯人というのは……」
「現時点では、全く分かっていません。もしかしたら、見つからないかもしれません……ですが、探し続けますよ」

 確かな覚悟を持って告げられる強い言葉。
 かつてリリアさんの部隊に偽の情報を流し、ジークさんが声を失うきっかけを作った存在。
 それを見つける事は、リリアさんにとって悲願なのだろう。

「……私がどうこうした訳でもなく、カイトさんから恵んでもらった力なのは、本当に申し訳なくも感じますが……心から感謝しています。特にクロノア様と巡り合わせてくれた事、いくら感謝してもしきれません」
「俺には、その件について何も言えませんが……偶々とはいえリリアさんの力になれているなら、嬉しいです」
「……本当にありがとうございます。なので、少しぐらい、恩返しをさせて下さい」
「……はい。ありがとうございます」

 リリアさんと顔を見合わせ、お互いに照れくささを感じながらお礼を言い合う。
 そしてリリアさんは、気恥ずかしかったのか赤い顔のままで、話を切り替える様にルナマリアさんの方を向く。

「それにしても、ルナがあれだけ強くカイトさんの味方をするとは……何か企んでるんじゃありませんか?」
「……は、ははは、何を馬鹿な……」
「……企んでるんですね」
「いえ、別に大層な事では……ただ、ミヤマ様に、少し相談がありまして……」
「相談?」

 俺も何となく妙だとは感じていたが、やはりルナマリアさんは何らかの目的があって俺の味方をしてくれてたみたいだ。
 非常に不安ではあるが、ルナマリアさんのお陰でベルを飼える事になった訳だし、とりあえず要求を聞いてみよう。

「……私の掴んだ情報では、今、冥王様が新しい魔法具を開発しているとか……それで、その、出来ればぜひ買いたいのですが……ミヤマ様から、頼んでいただけたらと……」
「……わ、わかりました」
「ありがとうございます!」

 この狂信者、一体どこから情報仕入れてるんだ!?
 クロが作っている魔法具と言うのは、恐らく以前頼んだ電卓の事だろうが……俺誰にも言ってないのに、何でルナマリアさんがその情報を掴んでいるのか?
 まさかクロの信奉者間で、変なネットワークでもあるんじゃないだろうな?

 拝啓、母さん、父さん――リリアさんにベルを飼う事を許してもらえた。それにはルナマリアさんの手助けもあった訳なんだけど……ルナマリアさんは、クロが電卓を作っているという情報を――何処からか掴んでいたみたいだ。





















ちなみにリリアとクロノアは、知りあって以降仲良しで、ちょくちょく互いに愚痴を聞きあったりしてます。
最近では運命神襲来の後で、二人して快人の愚痴をこぼしてました。

次回「強襲と蘇る声」(仮タイトル)
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