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お座敷えるふさん  作者: ビタワン
おまけ
15/15

えるふさんとライバル

お座敷えるふさん再開するよ!



・・・というエイプリルフールです。

ここに来て、まさかのライバル登場です。

まさか、物語から完結してからのライバルキャラの登場に、私はこのお話のプロットとか計画性の存在を疑わずにはおれません。ヒロインたる私の存在を脅かす存在・・・それは!


「こらっ!そこは私の場所なわばりです!」

「ワフッ」


私のお昼寝特等席で惰眠をむさぼる、どでかいお犬様でございます。

姿はゴールデンレトリバーみたいなのですが、体格はその2倍はありましょうか。うぅ、胡乱げな目でこちらを見られただけで、尻尾を足に挟んで後ずさりしたくなるような迫力です。しかし、しかしここは私のテリトリーです。幾年もかけて築き上げたべストプレイスでございます。水差しの位置、緑魔法で調整した日差しを和らげる植物たち。簡易ベットくらいある大き目の長椅子の上に敷かれたお昼寝専用毛布。その私の大事な道具たちが、この新参者によって奪われているのです。なんという悲劇、なんという暴虐!


「このっ、このっ!どーきーなさいー!」


先ほどから、押して引いて、前足を引っ張り、長い毛をつかんで引っ張てもびくともいたしません。運動不足気味のお座敷エルフな私はもう息も絶え絶えにお庭の芝生に座り込んでます。なのにお犬様はこれ見よがしに大きなあくびをして、昼寝を続行する模様です。なんですかその余裕。くやしい!


「こうなったら、覚悟なさい!」


私は不敵に笑うと、うつぶせなお犬様の背中に飛び乗りました。

そうです、お布団を奪われたのなら、そのもふもふな長い毛皮を敷布団にしてやればいいのでございます。ふふふ、さすがに驚いてますね。そのびっくり顔が見たかったのですよ。私はその大きい背中にしがみついて、柔らかな毛束の感触を楽しみます。むむ、なかなかに素晴らしい感触です。この間メイドさんたちのご協力で制作した、羽毛布団にも負けず劣らず。そんな感想を覚えておりますと


ばしん

「うぎゃ・・・あぃだぁー!!」


油断しきったところで長い長い尻尾ではたかれた私は、お犬様の背中から滑り落ち背中を強打。女の子としては聞かれたくない悲鳴を上げて芝生の上をごろごろと転がりました。




「ふぅ・・・ふうっ」


ようやく痛みが治まった後、目の端に涙をのせたまま、私は不敵な毛むくじゃらを睨みつけました。もう、許しません。どうしてやりましょう。すると、その恨みを載せた視線に気づいたお犬様は、如何にも面倒臭そうな様子で顔を上げました。

そして、その前足を私の頭にのせると、ぐいっと引き寄せられました。


「わぶっ」


膝立ち姿勢からバランスを崩して倒れこむと、目の前には真っ白なもふもふの毛皮。背中の茶色い毛もつやつやでもふもふな触り心地でしたが、お腹の毛は繊細で包み込むような気持ちよさでした。お犬様はそのまま私を横抱きにするように、お腹に抱え込みました。


最初は驚いた私でございますが、その感触に懐柔されまして、このお犬様が「ようやく私を認めて尊重するようになったの」かなんて上機嫌でございました。そのまま二匹で、いえ一人と一匹でごろ寝をしていますと、だんだん眠気が沸き上がりました。


「そうだ、あなたの名前はゴン太にしましょう。わたしのペットですからね」


ふふふ、ペットのペットなんておかしいけど、なんて思いながら、そのままお昼寝に移行してしまいました。





「早速、仲良くなったみたいだね」


お昼寝が終わり、手櫛でゴン太の毛並みをすいてあげておりますと、今日の政務のお勉強を終えた坊ちゃまがいらっしゃいました。相変わらずの美少年、いえ美青年になりかけですね。私の自慢の坊ちゃまでございます。


「はい、ゴン太はやんちゃな子でこ」


困るんですけど、と言いかけたところで毛むくじゃらな前足が私の頭を押さえました。下剋上!?


「ははは、ほんとに仲良しだね」


と、楽しそうに笑っておられますが、私の方は恥ずかしいやら情けないやらでそれどころではありません。坊ちゃまの前で・・・最近とみに危うくなっている姉としての尊厳の、さらなる危機でございます。


もう許しません、どちらが主人か認めさせてやるのです!

素知らぬ顔でそっぽを向くお犬様を睨みつけながら、私は心に誓うのでございました。




そしてしばらくお城では、大きい犬に構ってはあしらわれるエルフさんの姿が、住人たちの間にささやかな笑いを提供したのでした。わふん。。。



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