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偏差値70なのに恋愛経験0の二人の理性が崩壊するまで〜財前慶一郎と伊集院桜子の恋  作者: 間宮芽衣


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第三十五話◇受験生だぞ。〜財前慶一郎視点


◇◇財前慶一郎視点


「おおっ!!N700Sだ。」


東京行きの新幹線が来ると、和田がパシャパシャとスマホで写真を撮って大興奮している。


 ──どうやら最新車両のようで、椅子の肘掛にはコンセントが付いている。


「それじゃ、帰るか。」


四之宮の言葉に皆が頷き次々と新幹線に乗り込んでいく。


「…合宿、大変だったけど楽しかったな。」


僕の言葉に宮西が笑っている。


「ああ。反省会でハチマキを渡されて、『志望校に受かるぞー!』ってやらされて、吹きそうになったけどな。」


「──僕は、嫌いじゃないがな。あのようにポジティブな事を叫ぶことは、コルチゾールを減少させて、自己肯定感を強めてくれるからな。」


四之宮の言葉で、四之宮が誰よりも真面目に腕を振り上げて叫んでいた事を思い出してしまった。


 チラリと通路を挟んで横を見ると、城之内さんと桜子さんがスヤスヤと可愛らしい顔で眠っていた。


(…きっと疲れていたんだな。桜子さんのこの無垢な笑顔をずっと守れたらいいな…。)


そんな事を思って、ついつい頬を緩めてしまう。


「いよいよ戻ったら受験一色だな。まあ、一生がかかってるから、仕方ないけれど。」


言いながら和田が車窓の景色を見ている。


「…終わったら皆で卒業旅行とか行きたいな。」

「おおっ、いいな。」


そんな事を言いながら談笑したりUNOをしているうちに、あっという間に東京についてしまった。


「それじゃ、お疲れ様ー!!皆んなゆっくり休めよ。俺ら方向も違うし、ラーメン食って帰るわ。」


そう言って、宮西と和田が改札を出た後いなくなってしまったので、僕達は四人になる。


「…じゃ、僕達も行くか。折角だから何か食べて帰ろう。何か食べたい物はあるか?和洋中、肉と魚ならどれがいいだろうか。予算は1000円以上出せそうか?」


四之宮の言葉で僕達は顔を見合わせる。


「──合宿中、がっつりしたものが多かったからさっぱりしたものがいいな。予算も大丈夫だ。

 アプリで稼いだ金があるからなんなら僕が奢るぞ?」


その言葉に城之内さんと桜子さんが目を見開く。


「え、財前君、アプリなんて作ってんの?」

「初耳です!どんなアプリですか?」


(…しまった!まさか桜子さんには言えないし…。)


僕はなるべく平静を保ちながら答える。


「…学習のモチベーションを維持するための支援アプリです。」


「──まあ、財前の気持ちはありがたいが少額ならともかく、ランチで四人分奢って貰うのはさすがに気が引けるな。…東京駅近辺は割と安価な蕎麦屋が多い。ということで、蕎麦はどうだろうか。さっぱりしているし、これなら予算で困ることはないだろう。」


すると、桜子さんが目を輝かせる。


「まあ、お蕎麦、大好きですわ!」

「城之内さんもそれでいいだろうか。」


四之宮の言葉に城之内さんも嬉しそうに頷いたあと、キラキラした目で四ノ宮を見ている。


「うん、大丈夫!!」


(…こうやって見ると、四之宮は確かにリーダーシップというか、統率力は強いんだよな。


 ──何故学校からも遠い東京駅のランチ事情にそこまで詳しいのかいささか謎だが。)


そんな事を思いながら四人でゾロゾロと蕎麦屋に向かう。


 結局僕と四之宮が鴨南蛮にし、桜子さんが冷やしたぬき、城之内さんがミニ親子丼とざる蕎麦のセットにした。


 蕎麦は二八そばで、なかなか出汁が効いていて美味しかった。


「──それにしても、四之宮は何故こんなに飲食店に詳しいんだ?」


僕の言葉に四之宮は真顔で答える。


「──どうせ僕には恋愛など縁がないからな。味覚でドーパミンを補おうと東京中の店を食べ歩いた。」


その言葉に僕は顔を上げる。


(…コイツ!!僕が学校近辺だけだったのに対して、東京中だと?!)


僕は四之宮のドーパミンへの貪欲さに戦慄した。

 

 すると、城之内さんがモジモジと、こんな事を言い出した。


「え、えー。じゃあ美味しいお店のこととか教えて欲しいから、四之宮君の連絡先教えて貰ってもいいかな…?」


(あ。城之内さんがどさくさに紛れて連絡先を聞き出そうとしている。)


すると、四之宮は少し困惑した顔で顔を上げた。


「──構わないが、流石にガイドブックの方が詳しいと思うが。」


「で、でも!!朱里さんはきっと、高校生ならではの目線で四之宮さんが選んだお店が気になるのでは!!」


桜子さんがすかさずサポートする。


「──そういうものだろうか?わかった、これが僕のQRコードだ。」


そう言って四之宮がスマホを差し出すと桜子さんと城之内さんが頷き合う。そして、城之内さんが四之宮の連絡先を入手した。


「ありがとうっ!連絡するねっ!」


城之内さんが嬉しそうに言うと、四之宮が再び困惑顔になる。


「…?ああ。」


僕達は店を出ると、解散した。


「っ、そうだ!私と四之宮君、同じ路線だったよね?!一緒に帰ろう。」


ぐいっと城之内さんが腕を引っ張ると、四之宮が目を見開いた。


「…ああ、別に構わないが。」


そう言って二人でいなくなってしまった。


(うーん、城之内さん、結構頑張っていると思うのだが、どうなるだろう。)


「慶一郎様。…私達も帰りましょうか。」


桜子さんの言葉でハッとする。


「…そうですね。」


答えた瞬間にスマホにメッセージが来た。


(…誰だ?)


『今日帰ってくる予定よね?桜子さんにお祖父様のお土産の北海道の日本酒、渡しておいてもらえる?

 この前、ワインを頂いてしまったし。私は夕方くらいに帰るから。』


──母だった。


「桜子さん、母がこの前のフランス産ワインのお返しに、祖父が北海道講演に行った際に買ってきた日本酒をくれるそうです。…少し、うちに寄れそうですか?」


その言葉に桜子さんがパッと顔を輝かせた。


「っはい!!是非。」


僕はそんな桜子さんを見てむず痒い気分になる。


「──では行きましょうか。」


そう言って二人で手を繋いで電車に乗る。


 すると、桜子さんが嬉しそうに僕の方を見つめてくる。


「ふふっ、合宿中毎日お会いできてはいましたが、こんな風に二人きりで手を繋げるのは久しぶりですね。」


その言葉にドキドキと胸が高鳴る。


「…そうですね。」


家に着いて鍵を開けると、誰もいなかった。


「──ただいま。…今家に誰もいないみたいでして。ちょっと待ってて下さい。今取ってきます。」


すると、桜子さんがぎゅっと僕のシャツの裾を握った。


「っ、じゃあ、二人っきり、ですね。少しだけ、慶一郎様のお部屋にお邪魔してもいいですか?」


その言葉に僕は固まる。


「──っ。散らかってますけど、それでいいなら。」


(…やばいやばやばいやばいやばいやばい!!!)


ドクンドクンと胸が高鳴る。


 僕達は手を繋いで階段を登りながら無言だった。


 ドアが閉まった途端、桜子さんが顔を上げて、黒目がちな瞳で見つめてくる。


 ──その瞬間、理性が焼き切れた。


 僕達はお互いに吸い寄せられるように唇を合わせた。


「んっ。」


お互いの背中に回された手が弄り合うように妖しく動いていく。だんだんキスは深くなり、ぎゅっと抱きしめ合いながら、僕達は無我夢中で口付けをする。


「っぁ、」


すると、途中で腰が抜けたのか桜子さんがずるりと足を滑らせたので慌てて腰を支える。


 はぁっ、はぁっとお互いの息が乱れる音が聞こえる。


「…慶一郎様っ、キス、凄く気持ちいいですっ。」


「──っ、」


僕は彼女を横抱きにするとベッドの上に下ろした。その拍子に彼女のスカートが少し捲れ上がり、桜子さんが真っ赤な顔で慌てて裾を直す。


(…もう我慢できないっ!!)


「っあ…、」


彼女の顔が真っ赤に染まる。桜子さんの髪がぶわりと僕のベッドに広がり、潤んだ目で僕を見つめてくる。


 唇が先程のキスで濡れており、ひどく艶かしい。


(可愛い可愛い可愛い可愛い…、)


僕が前に乗り出して、桜子さんにもう一度キスをしようしたその時だった。


 プルルルルルルル…


桜子さんの携帯が鳴った。


「──っ!!」


──その音で急速に頭が冷えていく。


「…あ。」


桜子さんが小さい声を漏らす。


(…僕は受験期に一体なんて事を!!)


「…すみません。出ていいですよ。」


僕の言葉に、戸惑った顔で桜子さんが携帯に出る。


「──はい。桜子です。はい、はい。そう、ですね。夕方までには帰りますわ。」


彼女はスマートフォンを切ると息を吐き出す。


「──ごめんなさい。慶一郎様。お母様でした。」


僕は息をふぅーっと大きく吐き出す。


「…すみません、桜子さん。

 ──我慢できなくなりそうなので、桜子さんの家の最寄り駅まで送っていきます。」


その言葉に桜子さんは乱れた髪を直したあと、潤んだ目で頷きました。


「そう、ですね。

 ──私も我慢、出来なくなってしまいそうです。」


その言葉に僕はゴクリと生唾を飲み込んだ後、息を吐き出した。


「──あまり、煽るような事言わないでください。」

「…ごめんなさい。」


僕は手を引いて、桜子さんを立たせると一緒に玄関に行く。


「──荷物、貸してください。全部持ちますので。」


「っでも…。」


戸惑う桜子さんから奪うように荷物を貰うと、一緒に電車に乗って最寄りの駅まで送る。


 電車の中では二人ともずっと無言だった。けれど、僕達の間の空気が変わったのは明らかだった。


 駅を出て、彼女の家の車が迎えに来ているのを確認すると、運転手に声をかけて一緒に桜子さんの荷物をトランクに入れる。


「──それじゃ、また。」


彼女が僕の事を見つめてくる。


「はい。では、また。」


 ──そして彼女の家の車が完全に見えなくなると、僕は、隣の駅まで全力疾走した。


(……受験生だぞ僕は。)


「うおおおおおおおおおお!!!!!!!!」


僕は今すぐ壁に頭を打ち付けたいのを我慢しながら、ひたすら走り、そのままジムに向かった。


 僕は先程見た桜子さんの表情を振り払うように、一心不乱に筋トレした。



参考:ポジティブ言語・言葉の力

https://positive-counselor.org/news/%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E8%A8%80%E8%AA%9E%E3%83%BB%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%AE%E5%8A%9B/#:~:text=%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%81%E8%82%AF%E5%AE%9A,%E6%84%9F%E3%82%92%E9%AB%98%E3%82%81%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95%2520%E3%81%A7%E3%81%99%25E3%2580%2582

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