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偏差値70なのに恋愛経験0の二人の理性が崩壊するまで〜財前慶一郎と伊集院桜子の恋  作者: 間宮芽衣


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第三十四話◇ 合宿の終わりに。〜伊集院桜子視点

 

◇◇伊集院桜子視点


「──っ、桜子さん!!」


四日ほど前から慶一郎様が、毎日お昼休みに迎えに来てくださるようになりました。


(ふふっ。なんだかお付き合いしているっていう感じで胸が擽ったいですわ。)


どういう心境の変化かはわかりませんが、大事にして下さっている感じがしてとても嬉しいです。


「──財前君、今日も来たんだね。桜子ちゃん、財前君が最近毎日来てくれるようになって、嬉しい?」


天宮さんに問いかけられて私は笑顔で頷きます。


「はいっ!」

「…そう。よかったね。」


照れてしまう私を、何故か宮西さんが心配したような顔で見ています。


「桜子さん、行きましょうか。宮西も行こう。」


そう言われて、いつも通り三人で食堂に向かいます。


「…あと、二日でこの合宿も終わりですね。大変ではありましたが、なんだか少し寂しいです。」


私が声をかけると、二人が頷いてくれました。


「──そうですね。」


「ってことは、明後日模試かー。文転して初めてだから頑張んなきゃな。」


そんな事を話しながら三人で歩いていると、朱里さんが場所を取って下さったらしく手を振っていました。


 向いには四之宮さんもいます。


 …どうやら朱里さんは、向かいからひたすら見つめるという作戦に変えたようです。


 ──全然目は合っていませんが。

 

「ありがとうございますっ!」


そう言って駆け寄ると、和田さんが溜息を吐きました。


「──今日のメニュー、あんかけ焼きそばなんだけど俺、キクラゲ苦手なんだよね。誰か好きな人いない?」


すると、四之宮さんがスッとお皿を差し出しました。


「──頂こう。キクラゲの食物繊維に含まれるβグルカンには抗がん作用があるからな。」


そう言って真顔でキクラゲを食べます。


「…四之宮君っ、そんな事も知ってるの?!凄ーい!!」


朱里さんはそう言ってキラキラした目で四之宮さんを見ておりました。


(…朱里さんは、もはや四之宮さんが何を言っても、『凄い』と言っている気がします…。)


そんな二人を生暖かい目で見た後、焼きそばを食べ始めました。すると、隣の空いてる二席に誰か座ってきました。


 顔を上げると、それは──。


「──あ、桜子ちゃんじゃん。」


天宮さんでした。その言葉にピクリと慶一郎様が動きを止めました。


「…お疲れ様です。」


私がペコリと会釈するとブハッと吹き出しました。


「──お疲れ様って。仕事じゃないんだから。」


そう言った後、特に絡んでくる事もなく友人と楽しそうに話しており、ホッとしてしまいます。


 食べ終わって席を立とうとしたその時です。


「ねえ、桜子ちゃん。これあげるよ。さっき、自販機で当たっちゃった。俺の友達、あんまり甘いもの好きじゃないみたいだから。」


そう言って、ミルクティーを下さいました。ちなみに、私はミルクティーは大好きです。


「…ありがとうございます。」


私が御礼を言うと、満足気な顔で微笑みました。


「ん。喜んでくれてよかった。」


すると、後ろから慶一郎様に呼ばれました。


「──桜子さん、行きましょう。」


(…あ。)


私は会釈をすると、慌てて慶一郎様についていきました。


 なんだかいつもより早足な気がして、顔を覗き込むとギュッと口を引き結んでおりました。


「──慶一郎様。ちょっとお耳を貸してください。」


すると訝しげな顔をしながらも屈んでくれたので、耳元でそっと呟きます。


「──私も、慶一郎様以外の方を好きになる事なんて、ありえませんから。」


その言葉に慶一郎様が息を飲みます。


 もう一度お顔を見ると、今度は顔を真っ赤にして、口元を抑えていらっしゃいました。


「ほらー!!そこっ!イチャイチャしない!戻るよっ!」


朱里様に言われて私達は手を繋いで歩き出します。


「はーいっ!」


慶一郎様は、もう怒ってはいないようでした。


◇◇


「…明日で合宿も終わりだね。あーあ、四之宮君と会えなくなっちゃうの、寂しいなぁ…。」


最終日前日。部屋で模試の追い込みを二人でしながら朱里さんはポツリと呟きました。


「…受かったら、皆で絶対遊びましょうね。朱里さんだけ志望校がI大ですが。電車で20分くらいですし、帝都大に遊びに来てくださいね。」


私がそう言うと、朱里さんは頷きます。


「…だね。そう言えば帝都大の学食美味しいって有名だし、遊びに行く。


 でも、今みたいに皆で毎日一緒にご飯食べたり、くだらない話したりできる時間は終わっちゃうんだね。


 まさか、合宿中に好きな人が出来るなんて思ってなかったけど、共学に来れたみたいで楽しかったな。」


「…確かにそうですね。」


合宿という特別な時間が終わる寂しさ──それは、私も感じています。


(…慶一郎様に毎日会えなくなってしまうのですね…。)


「…受験、頑張りましょうね。」


私の言葉に朱里さんが真剣な顔で頷きました。


「うん。頑張る。」


私達は一通り復習すると、明日に備えて夜更かしせずに就寝しました。


◇◇


「終わったーーー!!」


先生のテスト終了の声と共に誰かが叫び、ワッと歓声が響きます。


(…結構手応えがありましたわ。)


私がそんな事を思って口元を綻ばせながら帰り支度をしている時でした。


「──桜子ちゃん。」


後ろから声をかけられて私は顔を上げました。


「…天宮さん。」


「──お疲れ様。次会う時は大学に入学してからかな。…これ。僕のLINEのID。もし、困った事があったら連絡して。」


そう言って、メモ用紙を渡されて困惑してしまいます。


「…あの。」


すると、フッと天宮さんが目を綻ばせました。


「っもう!そんな顔しないで。合宿中、ありがとうね。大学でもし会えた時は声をかけてね。」


そう言って手をひらひら振ると、友人と一緒に行ってしまいました。私は何となく、数秒間固まってしまいました。


 私は渡されたメモ用紙をクリアファイルの中に慌ててしまい込むと、教室を出ます。


「──桜子さん、一緒に行きましょう。」


すると、慶一郎様が教室前のベンチで待っていてくれました。


「っ、慶一郎様っ。お疲れ様ですっ。」


私がぎゅっと腕にしがみ付くと、慶一郎様のお顔が綻びました。


「…お疲れ様です。」


──今日はこの後、スマートフォンや書類を貰ってから、ロッジで荷物を回収して、解散となっています。


 近くの学生は家に帰り、遠方の学生は泊まる方もいるそうです。


 もう五時過ぎなので、私達は大阪のホテルに一泊してから朝帰ることになっています。


「おーい!!こっちこっち!!」


試験会場を出ると、宮西さんと和田さん、それに四之宮さんと朱里さんが手を振っていました。


 慌てて駆け寄ると、四之宮さんが淡々とスケジュールについてお話しし始めました。


「──もう五時だからな。荷物を取ったらここに集合で。20分後にタクシーを手配しておいた。


 割り勘して駅まで行ったら、電車で大阪駅近くのホテルに荷物を置きにいく。その後、夕飯を食べに行こう。


 一週間程前に、有名なお好み焼き店に六名で7時に予約しておいた。」


四之宮さんの言葉に皆さんがポカンとしています。


「…偉い手際がいいな。」


呆れたように慶一郎様が呟きます。


「大阪の有名店にお好み焼きを食べに来れる機会はなかなか無いからな。ではまたあとで。」


そう言ってスタスタとロッジに向かって行ってしまいました。


「──桜子さん、では後ほど。」


「はいっ!」


私は慶一郎様の言葉で皆さんにお辞儀をすると、朱里さんと一緒に女子用のロッジに戻りました。


「…なんだか二週間あっという間だったね。」


朱里さんが感慨深そうに呟きます。


「──そうですね。」


こうして私達はやっと二週間の合宿を終えることとなったのでした。


◇◇

 

「はー、めちゃくちゃ美味しかったね!!」


四之宮さんの予約してくださったお好み焼き店は本当に美味しくて、私達は感動してしまいました。


「私、海鮮の入ったソース焼きそばって初めて食べたかもしれません。イカ焼きそばって美味しいですね。」


「ねー!四之宮君のおかげだねっ。」


ホテルの部屋に戻って、朱里さんとそんな事を話していると、スマートフォンにメッセージが着ていました。


(…あ。)


──天宮さんからでした。


 合宿の時、なんだかんだで天宮さんに色々親切にして頂いたので、このままメモ用紙を捨てるのも人としてどうかと思ってしまったのです。


 私は連絡はせず、 IDだけ一応登録したのですが…。


『ID登録してくれたんだね。合宿中はありがとう。受験、頑張ろうね。』


連絡が来ると思っていなかったので、少し驚いてしまいました。


 私は迷った後、


『ぺこり。』


というスタンプだけ返しておきました。

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