あの女の子のことは教えてもらえなかった
「兄様」
「うん?」
「平和だね」
「毎回毎回何か起きてたらオレが発狂するよ」
「それはそう」
目が覚めてからしばらくが経ち、お狐様のおかげで全回復した私は今は元気にいつも通りの生活に戻っている。
教徒のみんなには、兄様のお祈りのおかげで治ったって言ってる。
間違いでも嘘でもないからいいよね、うん。
お狐様云々言うとみんな私まで信奉しそうだからやだし。
兄様もそれでいいよって言ってくれてるからお言葉に甘えて全力で兄様の手柄にしている。
「でも…犯人は捕まったの?」
「うん、クリンゲだよね?」
「そう」
「捕まったよ」
「今はどうしてるの?」
兄様に尋ねれば、微笑まれた。
「キューが心配することは、なにもないよ」
「あ、はい」
つまりは聞いてくれるなということですね、わかります。
ということなのでこれ以上は深くは突っ込まない。ちょっと気になるけれども。
過激なお仕置きはされてないといいなぁ。
でも多分、兄様だけじゃなくて教徒たちからもヘイト溜まってるだろうし…私を守ってくれた彼のこともあるから、私も恨んでるところもあるし。
だからって過激すぎるお仕置きはやっぱり嫌だけどね。
「お寺の修復もようやく終わったね」
「しばらく掛かったけどね」
「爆発すごかったもんね」
「キューが元気になって本当に良かった」
「お寺も元通りだし、あとは…」
ボディーガードの彼が心配だけど。
ただ、兄様は今は私に彼に近づいて欲しくないらしい。
ヤキモチとかじゃなくて、ぼろぼろの彼の姿を見せてトラウマにしたくないのだろう。
彼にも逆に気を遣わせるかもと思うと、自分から彼の部屋にはいけない。
でも、最近はお医者さんや看護師さんになった経験のある教徒がつきっきりじゃなくても良くなったらしいからちょっとマシにはなったはず。
「彼のことが気になるかい?」
「助けてくれたから」
「そうだね。相当な爆発だったから、彼がいなければキューは危なかった」
「だいぶ治った?」
「治ってはきてるけどね、命に別状はなくともちょっとまだ酷くて。マシにはなったけどね」
まだまだ大変そう。
「兄様、これ」
「うん?」
「助けてくれたから、お礼の手紙と編みぐるみ」
「ああ…こそこそなにか準備していると思えばそういうこと」
「前の二人はクマさんだったから、今回の二人はウサギさんにした」
ちなみに結構な力作だ。
兄様の手を借りずに作ったにしては上出来なはず。
「うんうん、二人とも喜ぶだろうね。届けておくよ」
「ありがとう、兄様」
兄様にお礼を言ったら、何故かおでこにちゅーされた。
「キュー、あともう少しだからね」
「?」
「ふふ」
なぜかご機嫌な兄様に首をかしげるが、答えが見つかることはなかった。




