第4章 第18話 仕掛け準備と私
「ガハハハハ!そう言う事かよ、竜王からお呼びがかかった時はヒヤヒヤしたぜ」
竜王の元にやって来た時は『バラしやがったな!』って喚き散らしていたくせに私からアンピプテラの事を聞くとドワーフのおっちゃんは安心したように豪快に笑い飛ばしている
「まったく、この私がバラすわけないでしょ」
「しかし、あの竜国最強と言われているアンピプテラ様が実は弱いなんでな・・そんな秘密ワシに話して本当に良かったのか?」
「別に問題無いわよ、おっちゃんたってその話を竜たちにしたら自分がどうなるかなんで分かるでしょう?」
「・・あ〜、そういう事かよ」
頭をボリボリと掻きながら納得した様子のおっちゃん
「アンピプテラ様が弱いなんで話したところで竜達は信じはせんだろうな、逆にワシの方がアンピプテラ様を最強と妄信じている竜達にボコボコにされるって訳が・・」
そういう事、人も竜も自分が信じていた事が間違っていたなんで言われたくらいで簡単に受け入れたりなんでしないのである
「けどおっちゃんはよく私の話を信じてくれたわね?」
「・・ワシだってアレを見なければ信じられんかったわ・・」
ジト目になったドワーフのおっちゃんが指差す先には、蝙蝠男を心配しているだろうと呼んでおいたピピ達が集まっているのだか・・
「うえっ・・うぐぐぐっ・・うっうっ・・ひっく・・」
「ああ!アンの愛らしい顔にキズが・・!」
「ん?確かに鼻の頭に少し赤くなっておるな?おい、角女大丈夫か?」
「うう・・うぐっ・・さ、さすがは魔国の姫・・ひっく・・この我に・・グスン・・このような・・手傷を負わせるとは・・うう・・」
「ご、ごめんなさいアン姫様!私が魔玉をたくさん出してしまったから!」
「レティカのせいじゃないゾ、エレサのライブの時にやっていた魔玉を使って空中に文字を作ったりしたのをもう一回見たいってせがんだのはアンの方ダゾ」
「そうよアン、レティカのせいじゃないでしょ、アンが飛び回る魔玉にあしゃき過ぎて自分の尻尾につまずいて転んだんでしょう、だからそんなに泣かないの、ちょっと鼻の頭を擦りむいただけよ、痛いの痛いの飛んでいけ〜、ほらアン、これで痛くなくなったでしょ」ナデナデ
「アン様、念の為に赤くなっているところにこの塗り薬を塗っておきましょう」
「・・うん」
蝙蝠男達は竜国でもライブをやっていたのね
・・けど、エレサのアンに対する態度が孤児院の年少さんに対しての接し方と同じになってるわね
「アンピプテラ様のあんな姿見たらなぁ・・」
「まぁ、ワンワンと大泣きしてみんなに慰められているアンの姿を見れば、嫌でも弱いって納得しちゃうわよね」
さっきドワーフのおっちゃんを連行してきた竜の兵士達も城に入らないように追い出さなければ、このワンワン泣くアンとその姿にオロオロする竜王の姿を見ていたのよね・・
「みんな、ドワーフのおっちゃんも来た事だし、話し合いを始めるわよ」
「癒し手様!」
私が声をかけると誰より早く竜王が私に駆け寄りギュッと手を握り締めてきた、そして涙を溜めた瞳をこちらに向けて・・
「貴方のお力でどうか!どうか娘の怪我をお治しください!」
「癒し手舐めんな」
なんだその不死の病におかされた娘を救って下さいって言わんばかりのノリは、アンは鼻の頭を擦りむいただけでしょか!
「なぁ・・あんたが・・いや、貴方様が本当に竜王様なんですか?」
隣にいるドワーフのおっちゃんは私から聞いてはいるのだか、やはりこの疲れた中間管理職風の親バカが本当にあの竜王だと納得が出来ていないのだろう
「えっ?は、はい、私が竜王ムンガルドですけど・・あなたは?」
「私が呼んだドワーフのおっちゃんよ」
やっぱりこの親バカ竜王、転んだアンの事でオロオロしていて私が連れて来たドワーフのおっちゃんの事に気づいてなかったようね
「この人が癒し手様の言っていたドワーフの・・はっ!」
突然走り出して謁見の間に行く竜王?
ピカッ!!
「ククク!土の民よ!貴様は深淵なる闇にその足を踏み込んだのだ!ただで帰れるとは思わん事だ!」
「今更威厳出そうとしても遅いわよ!」
まったく通訳係もいないだから!めんどい事しないでよね!
「さっさと話し合い始めるんだから人化してこっちに来てよね」
「は、はい」
竜王が再び人化をしてこっちに来ると蝙蝠男達も集まってきた
「ミコ様、話と言うのは、アン様と蝙蝠男様が戦う準備に関してでしょうか?」
「アンに怪我させないようにプロデューサーが戦うのよね?そんな事出来るの?」
半べそをかいたアンの手を引くエレサが心配そうに質問してくる
「それはね・・」
みんなに私の考えを説明する
「それって本当に作れるの?」
「ふむ、その仕掛けって元の世界でもめっちゃ難しいのではないか?」
確かに簡単じゃないわよね
「どう?おっちゃん作れそう?」
「面白え仕掛けを考えやがる・・」
私の説明を聞き、目をつぶり、低くうねり声を上げるおっちゃん
「やっぱり、この仕掛けを作るのは無理っぽい?」
「いや、出来る出来ないって言うなら・・出来る」
「マジで!」
「本当ですが!」
その言葉に喜色の顔でドワーフのおっちゃんの手を握り、何度も振る竜王
「癒し手様共々あなたは私達親子の恩人です!」
「いや、ちょっと待ってくれ竜王様・・」
「様付けなど、私の事はムンガルドとお呼びください!私もあなたの事を・・そういえば恩人である貴方の名前をまだ聞いていなかったですね!」
ん?そういえば私もドワーフのおっちゃんの名前知らなかったわね
「ん?そういえばまだ名乗っておらんかったな、ワシの名はボロロ・ゴルボット・・」
「ボロロ・ゴルボットさんですか・・おや?ドワーフ王と同じ名なのですね」
「ギクッッッッ!!・・そ、そ、そうなんじゃよ!偶然に同じ名でな!本当に!ワシ!王とか関係ないから!」
竜王に指摘されたドワーフのおっちゃんの目が高速で泳いているんだけど・・
「おっちゃん・・あんたもしかして・・」
考えてみれば竜王の秘宝の隠し通路って国家機密なのよね、ならドワーフ族でも国家機密のはずなんだからそこらにいるドワーフが知っている訳がない、知っているとしたら・・
「なんだその目は!嬢ちゃんまでワシがカミさんに浮気がバレて、事前に用意しておいた城の抜け道から逃げ出し、ほとぼりが冷めるまで竜国で酒を入り浸りにしようとしているドワーフ王だと勘違いしておるのか!?」
「まだ何も言ってないでしょうか・・」
というよりそこまで言っちゃったら、もう自白しているようなもんなんじゃ?
「そうなんですね、すみません竜族なもので別種族の顔立ちが理解できませんので・・そうですよね、こんなところにドワーフ王がいるわけないですよね、あはははは!」
「あんな言い訳で納得したの!?」
今の90%自白したようなもので納得しちゃうって、この竜王が王様で竜国は大丈夫なのだろうか・・?
「とにかくこの話はこれでお終いだ!それよりもさっきの話がまだ終わっておらん!」
早くこの話を終わりにしたいんだろうな、この浮気ドワーフ王のおっちゃんは・・
「話が終わっていないってどういう事?おっちゃんならあの仕掛けを作れるんじゃないの?」
「確かにワシになら嬢ちゃんの仕掛けは作れる!・・しかし一つ問題がある」
「問題って何よ?なんか難しいところあるの?」
「難しいと言うか・・人手が足りねえんだよ」
「人手?」
「この仕掛け、細かなところは魔法に頼らず手作業で作らねえといけねえからな、そうするとどうしても人手が必要になるんだよ」
・・まぁ、確かにこの手の仕掛けって小さなほころびから大失敗に繋がる事があるものだし、慎重に手作業で作らなきゃいけないのはわかるけど・・人手が〜
「それならば、私が竜達に命令して手伝わせれば!」
「ダメよ」
竜王の提案はすぐさま却下する
「なぜですか!?」
「あのねぇ〜アンの秘密を守るためのこの仕掛けを作るのよ、その仕掛け作りを竜達に手伝わせたりしたら本末転倒でしょうか」
「あっ!確かに・・ですがどうすれば!」
「竜以外に頼むのは?」
「それもダメね、下手な奴らに手伝わせるとそこから竜達に仕掛けがバレる恐れがあるわ」
喋らないように言ったところで守ってくれる保証もないからね
「どこがに竜達と関係なくて口が硬くで私の言う事には絶対服従の働き手がいれば良いんだけど・・」
「そんな奴らがいるわけ無いだろうか」
「そうよね、そんな都合のいい連中がいるわけ・・あっ!」
いたわね!そんな連中が!!




