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プロローグ

久瀬(くぜ) 理人(りひと)は、感情を持たない。


少なくとも、そう定義することで、彼の言動はすべて説明できる。


言葉は常に正確で、そこに揺らぎはない。

そこにあるのは、事実と論理だけだ。

だから彼は、誰にも影響されない。


——はずだった。


朝比奈(あさひな) 心春(こはる)が、彼の前に現れるまでは。




 ——と、書いて、未羽(みう)は手を止めた。


 ノートに目を落とし、今しがた書き終えた文章を読み返す。


 “久瀬理人は、感情を持たない”


 その一文を、未羽はもう一度なぞるように見つめた。



挿絵(By みてみん)


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