表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面を被ったまま生きていた部屋  作者: 巳ノ星 壱果


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/28

23話 わたしはまだ治っていない

 第26章 わたしはまだ治っていない



 あの男性社員に怒られてからも、私は変わらず仕事に行った。


 休む理由なんて、どこにもなかった。


 ここは社会復帰へのリハビリにすぎないからだ。


 この狭い世界では、どうやら男女なんて関係ないらしい。


 群れたものが強い。


 ただ、それだけだった。


 みんな、一人になれば弱い。

 顔色をうかがいながら、生きている。


 ちっぽけな世界で生きている弱い人間の集まりだと思った。


 わたしが今立ち止まっていても、振り出しに戻るだけ。

 そう考えていた。


 私には、前を向いて進む未来しかなかった。


 数日経った頃だったろうか。


 そんな中、仲良くなった派遣の女性の一人が、ぽつりと呟いた。



「体調が悪いんです。実は、私、鬱病なんです」



 彼女は、自分のことを鬱病だと言った。


 周りは、



「無理しないでね」



 と、当たり前のように声をかけていた。



 精神の病を、隠さずに口にできる。


 世間では「精神病は甘えだ」と言う人もいる。


 でも、私の考えは違った。


 彼女は、自分の弱さを口にできる。


 それは、とても強いことだと思った。


 私は、誰にも言えなかった。


 私は、甘え方を知らない。

 誰にも甘えられない。


 その癖が、昔から染みついていた。


 そして、あの部屋に住んでから、

 気づけば私は、ますます人に甘えられなくなっていた。


 そんな自分に、ようやく気がついた。


 私は、ただ無理やり薬をやめただけだった。


 それが本当に「治った」と言えるのか、

 正直、わからなかった。


「この閉鎖された狭い世界にいるのは、もうやめよう」


 そう思った。


 私は、気がつけば退職届を出していた。


 新しい場所で、もう一度やり直すために。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
自分自身と向き合って一歩を踏み出すことにしたのですね。 (´;ω;`) 環境が好転することを祈ります。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ