川名 光弘 の物語>出会い 9
「光弘!おーい。起きろって!」
見た目とは違う、以外にもがっしりとした勝の背中で、俺は目を覚ました。
眠ってしまった俺を勝が背負ってきてくれたようだった。
両隣には、前後にランドセルを担いだ都古と真也が歩いている。
「悪いっ。」
「おい!ちょっと待てって。」
慌てて背中から降りようとした俺を勝が止めた。
「まあ、落ち着けよ。靴もはかねーで降りたら足がドロドロになんぞ?それよりさー。家。俺らと同じ方向だったよな。」
勝にそう言われ、改めて周囲を見回してみれば、そこはすでに俺の家の近くだった。
俺がうなずくと、3人はホッとしたように笑顔になった。
「なあ。向こうの空、すごいぞ。」
後ろ向きに歩きながら、都古は興奮した声を上げ空を指した。
振り返った俺は、目を見開き、そして息をのんだ。
さきほどまでの荒れ狂う暴雨がまるで嘘のように、空は晴れ渡っていた。
目に映る全てのものが、鮮やかな夕日を受け溢れるほどに輝いている。
不思議な七色の光の粒がそこかしこで弾けては、光の海の中へ次々と溶けていった。
心の中に、直接夕日色の絵の具を流し込まれたかとおもうほどの、あまりの鮮烈さに胸の中が激しくざわめく。
「すごい夕焼けだろっ!こんなの初めてだ。明日は間違いなく、いい天気!」
真也はカラカラ笑って言ったが、何かを思いついたのか、抱えているランドセルをポンと叩いた。
「そうだっ。明日光弘も一緒に、みんなで俺んちで飯食おう!決まりなっ。決ーまりっ!」
「光弘」と呼びかけてくる3人の笑顔に、俺は自分でも気づかないうちに微笑み返していた。
夢に出てきた、あの青年のおかげだろうか。
自分の中でどんな変化が起こったのかわからなかったが、この3人と共にいても、大丈夫だと強く感じることができた。
夢の中とはいえ、あの青年の名前すら聞かなかったことを俺は後悔した。
4人で歩きながら、俺は、懐かしい仲間と再会できたような・・・・・かけがえのない大切な人にようやく巡り合うことができたような。
そんな、熱を帯びた胸の高鳴りを確かに感じていた。




