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川名 光弘 の物語>出会い 1

 姉さんが死に、母さんが倒れ、俺は転校することになった。


 家に帰っても、学校に来ても、俺が独りでいることに変わりはない。

 大勢の中で独りなのと、誰もいない家の中で独りでいるのと、それだけの違いしかなかった。


 学校で、自分の周りに集まってくる人々に仮初(かりそめ)の笑顔を向けていれば、何事もなくただ時だけが過ぎ去ってくれる。

 いつ訪れるとも知れない解放される時を心を殺して独り待ち続けることしか、俺にできることはなかった。


 俺のせいで、姉さんは死んだのに。

 俺が生き続けているのは、なぜなんだろう。

 夢の中でくり返される姉さんの最期に、目には映らない傷口が深く深くえぐられていく・・・・・・。


 転校直後から始まった野崎たちからの嫌がらせは、俺の心に別の大きな傷を作った。


 毎日のように蹴られ身体に暴言を書きなぐられては、シャワールームだと言って掃除用ロッカーへ押し込まれ、冷水をあびせられる。


 ・・・・・誰でもいい。

 誰か・・・もう終わらせてくれ。


 独り心の中でポツリとつぶやきながら、俺はこの痛みを感じることで、悪夢に深くえぐられていく心の痛みを誤魔化そうとしていた。


 俺が死ねば必ず誰かに迷惑がかかってしまう。

 俺は最期まで、この痛みから・・・・・生きることから逃げるわけにはいかないんだ。


・・・・・全てのことがどうでもよくて、全てのものをもうこれ以上傷つけたくなかった。


 押し寄せる寒さに凍えきった身体を、冷たい金属のロッカーへ預け、暗闇の中俺は、これでいい・・・このままでいいと思った。

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