白妙>出会い 1
白妙は強い。
大半の神妖は、姿を見ただけで逃げ出すほどである。
しかし、防神の強靭さは、術者の力量に比例するのだ。
都古に防神の術を施したのが、今世最強の術者と名高い都古の父ともなれば、白妙といえども防神を相手に強引に精神に干渉するのは至難の業といえた。
それでなくとも、都古に憑依するために精神を2つに分け、一方は現実で都古の身体を操っている、万全とは言えない状況なのだ。
どう考えても白妙の分が悪い事は明白だった。
面倒なことになろうな。
と考えつつ、白妙は都古の精神の深層領域に降り立った。
都古の怒りの感情から発生する炎の刃が次々と襲い来る中を まるでそよ風でも受けているかのように悠々と歩きながら、白妙は少し機嫌がよかった。
友人とのかかわりに対してかなり臆病な都古は、大切な友人に隠し事を続けている事実にいつも心を痛め、苦しんでいた。
そんな都古を影ながら支えている白妙は、逆恨みに近い感情だと理解しつつも、都古の苦悩を知らずにのんきに過ごしているであろう友人たちに対し、多少なりとも不満を持っていたのだ。
白妙自身も気づいてはいないが、秘密を厳守するため監視を含め一切干渉しないよう都古から約束させれていたことも、大きな不満の一つになっていたと言える。
要は、仲間外れにされたようで少し寂しかったのだ。
しかし、都古の目を通しようやく感じることのできた友人たちの心の色は、都古に対する想いであふれていた。
白妙が操る都古の姿を目の当たりにしてなお、真也と勝という少年たちの、都古に対する強い想いは少しも揺らぐことがなかった。
それに、3人が救おうとしている少年。
都古の感情の蓋を一瞬で吹き飛ばしてしまった、光弘という少年は・・・・・・。
人間という生き物にかかわるようになり、それなりに長い時間を経た白妙の目に、この子供の持つ色ははっきりと異質に映った。
覗いている白妙の心を締め付けるような切ない響きをもつ色。
私は、こんな色を知らない。
時間に猶予のある状況ではないと理解しながらも、白妙は光弘の心の色に魅かれ、繊細に移ろいを見せるその色から目を離すことができずにいた。
「!?」
白妙は息をのんだ。
見つめる色の中に、ほんの一雫だけだが、見知った色が混ざりこんでいるのが目に飛び込んできたのだ。
「まさか・・・・・。」
ついさっきまでの、蓮のつぼみが花開く様を見るような高揚とした気持ちは一瞬でかき消え、苦い思い出がシミのように胸に広がっていった。




