ぼくっ娘と。……み、見えた!!
ほんと、すみません。
俺の考えは、取り越し苦労に終わった。
彼女には、きちんと黒髪があった。
うん。
よかった。
これでハゲとかだったら、俺もうどうしていいのか分からない。
「つか、づらっ?!」
「づらじゃない、ウィッグだ!!」
「どっちも同じ気が――「ダマレッお前の脳天打ち穿ってやる!!」」
NGワードだったようです。
「わー、がんばれー」
「応援してないで助けろよ!!」
「やだ」
「そこでじっとしていろ! いま撃つ」
「誰か助けて下さい!!!」
「って、なにやってんの君たち」
「っ?!」
俺が声のほうを見ると、少女が階段を下りてきところだった。
ショートカットの黒髪で、どこか犬を思わせる元気っ子。か、かわいい。
あんな子がクラスに一人欲しかった!
「まったく。クロエったらなにやってんの? 玄関が壊れるから撃っちゃだめだよって、ぼく何度も言ってるよね?」
こ、この子は、ぼくっ娘?!
た、ためらいもなく自分のこと、ぼくって言ったっ!?
「だが、こいつはオレのウィッグを……」
ぼくっ子は、俺の目の前の階段を降りてくる。
ちなみに、俺は倒れた状態。
彼女は結構なミニスカート。
男のロマン……!!
「見えたっ!!」
「クロエ、やっぱりこいつ、ためらいなく撃ちぬいちゃって」
「あぁ、もとよりそのつもりだ」
すみません!
ついです!
たまたまです!
出来心です!!
あ……
「ぼ、ぼくはっ……なるほど、出来心なんだね。やっぱり、男なんて最低だ!」
「ナチュラルに心を読まないでください!」