疑心暗鬼
いつからだ、奴はいつからあそこに居た? 戦っている最中は確かに居なかったはずだ。レイスと視線が混じり合う、ぞわりと悪寒が体に触れる、闇夜に浮かぶ二つの赤い光は人間の目には到底見えはしない。
汗が噴き出した、部屋は零度以下なのに汗がこんなに出る訳が無いだろう。これも奴のせいか、ゆらりと小さく揺れて奴が近寄って来る。
「レイス! やっぱり近くにいたわね!」
マギサは咄嗟に俺の前に出た、奴から守る為に。良く見るとマギサも汗を流していた。
「ほぅ、余程その矮小が気に入っていると見える」
「うるさいわね、あんたなんか居なければ……最初から居なければ……」
「心地良い憎悪だ。醜悪に満ちたものを眺める眼、実に心地良い」
震えを含ませた彼女の声は怒りを孕んでいる、奴は憎悪だと言った、マギサはレイスを憎んでいるのか? だから仲間を抜け出したのか?
ならマギサと共闘するにあたっては丁度いいかもな、レイスが敵であるのには変わりは無い、あの日は圧倒的に俺が劣っていたが今は違う、絶氷空間の中にいる。あの三人だって手足が出せなかった、なら奴に勝てるはずだ。
とにかく今は体力の回復に専念だ、二人が話している間だけ休ませてもらう。
「マギサ、我を牢獄から解放しろ。そうすればその矮小は見逃し、お前も見逃そう」
「絶対に嫌よ! あんたが牢獄から解放されたら……絶対ダメ! ここであんたは死ぬの、これまでやってきた罪を贖罪しなさい!」
「そうか、やはり無理か。我の油断が招いた事だ、仕方が無いのだろう。ならば来い、我に力を見せてみろ」
「絶対に殺してやる、私の全てを賭けて! 佐波くん援護をお願い!」
「あ、ああ……」
うねる様にマギサの黒い粒子が動き出す、それは一つの生き物の如くレイスに突撃を開始した。
先端を尖らせ、螺旋状の触手となり四方から迫る。
「小賢しい真似を」
一瞬でマギサの背後に急接近したレイス、速過ぎて見えなかった。だがマギサにはそれが見えていたらしく、背中に粒子を集め、槍と成し穿つ。
即座にここだと俺は絶氷空間の能力を活用し、レイスの足を固める事に成功させる。驚いた風に足元に奴の視線が集まるが、直ぐにマギサを向く。
「行け、我影!」
地面から突如出現した人型の影達、それらがマギサの粒子を掴み、動きを止める。
辺り一面から次々と影の人型が量産され、囲まれた。
「ちっ、なんて数だよ!」
「さ、佐波くんお願い!」
これだけの数を氷に閉じ込めるのは出来るだろうが果たして俺の体力が持つかどうか、だがやらないと殺られる。意を決し、命令を放つ。
次々と結晶となって行く影、全身を固めてやれば動けないはずだ。マンションの時だってそうだった。俺が影を請け負っている間、マギサはレイスに攻撃を仕掛けていた。
酷く顔が歪んでいる。分かる、あれは憎しみの歪みだ。
槍、弾、剣、様々なものを精製し、ぶつける。
だが、レイスは足元の氷をいつの間にか壊し、それを難無く避け続けて行く。
おかしい、マンションで戦った時は攻撃を当てた筈だぞ?
「どうした、その程度か?」
「くそ、何で当たらないのよ! くそ! 当たれ! 当たってよ! 取るんだから、敵を取るんだからぁ!」
ああそうか、憎しみだ。マギサは憎しみにつき動かされて攻撃に鈍りが生まれたんだ。会話から読み取るならあの男、レイスはマギサの知り合いを殺したのだろう。あの怒りようから察するに、親か親友か恋人のどれかだろう。
こいつらは一体何が目的なんだ、大切な人達を傷付けて、憎しみを生み、育てる。
許せない、まこちゃんが何をしたと言うのか。
「どうした、一つも当たらないが?」
「くそ、当たれ! 当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ当たれぇーー!」
黒き槍が奴に牙を向き、放たれるが避けられた。レイスが地面に足を付けた瞬間、絶氷空間の能力を発動させる。
両足を瞬時に固めてやる、それから両腕腕も。これで何も出来ない。
「ぐっ、小賢……」
「今だマギサ!」
「うわあああああああ!」
正に電光石火だった。マギサの渾身の一撃はレイスの腹を貫いた、流れる黒い血、口からも腹からもおびただしい量が床に池を作る。
「がふっ、ぐっ、ぬかったか……」
「はぁ、はぁ、はぁ……」
終わりだ。奴も俺も、もう限界で膝が勢い良く地に落ちた。
息が荒い、体が震え、波の様に疲労が体を食いちぎって来た。
「佐波くん……大丈夫?」
全てをやり遂げた、そんな顔をするマギサは笑っているのか泣いているのか判断が難しい。
ぼんやりと俺を一瞥していた。
「だ、大丈夫だ……少し休めばな」
「そっか、……ちょっと待っててね、とどめをさしたらお姉さんが気持ち良い介抱をしてあげる」
「はぁ、はぁ、……痴女再び、だな」
そう言うと彼女が笑った。
噛み締める様にゆっくりとレイスに近付いて行くマギサは喜びと怒りを滲ませた感情を抱いている。
ある程度近付き止まる、空ろな瞳に見えるがしっかりした眼差しがレイスを焼く。
「……ようやくだ、ようやく私はあんたに復讐出来る……長い時間ずっと待っていたんだ、この時を。あんたが、あんたが……彼を殺した、それが許せない、許せないのよ!」
「……復讐か、人間の感情など分からないな」
「ええ、そうでしょうね。でも理解出来ない私に殺されるのよ、今から。今のあんたなら確実に殺せる、惨めに死んで行くのよ?」
右手をレイスに向ける、それを求め黒い粒子が纏わる。
「最後に言う事はある? あったとしても聞いてあげないけどね。じゃ、そろそろ死ね」
漆黒の槍が生まれ、憎むべき標的に向かう。
憎むべき者を己の手で倒す、それは当たり前の感情だろう。俺だってもしまこちゃんを失う事になったのならきっとマギサと同じになると思う。
いつまでも一緒にいたい、いつまでも手を繋ぎたい、いつまでも……。
大切な人ってそんなものじゃないのかな? 他の誰かはどう考えるかは知らない。
少なくとも俺はそう考える。
マギサの思いが成就されたと願いたい。
だが、何故マギサの顔は驚愕を形作る?
伸ばした手は何故レイスが居たはずの空間を彷徨う?
何故俺の視界からレイスが消え失せている?
「消えた?」
情けなく俺の口がそう言った、だってそうだろ? 復讐を成し遂げる瞬間に奴は消えたのだ。
俺がこれだけ驚くなら、マギサは更なるどん底に落とされた気分に違いない。
何処だ? 奴は何処に行った?
「どこを見ていますの? 油断し過ぎですわマギサ」
聞き覚えのある声、だがそれは俺が固めた筈だ。視線を結晶化させた者の場所に向ける。
そこには何もなかった、氷の結晶が無い。まさか、抜け出たのか?
探し回るとそれは無意味だと気が付いた、マギサの真後ろにそいつは居た。
「メイディア!」
「おっと、動かない方が懸命ですわよ? わたくしはいつでもあの少年を攻撃出来ますのよ?」
メイディアと名の女は手の平に黒い球体を出現させ、俺に照準を合わせていた。
くそ、もう一度あいつを固めてやりたいが体力の限界だ、立ち上がって歩く事すら出来ない。
ちくしょう、マギサの足枷になってしまったのか。
「惨めだな矮小。やはりただの人間だったと言う訳か」
ああ、もう何も驚かないさ。メイディアがあそこにいる時点でこいつが復活する事だって。
「ど、どうやって……抜け出した?」
「ふふっ、不思議不思議で仕方が無いのですわね? 面白い攻撃を見せて頂いたお礼ですわ、教えて差し上げます。わたくしは人差し指を噛み切り、それに宿る力を使っただけですわ。効力は手に触れた物の状態を戻す力……例えばわたくしが着ている服、先程マギサと戦って肩の部分に亀裂が出来てしまいましたけど、わたくしが人差し指の力を使ってその部分に触れると元の切れる前に戻せますの。ただ、同じものは一回しか出来ませんけど……つまり、戦闘を行う前に保険として先に人差し指を噛み切っていた。氷の元の状態、この場合は水蒸気になってわたくしは自由、という訳ですわ」
だから気付かない間に抜け出せたのか。
ならば理解出来る、風穴が空いたはずのレイスの腹が元に戻っている事が。
見上げた先に見下すレイスがいた、どす黒い眼球に真っ赤な瞳孔が体を震わせた。
「レイス様、その少年を任せても良くて? わたくしは他の方々を助けますので」
「ああ、任されよう」
「と言う事でマギサ、下手に動かないで欲しいですわ。貴女の大事な大事な少年が消滅しちゃいますかも知れませんのだから……ふふっ」
「ぐっ……くそ!」
微笑みながらメイディアは結晶化したリーゼスへと足を運び、人差し指を囓る。
そのまま氷に触れた瞬間、リーゼスが復帰。
「ぬう、済まないなメイディア」
「いえいえですわ。さて、次は問題児ですわね」
ロゼリアを同じ方法で助け出す。これで全員が復活してしまった。
何て事だ、体力が限界な俺は人質にされてマギサの足を引っ張っている、正に絶体絶命って奴だな。ちくしょう。
「気分はどうかしらロゼリア?」
「最悪だし。……人間の分際でワタシに屈辱を……許さないし、許さないしぃいいい!」
一気に駆けて来たロゼリアは俺の腹に力一杯の蹴りを食らわせた。
苦痛に顔が描き変わる。
「がああああ!」
「ワタシを弄んだお前が憎らしい! この! このぉ!」
落下してくる靴底は背中に食い込んでは離れ、また食い込む。
痛い、ちくしょう、何も出来ないなんて惨めだ。
「がっ! ああああ!」
「キヒヒヒヒ! いい気味だし! もっともっと泣かせてやるし!」
「や、止めろぉーー! 佐波くんに乱暴するなぁ!」
動けない自分が本当に情けない。マギサに心配をかけて、まこちゃんも助けられないで、何て俺はちっぽけな人間なんだ。
「キヒヒヒヒ、まだまだ足りない、どうしたら苦しめられるかなぁ…………ああ、そうだ、そうだったし……キヒヒヒヒ。マギサ、ご苦労様だったね、こいつを連れて来る任務、ようやく達成だね」
何?
「え? 何を言って……」
「もう演技は良いんだよ、マギサのおかげで邪魔なこいつをここに連れて来られたんだから、キヒヒヒヒ!」
演技だっただと? マギサは俺を騙していたのか?
だが、レイスから俺を助けてリーゼスと一緒に戦ったじゃないか。
「キヒヒヒヒ、信じられない顔してるねその他。全部演技だったんだよ、だってさ、見ず知らずのお前を何でマギサが助けるの? 得な事何て無いじゃない。お前は騙されていたんだよ」
「ち、違う! 私は佐波くんを騙してなんか無い!」
「じゃ、何でここに連れて来たの? 助けたいなら矛盾してるし。キヒヒヒヒ、ムキにならなくても言えば良いじゃん! 騙していたって! キヒヒヒヒ!」
「違う! 違う、違う、違う、違う、違う! 私は……佐波くん、お願い、私を信じて!」
冷静に考えるんだ。冷静に、冷静に。
マギサは初めから謎だらけだ。何故俺を助けてくれたのか、奴の目的も、マギサ自身の事も話してくれていない。
やましい事が無ければ話したって支障は無いはずだ。なら、今までのは俺を騙す……演技だった事になるぞ?
だが、あいつの顔は今にも泣きそうで、切ない。
「佐波くん、私は騙してなんか無いよ! 私は貴方を助けたかった! ただそれだけなの!」
「……マギサ、どうして俺を助けたかったんだ? 俺とお前は赤の他人なはずなのに……どうしてだ?」
「そ、それは……えっと……」
その理由を何故話せない、話してくれたなら俺はお前を信用出来るのに。
マギサ、お前は何を隠している、まさか本当に騙していたのか? 複雑な思いは、彼女と目を合わせない。そんな悲しい選択を余儀無くされた。
「キヒヒヒヒ!」
「ふふっ、本当にロゼリアは嫌らしいですわ。でもそんな貴女をわたくしは気に入ってましてよ? 光栄に思って欲しいですわね」
「誰が光栄に思うもんかこの変態め。……キヒヒヒヒ、でも良い眺めだよ。ギクシャクした二人を見るのって。キヒヒヒヒ。さてとレイス様、皆川真をここに連れて良い? 少し遊びたいし」
「どうでもいい。お前の好きにしろ」
ロゼリアはニヤリと笑って奥に消えて行く。それからしばらくして帰って来たのだが、一緒に連れて来た人物が視界に入った瞬間、霧が晴れた様な感覚が生まれた。
その光景を驚愕して見詰めるしか出来なかった。
ハッキリと分かる、彼女の顔が。まこちゃん、皆川真がロゼリアに手を引かれて現れたのだ。
「わ、分かる、分かるぞ! ま、まこちゃん!」
「キヒヒヒヒ、その他、お前に皆川真の記憶を復活させておいたよワタシの楽しみの為にね。さぁおいで皆川真、お前に敵を取らせてやるからさ」
「あ、う、かた……き? かた、き? あうう?」
なんだ? まこちゃんの様子がおかしい。空ろな目、視線が定まっていない。よろよろと危なっかしい足取り、彼女の瞳に光が無いのだ。
「まこちゃん! 俺だ! まこちゃん!」
「キヒヒヒヒ、無駄だよ。今のこいつにはワタシの声しか聞こえないし、周りも見えない、思考を少し押さえ込んだんだからね……キヒヒヒヒ」
「あ~う~、かたき? かた、き? あう?」
「思い出してご覧よ、お前の母親や弟の事をさ。キヒヒヒヒ!」
母と弟、この二つに反応を示した。見る見ると顔は悲しみに歪み、涙を流す。
体が震えだし、膝を地に落として絶望を口ずさむ。
「あ、あああ、ママ……心……」
「キヒヒヒヒ、あの二人、死んじゃったんだよ?」
「なっ! 嘘だ! 二人は生きている! 俺がこの目で見たんだ、騙されるな!」
「無駄無駄、皆川真にはワタシの声しか聞こえないしぃいいい! キヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
「し、死んだ? ママが? 心が? …………あ、あああ、嘘だ! 嫌あああああ!」
歪んで行く、彼女の顔が絶望に歪んで泣いている。
悲しい思いを二度とさせないと誓ったのに、それなのに俺はなんて無力なんだ。
「ロゼリア! 貴様一体まこちゃんに何をしやがった!」
「キヒヒヒヒ、目を合わせた奴の精神世界にワタシの分身を作りだし、皆川真の精神世界をちょっといじくってね、キヒヒヒヒ、今はワタシの言う事しか聞かない。どうだその他、悔しい? お前の女をワタシは好き勝手に出来るんだから。ワタシはお前を許さないし、ワタシに屈辱を味合わせたお前を許さないし! キヒヒヒヒ、プレゼントをあげる、気に入ってくれるかな?」
何をする気だこいつは、なんて苛立たしい笑みだ。見ているだけで腹立たしい。
キヒヒヒヒとまこちゃんに歩み寄り手を取った。
「おいで皆川真、お前の大切な家族を殺した奴を教えてやる」
「……ママを、心を、殺した奴?」
「そうだよ、キヒヒヒヒ、ほらおいで……」
ふらふらと立ち上がらせまこちゃんを誘導して行く。
二人は無言のまま、俺の目の前に立った。
「キヒヒヒヒヒヒヒヒ! こいつだよ、こいつがお前の大切な家族を殺した張本人!」
「……こいつが? こいつがママを、心を殺した奴?」
彼女の憎悪が俺に降り掛かって来た。一度も見た事のない憎しみに染まる顔。
俺だと分からないのか? まこちゃん!
「違う! 俺だ! 峻だ! まこちゃん騙させるな!」
「無駄だし、キヒヒヒヒ、さぁ皆川真、こいつは今動けない、敵を取ってやれ、ママも弟もそれを望んでいるし……キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
「……許さない、許さない、許さない、許さない……」
愛らしい彼女の両手が俺の首に食い込んだ。
「がっ、あああ!」
「許さない、許さない、許さない、許さない、許さない!」
首にグイグイと細い指が食い込んで苦しさが唸りながら視界を歪ませて行く。
ノイズに赤や黄色やら紫の線が走り、段々と気が遠くなって、彼女の憎しみを味わう。
「ま、まご……ぢゃ……まこ……ちゃん……あ、あああ」
「ママを返して! 心を返して! 人殺し! 許さない、許さない!」
「キヒヒヒヒ! いい気味~! キヒヒヒ、キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
震える俺の手を食い込んでくる手に重ねる、気が付いて欲しい、俺は敵じゃ無いと気が付いて欲しい。
ああ、何て顔をするんだ、狂気に歪む顔、悲しみが頬を伝ったこぼれて行く。俺に力があったなら、こんな顔にはさせなかったのに。
まこちゃん、君はやっぱり笑顔が一番素敵だ。バカップルと呼ばれた事があったが、それは最高の褒め言葉だったんだ。
だって、馬鹿になるほど人を愛せたのだから……。
「佐波くん!」
マギサの声が聞こえた気がする、だがもう何も分からない。
映像が遠くに離れて行って、灯が今にも……。
「キヒヒヒヒ! 死ね! 死んでしまえ!」
「許さない、許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さ……な……い……あぐっ、あ、あああ……」
せき止めていたものが崩壊し、一気に酸素が喉を進んだ。よみがえる炎、まこちゃんの指が離れ、呼吸が復活した。
「ゴホゴホ、ゴホゴホッ! がはっ、……はぁ、はぁ、はぁ……ぐっ、な、何、が……?」
再構成された視界を掻き分けて彼女を探す、写し出された世界に彼女を見つけたが、様子がおかしい。苦しそうに胸を押さえ、ガタガタと震えていたのだ。大量の汗を噴き出し、顔色が真っ青だった。
なんだ、どこかで同じ様な光景を見た覚えがあるぞ?
俺が暮らしていたマンションで彼女は同じ風になって……空間に亀裂が生まれて死んだんだ。
ま、まさか!
「あっぐっ……ああっ、ああああああ!」
彼女の周りに赤を帯びた光が彷徨い、それらが包んで行く。
間違ない、まこちゃんの力が発動したんだ。このままじゃ大変な事になる。
「ほぅ、力が発現しているのか。面白い、開かせてみるか」
「うう~、もう少し苛めたかったのに。ま、レイス様が望むなら仕方ないか」
「ふふっ、綺麗な赤ですわね」
「ぬぅ、これが彼女の力……か」
赤は秒が進むにつれて色を濃くして行く、痛いのだろうか彼女の顔が歪む。
「あ、ああああ、ああああああああ! 痛い、痛い……助けて、あうっ、ああああああああ! だずげで、し、しゅー、だずけてぇ……あああああああああああああああ!」
「まこちゃん!」
動け、少しだけで良いから動け俺の体!
そんな爆発する感情をよそに、光は更に眩しさを強めた。




