夢
ふと目を覚ますと、どこかの町中にいた
知らない町だ
頭はぼんやりとし、呆然としながら周囲を見渡す
すると遠くの方から、深い深い暗闇が迫り来るのが見えた
世界が黒く塗りつぶされてゆく
( 何だあれ?… )
周りもそれに気づき咄嗟に光の方へ踵を返す中、闇を迎えるかのように立ち尽くす男が1人
なぜだかそんな彼から目が離せず、ただ見つめていた
まるで時間が止まったかのような感覚だったが、彼が闇に飲み込まれていくとハッとして自分も体を動かす
振り返ると、景色が一変し閑散としていた
( あれ?… )
混乱で右往左往する視界の端に、女の子2人組を捉える
2人は恐怖に顔を歪めがらも手をとりあい一緒に走っていたが、後ろの子が足を滑らせ転落してしまう
ここは屋上らしき場所であった
前の子はつかの間の硬直の後、また何事も無かったかのように走り出す
目の前で起こった衝撃に、鼓動が素早く脈を打ち、歩みが止まった
今までフワフワとしていた意識が、徐々にはっきりとしてくる
「 ハァ…ハァ… 」
呼吸をしている実感、吸って吐いている実感
脳裏にはなぜか、この一連の出来事に関するであろう映像が飛び交って止まない
そして全てが一色になった世界で呟く
「 黒の魔眼 」
我に返ると夢から覚めたのか、目の前には天井が映し出された
先程までの混乱していた感覚はなく、ただ1つの思いがあった
( まだ…まだバレちゃダメだ )
その思考と呼応するかのように、生まれたばかりであろう、幾何学模様のような赤子の目が翡翠色に変わる
その後赤子は深い眠りについた




