3話ー④ 白兵戦
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土煙が晴れた戦場。
対峙するのは、聖戦士ラスゴーグと魔将レヴァンテ配下の将ジセンニティ。
ラスゴーグは巨大なハルバードを肩へ担ぎ、不敵な笑みを浮かべる。
『貴様が俺の相手か。』
ジセンニティは静かに剣を抜いた。
『ええ。』
『八冥王へ辿り着きたいのなら――まずは私を越えていただきます。』
『面白い。』
ラスゴーグはハルバードを軽く振る。
その一振りだけで風が唸り、足元の土が舞い上がった。
『その細腕で受け止められるか?』
『試してみれば分かります。』
次の瞬間。
ラスゴーグが地を蹴る。
轟音。
まるで砲弾のような勢いで間合いを詰めると、巨大なハルバードを真横へ薙ぎ払った。
『はぁぁぁっ!!』
ジセンニティは一歩踏み込み、剣を合わせる。
――ガァン!!
耳をつんざく衝撃音。
激突の余波だけで周囲の兵士たちが吹き飛ばされる。
『ぐっ……!』
ジセンニティは数歩後退したが、剣は折れていない。
ラスゴーグは笑う。
『受け切るか!』
『それくらいで驚かれては困ります。』
間髪入れず、ジセンニティが踏み込む。
鋭い三連撃。
喉。
胸。
脇腹。
急所だけを狙った無駄のない剣筋。
ラスゴーグはハルバードを回転させ、すべてを弾き返す。
『速い!』
『だが軽い!』
ハルバードが振り下ろされる。
ジセンニティは横へ転がり、間一髪で回避。
地面が大きく砕け、岩が宙を舞う。
『当たれば終わりですか。』
『なら当たれ!』
ラスゴーグは笑いながら追撃する。
ハルバードが次々と振るわれるたび、大地が裂ける。
ジセンニティは受けず、躱し続けた。
『逃げてばかりだな!』
『違います。』
『あなたを見ています。』
『……何?』
ラスゴーグの眉が動く。
『力は圧倒的。』
『ですが、その武は実に素直だ。』
『癖も見えてきました。』
『ほう?』
『左から振るう時、僅かに肩が下がる。』
『突きへ移る前には右足へ重心が乗る。』
『見切りました。』
ラスゴーグは豪快に笑う。
『ガハハハハ!!』
『面白い奴だ!』
『ならば見切れぬほど速く振るえばいい!!』
踏み込みが一段階速くなる。
ハルバードが暴風のように唸る。
ガン!
ガキィン!
ギィィン!!
金属音が絶え間なく響く。
兵士たちはただ呆然と見つめていた。
『あれが……将同士の戦いか……。』
『近付くな!』
『巻き込まれるぞ!』
一方、後方。
ヴェゼルは静かに戦いを見つめていた。
『見事ですね。』
『ジセンニティも十分に渡り合っています。』
レヴァンテは小さく頷く。
『我が配下でも五指に入る剣士です。』
『容易く敗れる男ではありません。』
その横で腕を組んでいたコアードが口を開く。
『……俺が行く。』
ヴェゼルは視線を向けることなく答えた。
『まだです。』
『……。』
『敵はまだ様子を見ています。』
『ここであなたを出す理由はありません。』
コアードは黙って戦場へ目を戻した。
『分かった。』
その頃。
ラスゴーグは再びハルバードを構える。
『ますます気に入った。』
『貴様、名は?』
『ジセンニティ。』
『レヴァンテ様に仕える将です。』
『覚えたぞ、ジセンニティ!』
『次の一撃で終わらせてやる!』
『望むところです。』
両者は再び地を蹴る。
剣とハルバードが激突し、轟音が北方戦線へ響き渡った。
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