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ASMR系VTuberの私、ぼっちのはずがなぜかクラスの美少女に溺愛されてます!  作者: 海野アロイ
第二章 ASMR系Vtuberの私、陰キャのはずがMV作るとか無理すぎます!?
59/62

59.いざ、ライブ本番! 私は本当に相応しいんだろうか?

『それじゃ、リハーサル終わりです! よろしくお願いしまーす!』


 ヘッドフォンごしに聞こえてくるのは、ぶいぱらのスタッフさんの声だ。

 そう、私は今、ライブイベントに参加しているのである。


 どうやって、2Dのアバターで参加したのか?

 我ながら無茶な提案をしたのだ。

 それは話題にもなっていた、この曲の#whisperslavechallengeを生で披露することだ。

 鼓動、スライム、そして、高速ささやき。

 これらをライブで行う提案をさせていただいたのである。


 収録の時には、一か所のパートごと全部録音していた。

 連続でやるなんて自分でも想像できなかった。

 正直言って無茶なのだが、実際にチャレンジしている人もいるわけで、私もやれるはずっ!

 そう思って、練習に明け暮れたのである。


 一応、リハーサルの時にはうまくいった。

 これならやれると運営さんにも太鼓判をもらったし、私も自信になった。



 ドキドキしながら、自分の出番を待つのであった。

 ぶいぱらの運営さんからは、「いい機会ですし、事務所に来てみませんか?」と言われたのだが、初めて触る機械でうまくできる自信がなかった。

 人見知りで緊張してしまうっていうのも大いにある。

 それに、お姉ちゃんもこのライブに出るのである。

 こんな私が赤の他人のふりをずっと続けられるかわからない。


「……あれ?」


 出番が近づいてきたのに、光回線の状況が不安定になっていることに気づく。

 嘘でしょ!?

 どうしよう、PCを再起動すればなんとかなる!?


 うぅう、やっぱり先方にお邪魔すればよかった!

 そう思いながらも、とりあえずは連絡だ。

 私はスマホからぶいぱらの運営さんにメッセージを送る。


『了解ですっ! 取り急ぎ、ゆめめさんの順番を後にずらします! まずは復旧できるか試してください!』


「あ、ありがとうございます」


 ハラハラしながらPCを再起動する。

 もしこれで、つながらなかったら一巻の終わりだ。

 うぅう、神様、お願いします!


 祈るような気持ちでPCを眺めると、無事に回線が復活していることに気づく。

 アプリを立ち上げてマイクの設定を確認。

 よしっ、大丈夫!

 私は胸をなでおろしながら、運営さんにメッセージを送る。

 本来は私が出るはずだった場面には前倒しになったとのこと。


『ゆめめさんはあと15分後です!』


 いよいよ、緊張してくる私である。

 スマホを通じて、他のVtuberのパフォーマンスを見る。

 一般参加もOKとのことだったけど、今回、個人Vtuberで参加したのは私だけだった。

 他の方はみんな、名だたる企業所属の有名Vtuberばかり。

 私の推しである、美影ミレイさんも参加している。

 ひぃいい、緊張度MAXである。


『次はぶいぱらの熱唱番長! 音葉うたう!』


 スマホの画面が暗転し、その中にうたうさんがスポットライトで浮かび上がる。

 その隣にはグランドピアノ。

 まさか、弾きながら歌うとか?


 曲が始まり、私は衝撃を受ける。

 うたうさんはピアノを弾きながら、歌い始めたのだ。

 ピアノの演奏を再現する技術力もすごいけど、これを本番でやってのける胆力がすごい。


『引き込まれる!』


『やべぇやつ、選んだな』


『ベストパフォーマンス賞じゃね!?』


 チャットも大いに盛り上がっている。

 歌って踊るのもすごいけど、これはこれで新しいVの側面のように感じる。

 うたうさんの力強い歌声は、ほとんどエフェクトがかかっていない。

 生の歌の迫力をまざまざと見せつけられた思いだ。


 私、この人と同じ並びで歌っていいんだろうか?

 自分を疑い始めて、ネガティブな思考があとからあとから湧いてくる。


『あと何曲?』


『3曲ぐらいじゃね?』


『悠木ゆめめが後に出るらしい』


『誰それ?』


『ASMR』


『知らね』


『歌えるの?』


 しかも、である。

 チャット欄にはちらほら私に関する言葉も。

 それも、ポジティブな言葉とはいいがたくて、うわぁあ、見なきゃよかったとなってしまう。

 いや、気持ちはわかるよ。

 私は個人Vtuberだし、場違いかもしれないのは私が一番よくわかってる。

 胸が苦しい。

 リハーサルを終えたときの、自信がしぼんでしまったのを感じる。

 大丈夫かな、私、うまくできるかな。

 この場所に相応しいのかな?


 心が折れかけた、そんな時だ。

 スマホにメッセージが届いた。


「Spring Worldさん? ミスティ先生も?」


『ゆめめさんなら絶対できます! ASMRオタクの代表として、力を見せてつけてください!』


『競っちゃダメティ!! 文字味を活かして、楽しんティ!』


「文字味……持ち味? 二人とも……ありがとう」


 今回のMVでお世話になった恩人二人からの熱いメッセージ。

 思わず涙が出てしまう。

 そうだよね、私は私にしかできないことをやるべきだよね。

 うたうさんになろうとしたり、お姉ちゃんになろうとしたりするのはやめよう。

 相応しいのかなんて自問するのもやめよう。


 私は私の音楽をやるしかないんだから!


『ゆめめさん、スタンバイにはいってくださーい!』


 ヘッドフォンから指示が入る。

 いよいよ、私の出番だ。


 マイクを前にすぅと息を吐く。

 スライムよし、マイクよし。


 カウントダウンが始まろうとしていた。







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