大山鳴動!幻惑の鈴婆と蜘蛛の糸、こちょこちょは変態を救う!?
霊峰大山の険しい山道、最初の試練を突破した桃色助平太一行の前に現れたのは、夢幻斎が遣わした刺客「幻惑の鈴婆」!老婆の姿は見る影もなく、巨大な毒蜘蛛のような本性を現し、不気味な鈴の音と共に一行に襲いかかってきた!
「ククク…小賢しい人間どもめ…この大山の霧に迷い、我が幻術の餌食となるがよいわ!」
鈴婆は、その多関節の脚を巧みに操り、岩場を疾走する。そして、口から粘着質の強い蜘蛛の糸を吐き出し、一行の動きを封じようとする。同時に、杖に取り付けられた無数の鈴が、チリンチリンと不協和音を奏で、聞く者の五感を狂わせ始めた。
「おおおおおっ!なんと!なんと見事なる『蜘蛛のお姿』!その八本のしなやかなるおみ足!その背中に輝く毒々しいまでの文様!そして、その糸を紡ぎ出す、丸みを帯びたお尻の…なんと機能的で、そして官能的なるフォルムでござろうか!この助平太、その『多足の美学』に、新たな創作意欲が湧き上がってまいりましたぞ!」
助平太は、巨大な毒蜘蛛を前にしても全く臆することなく、その「美」を熱心に観察し、筆を走らせようとする。
「このド変態!あんなキモいのが美しいのかゾ!?鈴の音が頭に響いて気持ち悪いんだ…!」
プルルンが頭を押さえてふらつく。
「この音…!幻覚を見せる気か!」カゲリがクナイを構え、警戒する。
鈴婆の奏でる鈴の音は、次第に一行の心の奥底に潜む恐怖や欲望を呼び覚まし始めた。
辰五郎の目の前には、江戸の町が大火に包まれ、助けを求める人々の悲鳴が響き渡る。「くそっ!またか!俺が行かなきゃ…!」
カゲリは、かつて任務に失敗し、仲間を見捨ててしまった(と思い込んでいる)過去のトラウマが蘇り、その場に立ちすくんでしまう。「…私には…資格がない…」
プルルンは、大好物のカステラが山のように積まれ、その頂上に巨大なナメクジ(天敵)が鎮座しているという、悪夢のような光景に「いやあああ!カステラが!ナメクジがぁぁぁ!」とパニックに陥る。
そして、お福は…目の前に、これまでの人生で見たこともないほど巨大で、美味しそうな団子や饅頭、大福餅が、山のように積み上げられている光景を見ていた!
「ひゃあああ!お、お団子様!お饅頭様!なんて…なんて素晴らしい光景なのでしょう!わたくし、夢を見ているのかしら~?」
お福は、よだれを垂らしながら、幻の和菓子の山に飛びつこうとするが、なぜか手が届かない。「うわーん!お団子が逃げていくぅ~!待ってぇ~!」
「ククク…苦しめ、足掻け、そして絶望するがよい…それがお前たちの末路じゃ!」
鈴婆は、一行がそれぞれの幻覚に苦しむ様を見て、満足げに笑う。
しかし、助平太だけは、鈴婆の幻術の虜になりながらも、どこか様子が違った。
「おお!なんと!なんと素晴らしい『美女地獄』でござるか!お龍殿に白雪姫様、お蝶殿にマダムお銀、そして鈴森の女天狗殿まで!皆様、拙者のために、そのような悩ましげなポーズを…!しかし!しかしでござるぞ!その幻、実に素晴らしい出来栄えではございますが、真の『美』とは、虚構の中ではなく、現実の『生身のおなご』の肌の温もり、その吐息、その汗の香りの中にこそ…!」
助平太は、独自の変態的論理と、現実の「美」への飽くなき探求心で、鈴婆の幻術の矛盾点を(無意識のうちに)突き始めた!その強烈なまでの「現実志向」は、幻術の揺らぎを生み出し、仲間たちの意識を少しずつ現実に引き戻していく!
「…そうだ…俺は火消しだ…目の前の人を助けるのが…!」辰五郎が歯を食いしばる。
「…過去は変えられない…だが、今は…!」カゲリの瞳に強い光が戻る。
「…ナメクジなんかに、アタイのカステラは渡さないんだゾ!」プルルンがふんばる。
「な、なんだと…!?儂の幻術が…この変態侍のせいで…!?」
鈴婆が、助平太の予想外の抵抗に動揺したその時、幻の団子を追いかけていたお福の足が、偶然にも鈴婆の吐き出した蜘蛛の糸の塊に触れてしまった!その糸は、お福の脇腹や首筋を、絶妙な力加減でくすぐり始めたのだ!
「ひゃっ、ひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!だ、だめぇ~!い、糸さんが…糸さんがこしょばすぎますぅ~!あっはっはっはっは!」
お福は、その場で手足をバタつかせ、腹を抱えて大爆笑し始めた!そのあまりの嬌声と、無防備に転げ回る姿は、戦場の緊張感を一瞬にして吹き飛ばすほどのインパクトがあった!
「な、何事じゃ!?」鈴婆は、お福の予期せぬ反応に完全に虚を突かれる。
「おおおおおっ!お福殿!そのこちょこちょに悶えるお姿!その無邪気なまでの爆笑!まさに『快楽の女神の降臨』!そして、その揺れるお胸とお尻の『豊満なる協奏曲』!この助平太、その『美』を記録せずにはいられませぬぞ!」
助平太は、筆を構え、お福の「こちょこちょ悶絶図」を描き始める!
お福の巻き起こしたカオスは、戦局を意外な方向へと動かした。彼女の爆笑と奇声は、鈴婆の幻術の集中を著しく乱し、その振動は、鈴婆が陣取っていた不安定な岩場を揺るがしたのだ!
「おのれ、このぽっちゃり娘め!黙らせてくれるわ!」
鈴婆が、お福に向かって毒の糸を吐き出そうとした瞬間、幻術から完全に覚醒した辰五郎の鳶口が、鈴婆の巨体を横から強打した!
「てめえの相手は俺たちだぜ、この毒蜘蛛ババア!」
カゲリもまた、鈴婆の多関節の脚の動きを見切り、その関節部分にクナイを的確に打ち込む!プルルンは、小さな体で鈴婆の顔面に飛びつき、その目を塞いで視界を奪う!
「アタイの仲間をいじめるなだゾ!」
そして助平太は…お福の「こちょこちょ悶絶図」を完成させると、今度は鈴婆に向き直り、その「美しい断末魔」を記録せんと、筆を構え直した。
「さあ、鈴婆殿!貴女様の『最期の輝き』、この助平太が、魂を込めて写し取ってご覧にいれましょうぞ!」
「き、貴様らあああああっ!」
仲間たちの怒涛の連携攻撃と、助平太の変態的なプレッシャー(?)に、ついに鈴婆はその巨体を支えきれず、断末魔の叫びと共に谷底へと落下していった。その際、懐から小さな鈴が一つ、コロリと転がり落ちた。
「ふぅ…またもや、我々の『愛』と『友情』と、そしてちょっぴりの『変態性』が、強大な敵を打ち破ってしまいましたな…」
助平太は、満足げに息をついた。
戦いが終わり、霧が晴れると、一行の前に、山頂へと続く新たな道が姿を現した。そして、どこからともなく、知恵の精霊の声が響いてきた。
「…幻惑にも屈せず、仲間と協力して困難を乗り越えたか。お前たちのその『力』と『絆』、確かに見届けた。二番目の試練、突破を認めよう。じゃが、最後の試練は、お前たちの『魂の最も深き場所』を試すものとなるであろう…」
山頂への道が開かれ、残る試練は一つ。しかし、その頃、米子の湊では、月影が、大山の方角から昇る微かな妖気の残滓を感じ取り、その氷のような瞳を冷たく細めていた。夢幻斎もまた、鈴婆の敗北を即座に察知し、次なる非情な罠の準備を始めていた…。




