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鍵は伯耆国米子へ、ぽっちゃり食いしん坊もご一緒に!?


竜宮城「潮騒の玉座」。桃色助平太一行と刺客たちの死闘、そしてぽっちゃり乱入者お福ちゃんが巻き起こすカオスの中、玉座で眠っていた乙姫様の体と、その胸元に置かれた五つ目の「天逆毎の鍵」の破片が、ひときわ強い光を放ち始めた!

「な、なんだこの光は!?」お蝶が警戒する。

「乙姫様が…お目覚めになるのか!?」鋏之介が息を呑む。

その神々しいまでの光は、玉座の間全体を優しく包み込み、戦いの熱気すらも鎮めていくかのようだ。やがて、光が収束すると、乙姫様の長い睫毛がふるりと震え、ゆっくりと、その深く澄んだ瞳が開かれた。その瞳は、長き眠りから覚めたばかりの微かな戸惑いと、そして全てを見透かすような慈愛に満ちていた。

「…ここは…潮騒の…玉座…」

鈴を振るような、しかしどこか儚げな声が、静かに響き渡る。

「おおおおおおおおおおっ!乙姫様!お目覚めでございますか!そのお姿、そのお声!まさに、千年の眠りから覚めた『美の結晶』!その潤んだ瞳!その微かに紅潮したお頬!そして、その寝起き特有の、無防備なる『お色気』!この助平太、今、猛烈に…猛烈に…『おはようの口づけ』を捧げたい気分でござる!」

助平太は、感涙にむせびながら(もちろん鼻血も大量に流しながら)、乙姫様の前にひれ伏さんばかりの勢いだ。

乙姫様の神々しいまでの美しさと、その身から放たれる穏やかながらも強大なオーラに、血煙のお蝶と鉄仮面の玄蕃は完全に圧倒されていた。玉藻の前の命令とはいえ、目の前の存在が、自分たちの理解を遥かに超えたものであることを本能的に感じ取ったのだ。

「…こ、これほどの霊気…我々では…」お蝶が戦慄する。

「……(ゴクリ)」玄蕃も、鉄仮面の下で息を呑んでいる。

二人は顔を見合わせると、乙姫様が完全に覚醒し、その力を振るう前にと、音もなく玉座の間から撤退していった。その背中には、もはや戦意のかけらも感じられなかった。

乙姫様は、静かに助平太たちを見つめると、胸元で輝いていた鍵の破片…美しい瑠璃色の宝玉「潮満瓊(しおみつるたま)」をそっと取り上げ、助平太に差し出した。

「…見知らぬ旅の方々…そして、騒がしいけれど、どこか憎めないお方。この島を覆っていた邪気を払い、わらわを目覚めさせてくれたこと、感謝いたします。これは『潮満瓊』。海の満ち引きを司り、魂の記憶を宿す星の欠片…古の災厄を封じるための一つにございます」

「おお!乙姫様直々に、この『愛の結晶』を!この助平太、感激のあまり、全身の毛穴から『喜びの汗』が噴き出しそうでござる!」

助平太は、恭しく(しかし、指先は乙姫様の指に触れようと必死に蠢きながら)潮満瓊を受け取った。

乙姫様は、か細い声で語り始めた。

「玉藻の前…あの者は、七つの星の欠片全てを集め、この世ならざる『黄泉の門』を開き、かつてわらわの一族が封じ込めた『大いなる災厄』を解き放とうとしています。それは、世界を混沌に陥れ、彼女にとっての歪んだ『快楽の千年王国』を築くため…」

その言葉には、深い悲しみと、世界の未来を憂う響きが込められていた。

「黄泉の門…大いなる災厄…!なんと!それはまた、おぞましくも、そそられる響き!この助平太、その『禁断の扉』の奥に広がる『未知なるエロス』にも、大いに興味が湧いてまいりましたぞ!」

「お前は本当に不謹慎だな!」辰五郎がツッコミを入れるが、乙姫様は穏やかに微笑むだけだった。

「残る鍵の破片…そして、玉藻の前の企みを阻止するための重要な手がかりは…」乙姫様は、目を閉じ、しばし精神を集中させると、はっきりとした口調で告げた。

「…西の果て、霊峰大山の麓(れいほうだいせんのふもと)、古き湊町…伯耆国米子(ほうきのくに よなご)にあり。そこには、かつて海の民と深き交わりのあった、星を読む一族の末裔が、今も密かにその使命を受け継いでいるはずです…」

「伯耆国!米子!」カゲリが目を見開く。「山陰の地か…」

「おお!大山の麓、米子の湊!それはまた、新たな『美の探求』の舞台!日本海の荒波に揉まれた、たくましき漁師の娘たちの、その引き締まったお尻!そして、大山おろしの寒風に耐える、奥ゆかしき山里の乙女の、その恥じらいに染まる頬!この助平太、想像しただけで…」

助平太の妄想は、新たな土地へと飛翔していく。

その時、玉座の間の隅で、一連の騒動を固唾をのんで(そして時折お団子を頬張りながら)見守っていたお福が、おずおずと乙姫様に近づいた。

「あ、あのぉ…姫様ぁ…わたくし、お腹が空いてしまって…何か、こう、甘くて美味しいものとか、ございませんでしょうかしら…?」

乙姫様は、その天真爛漫な姿にクスリと微笑むと、そっと手を差し伸べた。すると、どこからともなく、珊瑚の皿に乗った、色とりどりの美しい海藻の菓子や、真珠のように輝く果実が現れたではないか!

「まあ!美味しそう!」お福は、目を輝かせてそれらを頬張り始めた。そして、助平太に向き直ると、にっこりと笑った。

「ねえ、変な格好のお侍さん!あなたたちと一緒だと、なんだか面白いし、美味しいものにもありつけそうね!わたくし、お福って言うの。よかったら、これからの旅、ご一緒してもよろしくってよ?」

「なんと!お福殿!その福々しいお体と、その食いしん坊なお色気!そして何より、そのこちょこちょに弱いという『秘めたる弱点』!この助平太、貴女様のような『歩く萌え要素』を、仲間として大歓迎いたしますぞ!」

こうして、ぽっちゃり食いしん坊のお福ちゃんが、なし崩し的に一行に加わることになった。

乙姫様は、最後に言った。

「…わらわの力も、まだ完全には戻っておりませぬ。この月見ずの島も、永き眠りから覚めたばかり…元の姿に戻るには、まだ時がかかりましょう。じゃが、あなた方の進むべき道は示しました。どうか、玉藻の前の野望を打ち砕き、この世界に真の安らぎを…」

そう言うと、乙姫様の体は再び淡い光に包まれ、潮満瓊のあった玉座へと静かに横たわった。再び深い眠りについたのか、あるいは力を蓄えているのか…。

一行は、五つ目の鍵の破片「潮満瓊」を手に、そしてお福という新たな(食いしん坊な)仲間を加え、浦島太郎の船で月見ずの島を後にした。鋏之介と墨之丞は、乙姫様の命により、竜宮城の再興と海の平和を守るため、涙ながらに一行を見送った。

帰りの船上では、乙姫様から頂いた海の幸でささやかな宴が開かれた。お福は、その小柄な体に似合わず、凄まじい勢いで料理を平らげ、助平太は「お福殿のその食べっぷり!実に健康的で、そして無防備なまでの『食欲のお色気』!」と新たな美のジャンルを開拓し、仲間たちは新たな目的地「伯耆国米子」への期待と不安を語り合うのであった。

船が博多津の港に戻ると、一行は早速、米子への旅の準備を始めた。しかし、その頃、江戸城の玉藻の前は、お蝶と玄蕃からの報告、そして乙姫様の覚醒という衝撃的な知らせに、扇の奥で静かに、しかし激しく怒りの炎を燃やしていた。

「…桃色助平太…そして、目覚めた乙姫…面白い。ならば、次こそは、我が『変態四天王』が誇る最後の切り札…あの『二人』を、伯耆国米子へ送り込むとしようぞ。今度こそ、逃しはせぬ…」

米子の地で、助平太一行を待ち受けるものとは一体何か?そして、玉藻の前の送り込む「最後の切り札」とは?物語は、新たな波乱を孕み、山陰の地へと舞台を移す!

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