変態四天王見参!筋肉美と女王様の鞭
天狗の隠れ里での「風詠の滝」浄化の偉業(と、助平太の数々の変態的奇行)を称え、ささやかながらも心のこもった宴が催された。天狗たちが持ち寄った山の幸と秘蔵の酒に、一行はしばし旅の疲れを癒す。
「おお!この天狗秘伝の『山桃酒』!なんと芳醇で、そして…舌の上で転がすと、まるでうら若き乙女の柔らかな…むふぅ、いけませぬ、またもや妄想が!」
助平太は、杯を片手に、隣に座った(うっかり座ってしまった)若い女天狗(助平太の目には絶世の美女天狗に見えている)に熱烈な視線を送り、その羽の艶や爪の形について延々と語り続け、女天狗をドン引きさせていた。
「助平太の旦那も、たまには静かに酒も飲めねえのかねえ」
辰五郎は、天狗の若者たちと豪快に酒を酌み交わし、腕相撲で盛り上がっている。カゲリは、長老天狗の傍らで、古の妖術や封印術に関する貴重な話に静かに耳を傾けていた。プルルンは、天狗の子供たちに囲まれ、擬態能力を披露しては「すごーい!」と歓声を浴び、ご満悦の様子だ。
宴もたけなわの頃、長老天狗が助平太を傍らに招いた。
「桃色の変態よ。お主のその…常軌を逸した『美の探求』が、結果として我が里の危機を救ったことは認めよう。じゃが、忘れるでないぞ。お主が追う『天逆毎の鍵』は、使い方を誤れば世界を破滅に導く力を持つ。その探求心が、真に調和をもたらすものか、それともさらなる混沌を生むのか…お主自身の魂が試されておるのじゃ」
長老は、厳しいながらもどこか温かい眼差しで助平太を見据えた。そして、次の鍵の破片のありかについて、古い言い伝えを語り始めた。
「…次なる鍵は、海の底、古の『海の民』が守りし『竜宮城の秘宝』に隠されていると聞く。じゃが、その場所も、そこへ至る道も、もはや伝説の中にしか残っておらぬ…」
翌朝、天狗たちに見送られ、一行は隠れ里を後にした。長老の言葉を胸に(助平太は主に「竜宮城の乙姫様の水着姿」を妄想していたが)、彼らは次なる手がかりを求めて、まずは海沿いの大きな港町を目指すことにした。
山を下り、数日かけてたどり着ったのは、活気に満ちた港町「博多津」。しかし、一行が宿を取ろうと町を歩いていると、どこからか異様なまでのプレッシャーと、ねっとりとした視線を感じた。
「むむっ!この背後から感じる、熱く、そして力強いオーラ!そして、あの角の店の軒先から感じる、サディスティックで甘美な視線!これは…もしや、新たな『美』との出会いの予感でござるか!?」
助平太が、期待に胸を膨らませて振り返った瞬間、彼の目の前に、二人の異様な人影が立ちはだかった!
一人は、身の丈八尺はあろうかという、筋骨隆々たる巨漢の力士!その全身は、まるで鋼のように鍛え上げられ、油を塗ったように黒光りしている。腰には立派な化粧まわしを締め、その顔には「筋肉こそ至高!」とでも言いたげな、自信に満ち溢れた笑みを浮かべている。彼こそ、玉藻の前が差し向けた「変態四天王」の一人、筋肉美学の「力士道山」!
そしてもう一人は、黒いボンデージ風の奇抜な着物を身にまとい、手には長い革鞭をしならせる、妖艶な美女!その瞳は獲物を品定めするような冷たい光を宿し、唇には残忍な笑みが浮かんでいる。彼女こそ、四天王の紅一点、倒錯調教師「お仕置きマダムお銀」!
「フン!貴様が桃色助平太か!その貧弱極まりない肉体!我が『筋肉美学』からすれば、存在自体が許しがたい醜悪さよ!この力士道山が、貴様のその歪んだ美意識を、我が筋肉で矯正してくれるわ!」
力士道山は、自慢の上腕二頭筋をこれ見よがしに隆起させ、助平太を威嚇する。
「あらあら、この方が噂の変態侍さん?その虚ろな瞳、そしてどこか満たされぬお顔…うふふ、わたくし好みかもしれませんわね。このお仕置きマダムお銀が、その秘めたる『Mの魂』を、たっぷりと開発してさしあげますわ。さあ、まずはこの鞭の味から…」
お銀は、革鞭をしなやかに振るい、乾いた音を立てて地面を打った。
「おおおおおっ!なんという!なんという素晴らしき『肉体美』と『SMの女王様』のコンビネーション!力士道山殿の、その彫刻の如き筋肉!特に、その隆起する僧帽筋と広背筋の織りなす『力の交響曲』!そして、お銀殿の、その女王様然とした立ち姿と、手にしたる鞭のしなやかさ!ああ、この助平太、今、猛烈に…猛烈に…『美しい暴力を受けたい』という禁断の衝動に駆られておりますぞ!」
助平太は、新たな強敵(そして新たな変態)の登場に、これまでにないほどの興奮を覚えていた。
「このド変態、敵まで変態なのかゾ!?」プルルンがドン引きしている。
「…どうやら、玉藻の前とやらは、相当な変態コレクターらしいな」カゲリが冷静に分析する。
「なんだか知らねえが、こいつらもぶっ飛ばせばいいんだろ!」辰五郎は、早くも臨戦態勢だ。
「問答無用!まずはその貧弱な体を、我が『筋肉説法』で叩き直してくれるわ!どすこぉぉぉい!」
力士道山が、突進してきた!その体当たりは、まるで岩石が突っ込んでくるかのような凄まじい迫力だ!
「きゃはっ!まずは手始めに、この『愛の鞭』で、あなたのお肌に美しい模様を刻んでさしあげますわ!」
お銀の革鞭が、蛇のようにしなりながら助平太に襲いかかる!
「おお!その力強い突進!そして、その鞭の軌跡の美しさ!まさに、動と静、剛と柔の究極なる調和!この助平太、その『美学』、しかとこの身で味わわせていただきますぞ!」
助平太は、恍惚の表情で、二人の変態四天王の攻撃を(かわそうともせず)受け止めようとする!
「このバカ!避けろだゾ!」
「助平太殿!」
仲間たちの悲鳴が響き渡る中、助平太は力士道山の突進をまともに食らい、お銀の鞭で全身を打たれた!しかし…
「ぐふぅっ!…おお…この衝撃…この痛み…実に、実に…快感でござる!力士道山殿の筋肉の硬さ、そしてお銀殿の鞭のしなやかさ…ああ、もっと…もっと強く…!」
助平太は、ボロボロになりながらも、なぜか恍惚とした表情で立ち上がった!その瞳は、さらに怪しい光を宿している!
「な…なんだこいつは…!?我々の攻撃を受けて、喜んでいるだと…!?」
力士道山とお銀は、助平太の常軌を逸した反応に、初めて困惑の色を見せた。
「ふむ、なかなか手強い『変態』でござるな…しかし、拙者の『美』への探求心と、この『Mの魂』は、誰にも止められませぬぞ!」
助平太は、新たな闘志(と変態性)を燃やす。
果たして、助平太一行は、この強烈な個性を持つ変態四天王の二人を相手に、どう戦うのか?そして、伝説の「竜宮城の秘宝」への手がかりは掴めるのか?博多津の港町を舞台に、変態と変態がぶつかり合う、前代未聞の死闘(?)の幕が、今、切って落とされた!




