58 12月のライブ 1
今日は12月11日。少し前にも話していたように、ヘリアンサスガールズの横浜ライブが行われる日だ。私は、事情があり、事前に彼に紫色の服を着てきてね、と言っていた。
ライブのテーマは「メンバーの実家がある所への遠征」であり、横浜に来るのはこれが最初であり、恐らく最後になる。横浜に実家があるのはしふぉん(横浜市青葉区A野)、りりおん(横浜市神奈川区J寺)のふたりだ。ここからりりおんの実家は少しばかり遠いといわざるを得ない(とはいっても、電車で30分程度だ)が、しふぉんの家はここから電車で2駅と非常に近い。
私はサプライズ的に登場することになっている(が、歌を歌ったり、物販はしない。単に出るだけだ)。ライブ自体は13時から入場可能となり14時20分から行われるが、私は朝早くに向っていっていた。
冬ということもあり寒いが、真夏の地獄のような日々に戻りたいかと言われればNoだ。今は凍えるほど寒い(スマートフォンのウェザーリポートいわく、6℃)が、歩いていると暖かくなるので特にきつすぎるというわけではなかった。
朝の9時過ぎに家を出てC南駅に着いたのは9時50分。到着してすぐライブが行われるホールへと向かった。
中は暖房がきいていてちょうどいい温度だ。私は上着を脱いで鞄にしまった。
「ちょっと、来てくれる? 迷ったんだけど」
私はヘリアンサスガールズのDiscordに連絡を取り、連れて行ってくれるように頼んだ。数分後、奥の方からしふぉんがやってきた。私は彼女についていき、みんながいると聞いていた会議室のような場所へと向かっていった。
「こっち」
彼女は私を見下ろして中に案内してくれた。会議室に入ると、そこには13人のメンバーがもうすでにいた。
「あ、なっきぃ、久しぶりじゃん、元気?」
私を見たかわみんが話す。夏休みに会って以来4か月ぶりなので、そんな久しぶりというほどでもないと思うのだが。私は、久しぶりになっきぃと言われたが特に問題なく反応することができた。
「別れるって決まったときは寂しかったけど、こっちでも楽しんでるし、仲いい人もいるよ。それに2年後、高校を卒業したらそっちに戻ってひとり暮らしするから、心配しないで」
かわみんは笑ってくれた。私は、ちょっとしふぉんに話したいことがあるから、と言って場を離れた。彼女は飲み物を飲んでスマートフォンの操作を始めた。
「しふぉん、ちょっとお願いがあるけどいい?」
私は彼女の肩をたたいた。彼女は振り返って、何?と聞いてきた。
「前にもちょっと話したけどさ、今日しふぉん推しの私の友達が来るんだよ。身長180cm弱の、紫色の服を着ている男子ね。その時にさ、名前で呼んでほしいの。その子、長谷川、っていうんだけど。ちょっとびっくりさせたいって思っててね、お願い」
しふぉんは、わかった、と言ってくれた。その上で、私は彼の外見的な特徴を詳しく説明した。メガネはかけていないこと、右手に100均の腕時計をつけていること。少し話すと、しふぉんは驚いたような表情でこういった。
「え、それってさ……」




