私、家を出る
どこか空の色が濃いように感じる青空だ。
今日は待ちに待った私のマイホームへの移住する日。とは言ってもこの街に買い物には来るだろうし、顔馴染みのお店の人には一応話しておいたけど、大々的には公言していない。
場所は流石に伏せた。だって誰かが面白半分で来られても嫌だし。
あの場所は実は凄く深い森の中で、四年前ベルさん達が立ち往生していた場所よりも更に奥の奥。なので誰も徒歩では来れないだろうと踏んでいる。
私はどうやって来たのか?
良い質問です。答えは簡単。クーちゃんに乗せて貰いました。
転位魔法の魔方陣は予め貰っておいて設置するだけの簡単なものなので実質私は家を建てるくらいしかしておりません。
そしてあの後少し筋肉痛で苦しんだとここに記しておきます。筋肉痛辛い。
やっぱり身の丈にあったものが良いんですよ。無理よくない。
さて、家具を作り忘れた前回でしたが、実はもう家には色々と運び終えているのです。錬金術の道工は勿論、私の部屋にあった雑貨や荷物は全て運び終わりました。
その時のベルさんの顔が寂しそうだったのはちょっと涙がほろりと出そうでした。
私の部屋はがらんとして確かに少し寂しかった。
きっと新生活を始める人たちはこんな気分で巣だって行くんだろうなぁ。生憎と前世ではその記憶がないので結構若くして死んだか、欠落したかのどちらかだ。
どちらにせよ私は知らないので多分こんな感じだろうという予想てしかないが。
ギルドには何の連絡もしていない。ギルドにはそこまでの個人情報の記録などはしなくて良い決まりなのだ。まぁ、どの地方に住んでいるか位は報告はするように言われるけど。
別に地方を変えるわけではないので報告は無し。
最近はギルマスも大人しくなったのか、私には分からないが何も音沙汰がない。音沙汰がないと言えばギルド本部からの音沙汰もない。
その事でベルさんとジンさんの周囲の気温が2度ほど下がった。夏にほしかったとリンクさんが呟いたが、まあ確かに今の季節にはまだ要らないかもね。
今は春先ですからね。
あれから暇だったので迷路という名の庭園が更にパワーアップして更に広くなりました。そしてちょっと手直しして菜園も広げました。食べ物は大事だからね。
ベルさんの手料理を毎日食べられないのが心残りですが、またいつかは食べれるので今は我慢です。
差し入れという形で夕飯などがしょっちゅう届けられるとはまだこの時の私は思ってもいなかったのです。
クーちゃんの寝床は私と別の場所にしました。クーちゃん大きすぎるのと梯子を登れないのでロフトには寝れないでしょ?
このあとそんなことは無かったことも判明する。幻獣にこんなとこは関係なかった。
街への行き来は私の部屋のクローゼットとマイホームの扉が同じサイズなので、とある事をすると繋がるようにしてみました。
魔法って便利だよね。
森深くにあるマイホームに住んで静かに暮らしていこうと意気込む私だった。
でも、このあと色々と問題が起こるのだが。
静かに暮らすことは当分出来ないのだがそれはまた別のお話。
古いロッキングチェアに腰掛けて 窓から外を眺める。暖炉があるので着けたかったが、薪が少ないので断念。乾燥した木材は今回のマイホームに多く使ってしまったため残り少ないのだ。春先のため寒くないのが救いか。
外ではクーちゃんが何かを追いかけている。ここからではよく見えないので不明だが、じゃれているだけだ。多分双方に危険はないだろう。
もっと暖かくなったならロッキングチェアを外に出して座っても良いかも。きっと暖かい日差しで眠くなるだろう。
・・・実はジンさんの紹介で北方の地方のギルドにポーションを卸す事になったのでお金の問題は全くない。むしろ日頃モンスターの脅威にさらされている北方のギルドには感謝された。
こちらでは何か起きない限り需要がないから安値で取引される低級ポーションも倍以上の高値がつくそうだ。でも後が怖いの定価での取り引きにしておきました。手紙でも伝わるほど喜び様にはちょっと悪いけど引きました。
そうそう。実は一ヶ月前に漸く錬金術の師匠であるベルさんからお墨付きを貰えたのだ。
何のお墨付きかって?
中級ポーション等の中級編の薬の出来の評価ですよ。ふふふ。勿論自分用にある程度はとっておいて、余ったら売ります。北方のギルドにね。
悪いけどあの街のギルドには卸しませんよ。たとえギルマスが代わろうとも。別に私以外にも優秀な人達がいるんだもん。私が卸さなくても十分やっていけるでしょ。
このマイホームの菜園では薬草やらポーションに使う植物を育てることも出来るので、完全に引きこもることも可能だ。なんて素晴らしいマイホーム。
しかも錬金術の応用編も会得した私には死角はない。モンスターを寄せ受けないモンスター避けポーションも素材の生育を促す薬品も作れるのだ。
しかもだ。カタログから出した装備で限定的にだけど魔法も使えるようになりました。それによって強力な結界も張れるようになった。
まぁ、これが独り暮らしを決意したきっかけなんだよね。
こうして悠々自適な一人と一匹の暮らしが始まるのでした。




