第12話「ムードメーカー」
三人が聖霊術で移動すると、ヴィーネはグランの草原で佇んでいた。ヴィーネはだいぶ疲れているようだ。
「大丈夫なの? ヴィーネ」
「ご心配をお掛けして申し訳ありません。カムア様とネルガ様を捜すことに集中するあまり、ワタクシ自身の身体を気遣うのを怠ってしまいました」
「また無理したんでしょ」
「多少の無理は承知の上です。お二人と早く再会したいのはワタクシも同じです」
「ごめんヴィーネ。それとありがとう。オレ、凄く助かるよ」
「マオ様に感謝されるとは誠に嬉しいです。頑張りがいがあります」
「それで何か掴めた?」
「いいえ。マオ様が魔力を探っても見つからないのは、グラン以外にいるからではないかと睨んで捜したのですが。やはり闇雲では限界があります」
「グラン以外と一口に言っても世界は広いよ。せめてアテがあれば魔力を探るのに」
腕を組んで考えに更けるマオ。
ヴィーネのことが見えないジャンは、三人の会話を全て聞けているわけではない。それでも彼なりに会話を解釈し、横で考えに更けるマオに助言した。
「だったら、もう一度アルトスに行こうぜ。そんでマオっちが魔力を探ればいい」
「もう船はないよ」
「分かってねえな。ミルフィーたんに飛んでもらえばいいじゃねえか」
「ミルフィーが移動できるのはマーキングしたところだけだよ」
「それなら問題なしよ。コノハのお店でしといたもの」
「いつの間に!? でもどうして?」
「なんとなくね。いざという時に備えて」
「さっすがミルフィーたん!!」
ミルフィーの手を取ってジャンは喜ぶ。
「そうやすやす女の子の手を取らないの。あらぬ誤解を生むでしょ」
「いいじゃねえか! 友達と喜び合って怒る人はいねえぜ!」
(ジャン君。人の気持ちというのは、そう簡単なものじゃないのだけれど。ホントに彼には悪気がない分、理解させるのは簡単じゃないようね)
ミルフィーは思わず吹き出してしまう。重くなりそうになった空気を浄化するジャンのムードメーカーっぷりに。
マオは希望が生まれて胸が高鳴る。ほんわか天使とツンデレ堕天使のことが恋しいことを自覚しているのだから。




