↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/200

第5話「お楽しみ」

 一週間後。教室の外に貼り出された一枚の紙。『一年定期試合結果』と書かれており、勝ち残った二十人の名前が書かれていた。


「この二十人は注目を浴びるぜ。あちこちに貼り出されているみたいだから、先輩たちの目にも入っちまう」


 マオを見ながら「つくづく負けて正解だったぜ」と安堵するジャン。


「試合を申し込まれたりとかない?」


「そんなに緊張しなくても大丈夫。マオきゅんは充分に強いじゃん」


「いや。オレよりもミルフィーだよ。結構名前を聞いてるよ」


「心配ご無用。既にマオっちとミルフィーたんは、別の意味で注目されてるからな」


「「?」」


「マオっちに対しては『可愛い』だの『格好いい』だの。ミルフィーたんに対しては『マジ天使』だの『キュート』だの。先輩たちのあいだでも充分に持ちきりだ」


「聞いてないよ! あの試合。先輩たちは見てないのに」


「知らないのか? あの二日間の試合、しっかり写真に収められてるんだぜ」


「写真!?」


「学園長の親友がカメラマンなんだと。プロが撮ったもんだから、かなり綺麗に写ってたぜ」


「ジャン。写真はどこに?」


「外の掲示板だけど?」


「ちょっと見てくるよ!」


「ワタシも行く!」


 校舎を出た二人は掲示板を目指し駆ける。すると二人の視界に飛び込んできたのは、掲示板に群がる生徒たち。


「あ、あんなに大勢」


「三十人はいるでしょ」


 呆然とその様子を見ていると、二人の存在に一人が気付き、あっという間に取り囲まれてしまう。


「本物はもっとかわいー!」


「マジエンジェルー!」


 生徒の群れから聞こえてくる黄色い声。思いもよらぬ形で有名になってしまい、マオは押し潰されそうになる。

 ミルフィーも流石に参っていた。自分に注目が集まる分にはよしとしていたのだが、注目のされ方がされ方だ。試合の評価ではなく、見た目での注目はよしとはできない。


「マオきゅん。ワタシの手を」


「え?」


「いいから!」


 ミルフィーに押される形でマオは手を握る。すると次の瞬間、二人は屋上へと来ていた。


「……どうなってるんだ!?」


「ワタシの聖霊術よ。念のためにとマーキングしといて正解だったみたい」


「マーキング?」


「ワタシの聖霊は、一度水を撒いた場所へ自由に移動できるの」


「そんなことができるんだ!」


「凄いでしょ! もっと褒めてもいいからね!」


 どさくさ紛れに身体を密着させてくるミルフィーに、マオは思わず照れてしまう。


「あんまり密着すると動けなくなるよ」


「いいじゃん。このまま動かなくても」


「そうもいかないよ」


「マオきゅん。ワタシのお願い聞く約束、使ってもいい?」


 ミルフィーがマオを上目遣いで見つめる。緑色の瞳を宝石のように輝かせ、頬を赤く染め上げている。


「ミルフィー?」


「ワタシ……惚れちゃった。だから、ワタシの身も心もあげる。受け取って……ね」


 ミルフィーの唇がマオの唇に近付く。互いの吐息がかかる距離まで近付いた途端、ミルフィーはサッと離れた。


「…………」


「驚かせてごめん。マオきゅんに惚れちゃったのはホントだけど、今はいい。お楽しみは取っとく主義だもん」


 ニッコリ微笑むミルフィーであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。