↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほんわか天使とツンデレ堕天使の人界散策  作者: 碧衣玄
第一章 天使と堕天使
26/200

第26話「王国十字路」

 だいぶ気分がよくなったチイは、部屋の掃除を始めていた。マオの制止も、「じっとしている方が駄目な気がする」と振り切った。


「ふぅー! やっぱり綺麗な方が気分がいいさ!」


 チイは掃除を終わらせてコーヒーを淹れる。あらかじめ挽かれたものにお湯を注いで飲むのを好む。


「どうして、こう落ち着くんだろうか。不思議なものさ、コーヒーは」


 テーブルにカップを置いて、窓から外を眺める。今日も青空が広がっている。


「悪いことをしちゃったさ。掃除のために追い出しちゃった」


※ ※ ※


「マオくん。わたし、グラン王国をよく知らないです」


「えーっと。この国で一番偉いのは王様だよ。王様の一声で何でも決まるんだ」


「何でもです!?」


「うん。極端だけど、王様が『あいつが気に入らないから殺せ!』と言えばそうなるんだよ」


「怖いです~!」


「今の王様は大丈夫だよ。昔は酷かったみたいだけど」


「よかったです~!」


「よくはないでしょう。王様の言うことは絶対ってことじゃない。それで国民は納得しているわけ?」


「もちろん反発もあるよ。けど、みんな思うだけ」


「本当に『あいつが気に入らないから殺せ!』ってなっちゃうかもね」


「やっぱり怖いです~!」


「大丈夫だよ。あくまでも極端な例えだから」


「はい」


「そうだ。せっかくだから行ってみようか! 王宮」


 マオが二人を連れて王宮を目指して歩く。ただ歩いているだけでも楽しいのか、ネルガは笑顔である。

 しばらく歩くと、道を挟んで向かい側に大きな建物が見える。ドーム状で純白な建物だ。


「真っ白で綺麗です」


「あれが王宮だよ。王様を含めた王族が住んでるんだよ」


「アタシは久々に見たわね。白い建物を見ると神界を思い出すわ」


「あのマオくん。あっちにあるのは何です?」


 そう言ってネルガが指を差した先には、これまた純白の建物があった。


「あれは、近衛騎士部だよ」


「このえきしぶ?」


「グラン王国を守る騎士団がいるんだよ。強くて格好いいんだよ!」


「格好いいですか!? マオくんよりもですか?」


「オレなんかよりもずーっと!」


「ずーっとですか! それは見てみたいです!」


「簡単に見れるよ。グラン王国をパトロールしてるから」


「赤茶色の服を着ているのは見たことあるわ」


「細かくは、赤茶色と銀色と金色と白の四種類。それぞれ腕章に零~三つの星が付いているんだよ」


「ランク分けされているのね。国を守るという目的は同じなのに」


「役割分担とか色々あるんだと思うよ。向上心を持たせるためかも。ランクの差に関係なく大変なことなのは確かだよ。それを見せずにいるから格好いいんだよ」


「マオくんは騎士さんになるです?」


「憧れはあるよ。けど、オレの夢は別にあるんだ」


「何です?」


「それは秘密だよ」


「一丁前ね、言うことは」


「マオくんは格好いいです~!」


「単純ね。単純だわ……心ってのは」


 カムアの呟きと同時に、正午を知らせる鐘が鳴り響く。自分の声が掻き消されたことにカムアはムッとして時計台を睨んだ。


「大きい音です~!」


 ネルガは堪らず耳を塞ぐ。

 鐘が鳴りやむなり、マオはネルガの肩を叩いた。


「マルギア・ベルだよ。今や街だけでなく、王国そのものの名物になってる」


「王宮、近衛騎士部、マルギア・ベル。この十字路は騒がしいわね」


「そうかもな。みんな、王国十字路《キングダム・クロスロード》と呼んでるよ」


「大層ね」


「呼び名くらい見栄を張りたいんだよ」


「見栄っ張りね」


「お互いにな」


「え?」


「さっきお腹が鳴ってただろう? 鐘の音で誤魔化したつもりか?」


「うっ、うっさい!!」


 顔を赤く染めながら、鐘の音よりも大きな声でカムアは叫ぶのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。