呪い1
「ん……んん……」
ゆっくりと目を開けた蓮の視界に映ったのは、知っている天井。
そして……五人の少女と母の顔だった。
「お兄ちゃん!」
瞳からポロポロと涙を零していたりりさは、蓮に抱き付いた。
強く抱き締め、離さないという彼女の気持ちが蓮にも伝わってくる。
「どうやら……心配かけたみたいだな」
すまんと謝りながら、蓮は妹の頭を優しく撫でる。
「母さん……俺、どれくらい寝てた?」
「一週間だ。バカ息子」
ホッと安堵の息を吐き、蓮の母―――姫神桜は肩の力を抜く。
どれだけ心配していたのか、彼女の顔から疲労の色が窺える。
「りりさ達から全て聞いた。使ったんだな……妖魔武装を」
真剣な表情で蓮の目を見つめる桜。
蓮は一瞬だけ言葉を詰まり、だけどすぐに頭を下げた。
「ごめん……これしかないと思ったから」
「いや……不死の化物だったんだろう?なら仕方ない」
桜も分かっていた。
蓮が選択した行動は、なにも間違っていない。
だからこそ桜は……苦しそうに顔を歪めることしかできなかった。
「私も……私も似たようなことがあった。だから妖魔武装を使い、片腕を失った」
桜が片腕を失ったのは、魔獣との戦いが原因ではない。
多くの人々を守るために妖魔武装を使い、呪いで失ったのだ。
「……俺は、なにを失ったんだろう」
「わからない。肉体に異常はなかった。恐らく感情の一部だ」
「……そうか」
「しばらく安静にしていろ。魔法少女の活動もするな。いいな?」
有無を言わせない圧を放ちながら、桜は蓮の目を真っすぐ見つめる。
それは母としての優しさだった。
「わかっているよ」
読んでくれてありがとうございます。
来月だけ投稿を休止します。
まだ予約したストーリーがあるためそれだけ今月に投稿します。




