1日が24時間しか無いのは神様の嫌がらせだと思う
朝起きて、やるべきこと。
それは人それぞれに、あったりなかったり。
聞く話によると、頭をスッキリさせるために、一杯の水を飲むって人が意外に多いんだとか。
で、俺の場合は、何をするのかというと――
『ジリリリリ……』
目覚ましのベルを鳴らすことだ。
……ただし、声で、な。
だけど、俺は目覚まし時計じゃない。
そらそうだ。
目覚まし時計が眠ったり、こうして思考したりするわけがないからな。
でも、人間ってわけでもない。
朝起きて、いきなりジリリリリなどと奇声を上げる奴がいたなら、そいつは即刻、頭の病院にいった方がいいと思う。
なら、俺は何者なのか。
『ジリリリリ……』
「うるさい、ソラ」
そこで布団にくるまりながら、不機嫌そうな表情を浮かべている少女が言うとおり、俺はソラ。
人間でも、目覚まし時計でも、ついでに言えば狐でもない、単なる『デバイス』だ。
見た目は……そうだな。
一言で表現するなら、直径30cmくらいの"お皿"だ。
円盤と表現してもいいかもしれないが、個人的に皿って言葉が好きでな。
……いや、別に、そこにいる少女の名前に似てるから、って訳じゃないぞ?
『おい、サラ。起きろ。朝だ』
「もう、あと、10分だけ……。昨日、寝るの遅かったから、微妙に辛……zzz」
『昨日もテラたちと、夜遅くまで遊んでたからな……』
喋っている途中で、再び夢の世界に旅立っていった、こいつの名前は、サラ。
Sara=Aveldistarna=Eye。
そんな長ったらしい本名があるんだが、ここ日本では、諸事情があって、普段は『佐々木 瞳』と名乗っている。
で、今、話に出てきたテラって奴なんだが……こいつがまた色々と面倒なやつで、説明すると長くなるから、追々紹介しようと思う。
真面目に説明を始めると、それだけで無駄に長い物語が書けそうなくらいに、面倒な事情を持ってるやつだからな……。
名前の雰囲気で分かるだろ?
サラの姉妹だ。
まぁ、それは置いておいてだ。
『ほう、起きないと?』
俺に任せられた役目は、何がなんでも、サラを朝7時までに起こすこと。
そして、今は…………8時半だ。
やべぇ……寝過ごした……。
だから、普通の時計を使えっていつも言ってんのに……。
まぁ、やっちまったことは仕方ない。
問題は、これからどうするか、だ。
目覚まし時計のフリをしても起きない。
直接声を掛けても起きない……。
ならどうするか?
シャァーッ……
カーテンを開けて、
ガチャッ……
窓を開ける。
これだけで、外のスッキリとした日光と空気が入ってくるから、目が覚めるってもんだろ?
少なくても、俺はそうだ。
……因みにデバイスである俺には、手も足もない。
もちろん、どっかの誰かのように、体中から触手が生えているわけでもない。
じゃぁ、どうやって窓を開けたのか?
重力を操ったのさ。
それが俺の『デバイス』としての機能だからな。
で、だ。
結果はというと――
「…………zzz」
ダメだ……。
サラのやつ、起きる気がねぇ。
えーと?
今日のスケジュールは何だったっけなー。
……爺どもと9時にミーティングか……。
そうかそうか……。
やべぇ……。