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おい、上から女の子が……

俺は3日後に催される茶会か何かに招待されることになり事前の顔合わせ…というか強制的に自分の国から主催国に行くようにと命令され、その国を訪れていた。


「何で俺1人なんだ………」


大体何でもかんでも俺に任せすぎだろ。

上にいる3人の兄上でも任せればいいじゃないか。


「国王様は信頼なさっているのですよ。殿下のことを」


後ろについてくる護衛を任された男が言った。

信頼、ねぇ……。

小さい頃から俺になんか振り向いてもくれなかった。

全部3人の兄上に任せていたくせに。


悶々と考えているといつの間にか王室前の扉にたどり着いていた。


「お待ちしておりました、ユウキ殿下。陛下がお待ちでございます」


国王の側近だろうか。

彼は礼儀正しく礼をし、仰々しい大きな扉を開いた。


「よく来てくれた、ユウキ殿下」

(わたくし)もお会いできて光栄です。」


国王は優しく「ふむ」と満足したように頷く。


「遠方からはるばるここまでよく来てくれた。部屋を与えるから1泊していくが良い」

「ありがとうございます」


早く帰りたいと思っていたが、せっかくのご好意に背くわけにはいかない。

断ったりしてみれば自分の帰る家が無くなるかもしれないし。


それから国王陛下に3日後の夜会の本来の目的を話された。


国王には4人の子供がいるらしい。

長女の姫は既に別の国へ嫁いでおり、次女の姫は今年で16才だそう。

三女の姫と長男の王子は双子で共に4歳。


そして何故かその中の次女の姫・アニエス姫と俺の国の兄弟の誰かが婚約しなければならなくなった。


こっちはこっちで一番上の兄上は既に結婚していて所帯を持って暮らしているし、二番目の兄上は婚約済。

残されたのは三番目の兄上と末っ子の俺だ。


「まぁそういうことなんだが……少し問題があっての」

「問題……ですか」

「あぁ」


聞けば、婚約の相手の姫は極度の男嫌いらしい。

幼少期にそれに関係した事件に巻き込まれ、それからはずっと家族以外の男と関わってこなかったということを国王は話した。


……マジか。


話を聞いた直後の感想がこれだ。


婚約の話を出しておいて相手は極度の男嫌いだという。

何されるか分からない状態で婚約しようと手を挙げる者がいるだろうか。

……まぁ、うちの三番目の兄上は挙げそうだが。


「とりあえず、ゆっくり考えてからでいい、夜会で答えを出して貰えると助かる」


それで今日の対面は終了した。


気づくと日が暮れて星が出ていた。


「……ふぅ……」


部屋を与えられ、入ったものの気が落ち着かない。

あんな話を聞いた後なのか、慣れない国へ来たからなのか。

多分どっちも当てはまる。


「…外の方が涼しそうだ」


護衛の男に「空気を吸ってくる」と伝え、周辺の庭を歩くことにした。


外に出ると、庭がよく整備されていると感じ取れた。

花は一つも下を向いているのが見当たらない。

凄腕の庭師でも雇っているのかもしれない。


ふいに上を見上げると灯りのついた部屋が目に入った。

白いカーテンが風で外になびいている。


第二王女か第三王女の部屋ではないのかと思い、少し早足で通り過ぎようとした。

その時だった。


「あはははははっ!!」


ほぼ叫び声に近い哄笑が庭に響いた。


「姫様!?」


バルコニーから女性が落ちてくる。


「えっ」


避ける暇もなく俺はその女性を抱きとめる形で芝生に倒れた。


「いて……」

「ひっ……!」


…ひっ?


「きゃああああっ!!!」


かなり強烈な平手打ちをくらった。





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