第21話 ミナト元帥は優勝したい?その11
ミナト・ナツメ
本作の主人公兼大部分の語り手。ひょんなことから下っ端→元帥になってしまう戦士。身長160センチ。体重45キロ。黒髪ショートボブ。本人曰くザ・平均的な見た目。あらゆる適正値がずば抜けて低い。かなりのオタクで、可愛いキャラクターが大好きな変態。アニメや漫画の見過ぎで心の声がめちゃくちゃ多い。
???
突如現れた細身の男。彼の正体やいかに。
シノン・ソラキ
第36代 インターナショナル・アーミーズ元帥。くじ引き元帥決めの元凶。前例がないような突拍子もない思い付きによる改革で組織を指揮した天才。身長171センチ。体重49キロ。パープルヘアーのポニーテール。細身の絞られた身体。美人。低音ボイス。戦闘能力も組織においてずば抜けている。
※本作品は現実世界の未来寄りの世界観かつ別世界です。ゆえに登場する事象(用語・単位等)は、現実世界のものと同じ場合が多いです。
※本作品はキャラクターの独白やキャラクターの持つ主観が多い場合がありますので、予めご了承ください。
なぜ私はここに戻ってきた……。
たしかに地図の通りにきて、指示された通りに進んだはずなのにぃ‼
バタンと大きな音を立ててドアが開いた。
「おやおや、まさかこんなとこにいらっしゃったとは」
黒縁眼鏡をクイッとあげながら、片側の口角を上げた男。
肩幅まで伸びた黒髪はやけにツヤがあるのに、頬はそげて、ギロッとした目が印象的だった。
今は軍の制服をつけているが、その出で立ちは白衣さえつけさせればマッドサイエンティストのイメージにピッタリな風貌であった。
「な、なんですか⁉ あ、あきらかにあなたが黒幕ですよね⁉」
「ほう……人の顔を見るなり、悪人扱いですか。それはいささか元帥としての礼を失しているのでは?」
た、たしかに……。人は見た目によらずと言うし、正直今は誰が敵で誰が味方なのかわからない状況だけど、こんなときこそ新キャラが私の窮地を救ってくれるというのもアニメあるあるだよね……。
さすがに、謝っておくか……。
「ま、おっしゃる通り、私が黒幕ですが」
「やっぱお前なんかい!」
ツッコミの手を降ろして一息ついたものの、しかしこの状況、私は壁を背に出入り口には黒幕。普通にやばいんじゃないのこれ。
こんなときはあれだ、なんか話して時間を稼ぐ? けれどすぐに危害を加えてきそうみたいなタイプでもないし……。
色々と思案するなか、男はコツコツと足音を立てながら近づいてきた。
「今あなたが何をかんがえているかわかっ! (バタン)」
急に男は盛大にこけて、大の字になっている。足元には踏みつけられて潰れた携帯食が落ちていた。
ふと手元のリュックを見ると、どのタイミングでかそこそこの大きさの穴が開いていた。きっとここに戻ってきたときにそこから飛び出したんだな。
ツンツンとつついてみるが、無反応。マッドサイエンティストは完全に意識を飛ばしているようだ。
「ふふん。ラッキーだったけど、危なかったぁ……。ってかこれどうしたらいいんだろう。目覚めても大丈夫なように縛っちゃった方がいいのかな。いやあでもそんなことしてる間に他の悪い人に見つかっても嫌だし、逃げるか?」
「お、やっぱりここにいたか」
聞き馴染みのある声にはっと顔を上げると、そこにはシノンさんの姿があった。
「シノンさん‼」
私は飛び上がってぎゅっーと彼女に抱きついた。あ、なんかちょっといい匂いする。柔軟剤何使ってるんだろう。
私の頭を撫でながらシノンさんは言った。
「よしよし、とりあえず見つかってよかったよ。落ちたときどこに行くようにという指示のものはなかったかい? 地図もあったはずだ。君が到着するであろうところに向かったのだが、なかなか姿を現さなくてな、それでここに来たんだ」
「ありましたよぉ、ちゃんとその通りに進みましたって!! そしたらここに着いたんですよ?」
すると、シノンさんは少し気まずそうに視線をそらして、「ああ……。」と声を出した。
ところでなぜ彼女はすぐに私がここにいるとわかったのだろうか。彼女の観察眼をもってすれば、誰がどこにいるのかまで正確にわかるという可能性もあるが……。
「あの地下通路は私の指示で整備したものだからな、どういう風な構造でどこにどうつながっているかはすべて把握しているのだよ……」
なんだかぎこちなく言うシノンさんの背後に大きな人影が現れた。次は誰だ?
「よかった! やっぱりこちらにいらっしゃったんですね!!」
こんな時にはこのデカい声も安心の証になる、ジョーさんだった。
あれ? そういえばシノンさんもそうだけど、ジョーさんも「やっぱり」って言ったな。
「ジョーさん、よくここがわかりましたね」
「ええ、こういう事態のときには地下の方にお逃げになると思いまして。しかし以前わたくしが点検に訪れた際、シノン元元帥からお渡しされた地図の通りに進みましたらこちらにたどり着きまして。もしあのときの同様の地図が用いられているなら、初見ではわたくしと同じところにたどり着くやもしれんと思いまして……おや?」
ジョーさんの元に私はその地図を手渡した。
「おお! 以前より分かりやすくなっておられる。しかし、まだこの書き方では……」
「シ・ノ・ン・さ・ん?」
いつの間にか、私から離れそっーと部屋から出て行こうとする彼女の肩を捕まえる。
「ひゃ、ひゃい!」
「ジョーさんはこう言っておられますが、どういうことなのかご説明願えますね? この地図書いたのはシノンさんで間違いないんですね?」
「そ、その通りだが、か、彼も言っていたろう、分かりやすくなったって……」
「けど、まだこの書き方ではとも言っていましたよ!! シノンさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
ジョーさんは後に言う。正座させられたシノン元元帥があんなに小さく見えたのは初めてだったと。
続
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