第1話 ミナト元帥は面会する!
キャラ紹介
ミナト・ナツメ
本作の主人公兼大部分の語り手。ひょんなことから下っ端→元帥になってしまう戦士。身長160センチ。体重45キロ。黒髪ショートボブ。本人曰くザ・平均的な見た目。あらゆる適正値がずば抜けて低い。かなりのオタクで、可愛いキャラクターが大好きな変態。アニメや漫画の見過ぎで心の声がめちゃくちゃ多い。
シノン・ソラキ
第36代 インターナショナル・アーミーズ元帥。くじ引き元帥決めの元凶。前例がないような突拍子もない思い付きによる改革で組織を指揮した天才。身長171センチ。体重49キロ。パープルヘアーのポニーテール。細身の絞られた身体。美人。低音ボイス。戦闘能力も組織においてずば抜けているとの噂。
ミズホ・ヤマダ
ミナトの同期。三等戦士。身長145センチ。体重32キロ。ピンクヘアーのツインテール。ロり。自意識過剰のわがまま。
ジョー・モリムラ
一等戦士尉。秘書兼警備戦士隊隊長。身長201センチ。体重100キロ超。全身筋肉のようなガチガチのマッチョにサングラスをかけているコワモテ。忠誠心が高く戦士としての能力値が高い。声がデカい。
※本作品は現実世界の未来寄りの世界観かつ別世界です。ゆえに登場する事象(用語・単位等)は、現実世界のものと同じ場合が多いです。
※本作品はキャラクターの独白やキャラクターの持つ主観が多い場合がありますので、予めご了承ください。
さて、のちに私がどうなったのか語りましょう。
史上最高に「え」を連呼して叫ぶ私と顔面ぐちゃぐちゃお構いなしに泣き叫んでいるミズホのコンビは、訳のわからぬまま、ただただ叫び続けていた。
しばらくその状態であったが、ポンポンと肩を叩かれて我にかえる。目も口も全開のまま横を見ると、
「ミナトさん……ですね……」
黒を基調とした戦士制服にサングラス、さらに、その制服が破けないのか不安になるほどぱんぱんの筋肉量! それに加えて目力! 動物は一瞬で危険を察知するというが、人間にもそれは同様らしい。
やばい、拉致される、やばい……。
「あ……はい……」
「……」
男はすっと顔近ける、目の威力に耐えきれず、思わず目をぎゅっと強く瞑る。
私どうなっちゃうのーーと、思った矢先、男は突然腰を下げて、
「第37代元帥ミナト・ナツメ様ですね。わたくし、案内役を務めます。ジョー・モリムラ一等戦士尉です。よろしくお願いします!」
「……」
私はおそるおそる目を開ける。
尉官⁉︎ 私より全然上じゃん⁉︎ いや、待って、でも私元帥だった⁉︎
混乱状態の私をよそに、彼はきらりと白い歯を見せて、大きな口で満面の笑みを浮かべる。
それを見て、気の抜けた私も苦笑いする……。
「ど、どうもぉ……」
最初怖かったけど、案外この人は良い人かも知れない(と、思うしかない)。
「早速ですが、ミナト元帥、元元帥のシノン様がお呼びですので……」
「は、はぁ……」
やはり、拉致だ! 拉致られるんですね⁉︎
そしてそのとき、ミズホの存在を再認識する。
まだ、耐えず大粒の涙か鼻水かもわからない液体を出しっぱなしに、ギャーギャーとお手本のように声を上げて泣き続けている。
「あ、あの、ちょっとあの子友達で……」
ジョーさんもさすがに、え? と思ったのか、「あぁ……」と言って静止する。
「ああ……そ、そうですね、彼女は私の部下が確実に家までお送りいたします。おい、お前ら!」
「はいっ‼︎」
そう言うと、どこからともなく現れた戦士制服を着た男達がさっと現れて、ミズホの両腕を抱える。
ミズホは何も気にすることなくまだまだ泣き叫ぶ。
「あはは……」
こればっかりはどちらも苦笑いしてしまった。
あれでは、まるで連行されてるようだ。
ミズホが戦士車両に乗せられて姿が見えなくなると、「ふう」と一つため息をついて、ジョーさんは続けた。
「では、私達も参りましょうか」
ニホノA1地区 インターナショナルアーミーズ本部にて。
本部に来たのは二度目だった。研修戦士だった頃に見学に来て以来になる。
門構えは例えるならば凱旋門。
数千台の戦士車両が入る駐車場に、50メートル四方で砂漠や雪山などどのシュチュエーションも作り出せる戦闘場が少なくとも十個以上、必要なのかと思うほどの噴水や銅像がある庭など、とにかく敷地が広い。
建物は一見3階建てにみえるが実は地下に何十という層があり、一人で来たら、迷子間違いなしである。
「門を開けよ! ミナト元帥のご到着である」
急に大きな声出さないでよ、心臓に悪いじゃないかと思ったのもつかの間、開いた門の中を見て、思わず「ひえっ」と声を上げてしまう。
明らかに鍛え抜かれたとわかる精鋭。
常人でも感じるほどのただならぬオーラを放つ戦士達が、門から建物の入り口まで直立し、整列している。
息を同時に吸い始める、そして、
「ミナト元帥! 本日は就任おめでとうございます! ようこそ! 我らがインターナショナルアーミーズ本部へ!」
鼓膜が破れるかと思った。否、破れているんじゃなかろうか、耳のキーンが鳴り止まない。
声の振動でおそらく軽い地震が起きましたよ今。
まさかこの列の中を歩いて建物に向かうんですか?
ジョーさんに怯える子犬のような弱々しい目を向けたが、彼は大きな口をにっこりとしながら、グッジョブサインを見せる。
嘘だろ、全然通じてないよ私の心情! わざとやっていないあたり、余計にむかついてくる。
そんなことともつゆ知らず、「さぁ、参りましょうミナト元帥」 と、暢気に言うのであった。
一歩一歩進むたびに自分の寿命が減っていっているんじゃないだろうかと思う。
見つめられてるのか睨まれてるのかわからない!
これからこのオーラに囲まれて生活しなければならないのだろうか……。
建物の入り口に来るまでにわずか数十秒と歩いていないはずなのに、私はま登山終わりかのようにぐったりと膝をついた。
「お、おお! 元帥! どうなされました‼︎」
あなたは感じないんですね! あのプレッシャーを! いや、あなたもあの中の一人みたいでしたもんね!最初!
「い、いえ、ちょっと、緊張しただけです……」
純粋に心配しているとわかる目がやっぱり逆にむかついてくる。
元帥執務室にて。
コンコン。
「どうぞ!」
「失礼いたします」
「ひっ! ひつれいします!」
緊張しすぎて、噛んだし、声裏返った! 恥ずかしい‼︎
「やあ、よくぞ来てくれたよ。悪いね、ここはもう君の部屋なのに、まだ私が居候しちゃって」
「い、いえ、全然……」
今度は裏返らなかった。いいぞ、落ち着け。
シノン元元帥。身長は170センチ程度、全身すらっとした流線美がぴったり合った戦士制服からよくわかる。きりっとした細い目に、肩より少し長めの髪をポニーテール状にまとめている。私の好む可愛いというよりも、美人さんだ。そして、かっこいい女性にも映る。
「とりあえず座りましょう。ジョーもお疲れ様、ここまででいいよ」
「はっ!」
いちいち声がでかいよ。鼓膜がいくつあっても足りやしない。
心中察してくれたのか、シノン元元帥は優しく微笑みかけてくれた。
「彼、声大きいだろ、びっくりするよね。私も最初はびっくりしたよ。ここまで来るのも大変だったろう、戦士たちが整列とかしてなかった?」
「は、はい……」
シノンさんは私の顔を少しじっーと見つめて、すぐにまた立ち上がった。
どこに行くのだろうと目で追いかけると、どうやらコーヒーを入れるようだ。
「あっ、あの私が」
思わず立ち上がったがシノンさんは手でそれを静止した。
「次期元帥にコーヒーを入れさせるなんて真似出来ませんよ。」
なんだかからかわれているようだ。
二人分のコーヒーを机に置き、シノンさんは今一度私を見つめる。
「もっと緊張ほどきなって、ここは今日から君の部屋、君は今日から代表だ!」
「だ、代表……」
「そう! 君は私達インターナショナルアーミーズの元帥! つまり、代表なんだよ。なんかもっとこう、しゃきっとしようしゃきっと!」
それにもかかわらず下を向く私に、彼女も気を遣ってくれたのか、おしゃべりをやめた。
少しして、私は言った。
「どうして、私なんでしょう。他に優秀な戦士がいっぱいいるのに……」
彼女はコーヒーを飲む手を止め、机に置く。
「くじ引きで当たった。それだけさ」
そして、名札が置かれた机に目を向ける。
「元帥 シノン・ソラキ」と書かれている。
「私の父親を知っているかい、ミナト君」
確か、シノンさんの父親は、
「第35代元帥 シロウ・ソラキさんですよね」
「おお、よく知っているね」
彼女はまた、コーヒーを一口飲んで続けた。
「私は父の跡継ぎだ。でも父はあまり、私を元帥にする気はなかった。わかるだろうーー自分の子を指名することが周りからどう見られるのか」
私は黙って下を向いたまま、小さく頷く。
「しかし、父は他に元帥を任せられる幹部がいないと言ってな、私はまだ若手の幹部だったが、父は私を指名したよ……」
「シノンさんは元帥になりたくなかったんですか?」
すると、ふっと笑って視線をずらす。
「元帥になることは目標でもあった。けれど、早すぎると思ってね。とりあえず私は親のコネなり文句を言われないよう、独自のやり方で、組織を変えた。そして、私は最後にみんなをあっと驚かせる組織改革的な元帥選びで身を引こうと思ったのさ」
この人の後任? 出来るわけがない。
センスも能力も、見てきた世界も違う。
私はただなんとなくこの組織に入った。なぜと問われてしまえば、すぐに答えは出せない。
この組織に入ったことを後悔する訳ではないけれど、しかし、私のような人間がトップに立つというのでは、話が違う。
そもそもシノンさんはまだ充分現役でできる歳のはずだ。なぜ今退任なんだ。
「君の心の中を当ててみようか?」
私は彼女に目を合わせる。
「どうして私なのか? まだ引退する歳でもないだろうに。まぁ、そんなところか」
心が読めるのか⁉︎ ただしそんなことはない。
彼女は観察眼の高スキルを持っていることをのちに教えてもらった。
「君から訊かれる前に話しておくと、私は元帥は辞めるが、その代わり一幹部に戻る。それで、しばらく君をサポートするつもりだから安心してくれ。」
バンっと強く両肩を叩かれた。驚いて顔をあげる。
「できる! できる! できる! できる! はい言って‼︎」
ぼけっとして彼女を顔を見つめていると、
「言って‼︎」
「でき……る、でき……」
「声が小さぁい‼︎」
「ひぇっ!」
先程までとは違う剣幕に、だじろいだ。
彼女は一切の笑みを浮かべることなく、眼光炯々として私を見つめる。
一つ深呼吸をする。そして、勇気を出して叫ぶことにした。
「できる! できる! できる! できる!」
「はいもっかい‼︎ できる! できる! できる! できる!」
「できる! できる! できる! できる!」
表情を緩め、そっと私の肩に手を置いた。
「何だか、やる気と元気が出てくるだろ。父が昔、私が元帥になった日にしてくれたおまじないだ。」
確かに言われてみれば、なんだか吹っ切れたようだ。
息もしやすいかもしれない。
「大丈夫です、私、できます……多分」
保険をかける言い方になってしまったが、彼女はそれでも喜びを顔にみなぎらせた。
「そうか! 多分でも良い! まあ頑張ってみてくれ。なぜ、君なのか? その疑問はいずれ分かる。少なくともそれまでは、職務を全うしてくれ。」
「はい!」
晴れやかな顔を見せ、力強く頷く。
「それと、君にお願いなんだが……」
「なんでしょう!」
彼女は名札の置いてある、事務机の方を指差して言った。
「あのイス壊れてるから、新しいのに取り替えるよう事務に言っといてくれ」
「……」
それ今言うことかよぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎
続
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