第7章 好きな人
美紀とシロユキはいちご畑を離れ、森の中へと入っていった。
美紀の身長の何倍もある木々が乱立しているその森は美紀には少し怖かった。
「ねえ、なにか出てきたり・・・しないよね」
「大丈夫だよ。今まで何も出たことはないからね。それに、しばらく歩いていればもっときれいな木々が並ぶ、明るいところへ出るから」
「本当?じゃあ、しばらくの間、我慢だね」
「美紀は学校で好きな子とかいるの?」
不意にシロユキが質問した。
「え?」
美紀は少し躊躇したけど、思い切って言った。
「うん、いるわ。小学校に入って初めて会った男の子なんだけどね。同じクラスなの」
「どんな子なの?」
「すごく優しいわ。1回、私が消しゴムを忘れたときがあって、そしたらその子が自分の消しゴムを切って私にくれたの。それに、サッカーが上手で、字も私よりも上手だわ」
「へえー、いい子なんだね」
「でもね、あんまりお話はしたことないの。席も離れてるし。3回くらいね、とちゅうまで一緒に帰ったことがあるわ。10分くらいでお別れしちゃうんだけど、美紀にとってすごく楽しい時間だったわ」
「そしたら、おうちに戻ったらまた学校で一緒に帰ることがあるんだろうね」
「うん。すごい楽しみ。それにね、もうすぐクラスで席替えがあるの。隣の席にならないかなって、すごくわくわくしてるの」
「学校か、面白そうなところだね。ぼくも行きたかったな」
「そうだね。シロユキもおんなじ学校だったらよかったのに」
「あ、その男の子って何て名前なの?」
「えーとね、サトル君だよ」
2人が話していると、だんだん目の前が明るくなってきた。
「やっとあの暗いとこ抜けられたね」
「同じ森でも、さっきと全然違うね」
「木も生きているんだ」




