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5 episode.0 part2



 本編開始の少し前のお話――


 この日、わたしこと柚木ゆずと親友のコロネ、花子が久々に顔を合わせた。

「クリスマス前だというのにひもじいのこと。もっと段ボール。段ボールがほしいのこと」

「そういえばあったわね。謎のホームレス設定」

 冬の風が強い河川敷。久々に再会するというのにわたしたちはそんな場所を選んでしまったのだ。

「家なき子の花子が一般の店に入るのはとてもつらいことだと思ってな! 素晴らしい心遣いだな!」

「絶対嘘のこと! 花子もケンタッキーしたかったのこと! ケンタッキー食べたいのこと!」

「お前にケンタッキーはまだ早い。カナダに至っては未だに違法食物だからな」

「そうなのこと!? ケンタッキーがそんなに恐ろしい食べ物だとは思わなかったのこと! 食べたことないけどのこと!」

 わたしたちが声優としていっしょに活動していたのは昔のことになってしまった。コロネは小学校卒業とともに声優も卒業し、花子にいたっては、仕事がなく事務所を解雇されてしまった。今、声優を務めているのはわたしだけになってしまった。

「花子はこんな感じで安心したが、ゆず。お前はどうなんだ? 声優は大変か」

「大変なのはわかってるでしょ。って、コロネは天才だったから苦労も何もなかったか」

「別に苦労しなかったわけじゃないぞ! そんなにつらかった記憶もないのだが」

 つらかった記憶。

 わたしは服の上から胸の中心をなでる。服の中に隠してあるとあるものの居場所を確かめたのだ。

「やっぱりコロネも覚えてないのよね」

「あのゆずの夢か。ワタシが魔法少女で大きい蟲とか魔女と戦ってたっていう。多分夢だから気にするな。ま、コロネちゃんなら魔法少女でも天才だっただろうがな!」

 わたしには二つの記憶がある。どちらかを夢と片付けるには鮮明過ぎる夢。わたしはそれをどちらも現実なんだと考えている。今ここにいるわたしはごく普通の人間。親だっているし、ともだちだっている。でも、それが本当は仮初なのだとしたら――

 その証拠の一つ、服の中のペンダント、魔法少女キーを握りしめる。とある少年と少女に託されたもの。コロネを二度と魔法少女と関わらせないためにも、現在の少年と少女にこれを突き返さないといけない。

「せっかく久々に会えたんだから、美味しいものをいっぱいおごってほしいのこと! 友情は見返りを求めない、ってこのブレスレットに誓ったのこと!」

「一瞬で矛盾したわね」

 三人お揃いのブレスレットにも二つの記憶がある。でも、お互いの誕生日にプレゼントしあったことはどちらも同じ。わたしがコロネを、そして、コロネがわたしを思う気持ちには変わりがない。それだけははっきりとしているこの世界の真実。

「世界をまたにかけるコロネちゃんがぎろっぽんでフミばあのたこ焼きをごちそうしてやるぞ!」

「あの伝説のフミばあのたこ焼きがぎろっぽんにもできていたのこと!?」

「いや。仮面ライダーゴーストネタ、分かる人いるのかしら」

「そりゃああのアラン様のたこ焼き食いながら戦闘するシーンは忘れようにも忘れられない!」


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