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エピローグ
それから、数年後。
俺と涼花は、たくさんの人の協力のもと、小さなグッズショップをオープンさせた。
お店の名前はーー『Ane Star』。
涼花が描き出す繊細でどこか温かいデザインの数々は、瞬く間に学生たちを中心に大人気となった。
俺は毎日、走ると少しだけ痛む足と付き合いながら、愛する妻のデザインを形にするため、ミシンを動かし、アクセサリーを磨いている。
あの時、手作りの指輪を受け入れてくれた涼花は、今や立派な敏腕デザイナーだ。
そして今、俺たちの間には、一人の小さな女の子がいる。
よちよち歩きで、お店の中に飾られた白い花のディスプレイを見て、キャッキャと笑っている俺たちの愛娘。
「アネ、こらこら、それは売り物だよ。」
俺が苦笑しながら抱き上げると、奥から涼花の優しい笑顔がこちらを見ていた。
娘の名前は、一ノ瀬アネ。
あの日、最悪な場所を最高の場所に塗り替えた、あの白い花から名前をもらった。
勝手に期待され、勝手に失望されて、一度は死にたがっていた俺の人生。
けれど今の俺は、この小さな星のような場所で、愛する家族からの「当たり前の期待」を背負って、最高に平凡で、最高に幸せな毎日を生きている。




