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竜のマニ  作者: ぼんにゃん
3章
52/52

的当てゲーム

五十、的当てゲーム




ヘレンに好意があると告げられたが、マニは全く心当たりがない。

初めて会話したのもメネラウスに招待状をもらったこの前のパーティーだった。

彼女が父の新しい獲物を憐れんでか、悪行を止めたかったのかわからないがマニに宝物殿に来ないように忠告してくれたことくらいしか接点がない。

それで急になぜこんなきれいな人が自分を好きだというのがわからない。

なぜと問いたかったが、命を狙われている今、ここは自分たちは敵地にいて彼女の協力が必要だ。

師匠どうすればと心の中で叫んだ後、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。

そして少しの申し訳なさを飲み込み、無理に笑った。


「ありがとう、ヘレンさん」


ヘレンはマニの横に立ち、メネラウスの方に向き合った。


「娘を色香で惑わしおって」


色香?色気?きっと師匠を真似た交渉術のおかげに違いない。

師匠は穏やかで少し腹黒い感じだけど、色気ってあったかな?否、今はどうやってこの場を切り抜けるかに集中しなければ……。


「それでは第2ゲームを始めます。次は的当てです。」


ユーエンは斜め十字の形の瞳孔を見開いて両腕を振り回しながら宣言した。


「よっしゃ!若は戦闘スタイルから得意分野だな。俺も弓を使えるから狙いを定めるのは自身があるぞ」


レオはガッツポーズをしている。

トランプゲームはマニたちのチームは初心者が多く不利であっさり負けてしまった。


「そしてゲームの的はあなたたちです!」

「は?」


ユーエンが指を弾くと参加者たちの前に薄紫色の小さな正円が現れた。


「相手チームの的を先に全て撃ち落としたチームの勝利です!もちろん魔法を使ってもよし!武器を使ってもよし!的を狙う際にうっかり相手を殺しちゃってもよしですよ!」

「まじかよ……」


「それでは両チーム、ゲーム開始までは中庭の両端のラインの内側にいてください!!ゲームが開始すればラインの外に出ても良いです!」


宝物殿の中庭は長方形をしていて、600㎡ほどあるらしい。

中庭には樹木や東屋などの遮蔽物がある。

マニが飛んで逃げようとした時、2階建て建物の天井付近までは妨害の魔術が発動しなかったので縦方向へは10mほど飛んで移動できるようである。

両端から1mほどの所に白く発光するラインが引かれていく。

マニたちが従業員たちの陣取る天使の像の反対側の端に移動しようとしたとき、メネラウスが話しかけてきた。


「それにしても、もうすぐ絶滅する最後の火竜の一匹が手に入るとは楽しみだな。竜の角の剣の隣に展示しよう」

「……ぜっ、ぜつめつ?」

「知らなかったのかい?前の戦いで竜たちはすべて討ち取られたんだよ」


そんな、じゃあ、お父さん、お母さん、群れのみんなは、もう死んでしまっていたんだ。


「お兄様、大丈夫?」


うつむいて動きを止めたマニにココアとレオが駆け寄る。


「お前の妹は腹違いという話だったな。そして妹は火竜ではない。その先ほど焦げた服が証拠だ」


辺境伯の杖の示す先を見るとココアのローブの先が焼け焦げていた。


「異種族でも結婚はできるが、生まれてくるのは母方の種族であることがほとんどだ。ウンディーネなどの一部の種族を除いてな。つまり、もう竜は生まれて来ない。お前は最後の一匹だ」


メネラウスが言葉で揺さぶりをかけてきている。

わかっていてもマニはショックで頭が真っ白になり、動くことができなかった。


「ほらほらー。早く位置についてください!ルール違反で失格にしますよ!!」


審判のあきれたような声が中庭に響き渡った。

レオがショックで動けないマニを抱え上げ規定の位置まで運ぶ。


「マニ様が憔悴状態のため、私が指揮を取らせていただきますわ」


ヘレンはスカートをたくし上げて端にある石造りのベンチの上に登り、その上に立った。


「レオさん、弓術の心得があるのでしたね」

「だが、今は弓矢を持って来てないんです。ナイフでも投げようかと思ってますがそんなに数は持って来てないですぜ。」

「位置を教えてくだされば私が撃ち落とします。なので私の側にいて相手の場所への軌道を教えてください。ココアちゃんは防御魔法を使えますか?」

「あまり得意ではないけど一応使える」

「盾なら俺がなります」

「いえ、このゲームになるにはレオさんの目が必要です」

「……わかりました」




相手チームはメネラウスを一番奥に陣取っているようだ。

フギンとムギンには翼があることから空からの攻撃もあるだろう。


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