湖の魔女
四、湖の魔女
マニは朝起きると、果たしてどの方角に向かえばいいのか考えた。
一応、星や太陽の位置から方角はわかるがすみかからほとんど出たことのないため、地理はほとんどわからなかった。
とりあえず、おなかがすいたので水場にあつまる鳥でも狙おうと茂みに隠れていた。
すると池の水面が揺れ、みずしぶきをあげて人影が出てきた。
よく見ると髪を長く伸ばした少女だった。
あまりの可愛さにマニは茂みを飛び出して、少女のほうに歩いていった。
「僕はマニ。君は?」
マニは可愛い女の子に弱かった。
「私は湖の魔女よ。よろしくね」
湖というのは確かもっと広いと聞いたことがあり、ここの水場は池だと思っていたがそこはスルーした。
「可愛い魔女さん、僕と一緒に朝ごはん食べない?今から用意するから。」
「いいわよ。私も用意するね」
「わーい!」
マニは一緒にいられると思い、大喜びで跳ね上がった。
湖の魔女は湖から食器を取り出す。
「すごい、これが魔法?」
「そうね。魔法の一種かな?私のいる水場にはいろんなものが沈んでいるの」
湖の魔女はオアシスに自生している食べられる草を摘んできては教えてくれた。
マニも鳥を狩ってきて持ってきた。
人の姿では牙や角を刃のように創りだし操ることができるのだ。
今まで面倒で竜の姿のままで行動していたが、これからは用心しなければならないと思っていた。
食材がそろうと湖の魔女は木の棒をこすって火を起こそうとしていた。
「火がいるなら僕がつけるよ」
マニがふっと息を吹くと火種に火が着いた。
それに集めたまきをくべる。
「火の魔法が使えるのね。私は苦手なの」
「そうなんだ。でも僕に任せて」
ここはいいところを見せなければ!
その火で湖の魔女は鳥肉や草のスープを作ってくれた。
「おいしい!」
「良かった。火の魔法には色んな使い方があるのよ」
「ありがとう。僕のために」
「だってドラゴンはもう数が少ないから大事にしなきゃ」
「え?なんで僕の正体がわかったの?」
マニは血の気が引いていく思いだった。
「だって、昨日、湖の中からあなたの姿を見てしまったの……」
「そっかー」
あまりに驚いて竜の姿であればしっぽがピンを立っていただろう。
「大丈夫よ。誰にも言わないわ」
その言葉に安心したマニであった。




