お祭り
三十、お祭り
ダークキャンドルの会が壊滅した後、マニとココアは修行の合間に大火災が起こった町の片づけを手伝った。
数週間後、都から戻ってきたシアンも手伝ってくれた。
屋敷の敷地内の小屋に知り合いの避難者たちを住まわせているが、叔父一家がいい顔をしないので早く町に戻してあげたいらしい。
「ふう。俺の方が重いがれきを持てるぜ」
「僕だってもっと重いがれき持てるよ」
「こらこら、無理したら怪我するよ」
町の人に注意されてしまった。
シアンがいるといつもこうなってしまう。
北の森の神殿の神官や巫女たちが町の復興を手伝ったことや、ダークキャンドルの会との戦いに司祭が参加した噂が広まり、神殿の評判が上がり参拝者は徐々に増えていった。
廃墟になっていた神殿近くの料亭も立て直され、そこでベリータは働いているらしい。
自分の収入の一部を町の復興のために毎月充てているようだ。
みんなが力を合わせて頑張ったので、約1年後には町は人が住めるようになり、避難していた人たちも戻ってきた。
完全に以前のようにはまだ戻ってはいないがようやく落ち着いて暮らせるようになった。
今日は神殿のお祭りの日だった。
多くの人が神殿の前の広場に集まって、楽器の演奏や踊り子たちの舞の奉納を楽しんでいた。
マニはココアとサンサとキャスで屋台の食べ歩きをしていた。
「最高すぎる」
マニはサンドイッチを食べながら喜んだ。
棒付の飴をなめているココアも色々な屋台が気になるようだ。
サンサは参拝者に振舞われたジュースを味わっていた。
「こんなに神殿が賑わうなんて100年ぶりよね……」
「ひゃくねん!」
「おばさん、歳がばれますよ……」
「おばさんって!」
マニの親戚の一族にもおばさんに当たる竜はいた。
それは親の兄弟で、少なくとも自分よりは年上だった。
それがキャスのおばさんがサンサとは……!!
いやいや待て、巫女たちの噂話では年下のおじさんやおばさんはありうるらしいけど。
「マニ君、あのね。これは私とキャス君が遠い親戚ってことなのよ」
「そうそう。叔母どころではなくて、いとこおおおばとかいう……」
「もうっ。キャス君!」
サンサは必死に話をキャスの話を遮ろうとする。
「ごめんね。マニ君。隠すつもりはなかったのだけど。立ち入った話だから誰でも話せる話ではないの」
「ぼっ僕はサンサさんが年上でも好きです!」
マニは勢いで告白してしまい、頭が真っ白になり無言で立ち尽くした。
「ありがとう。マニ君が大人になっても好きだったらまたその時考えるね」
サンサは優しく微笑んだ。
ココアがマニの側に近寄ってきて背伸びをして耳打ちした。
「サンサさんが年上って気づいていたよねー?」
ココアがさも自分たちは勘づいていたような自身に満ちた笑みだったので、マニは小さく「うん」と言った。
小さくても女のカンって鋭いなあ。
お祭りを楽しんでいると馬に乗った騎士たちが到着したという報告を受けて、マニたちは急いで森の入り口へ向かった。
騎士たちは皇帝からの使いで赤いリボンを結んだ巻物をキャスに渡して去っていった。




