第四十話:ジュリアの過去
わたしの名前はジュリア・フォン・シーグムンドシュカールだ。
シーグムンドシュカール伯爵家の人間として育てられた私は、実は母親の素性はクローディッシアー・フォン・ゲールトルドといって、大司祭という重大な聖職についた者としてだけじゃなくて、元々はゲールトルド伯爵家の人間だったが、嫁ぎ先がシーグムンドシュカール伯爵家になっているので、伯爵と結婚して父との間にできたのはわたしという子だ!
つまり、何が言いたいのかというと、自分の母親であるクローディッシアー大司祭は元々、イリーズカ・フォン・ゲールトルドの姉だということなので、つまり私はイリーズカ精霊術学先生の姪っ子だということ!
わたしが大の男嫌いになったのは、とある事件を機に起こった後からだと記憶している。
そう、あの頃、『カールくん』に対してまで夢を見ていた当時のわたしだった時期に……
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6年前:
10歳の誕生日に入ってからのわたしは、お誕生日会のパティーが開かれるレイクウッド王国の北西地域の『エールスグランド』の我が領地にて、『ロークシャルーッド』って町を収める我がシーグムンドシュカール伯爵家は町の様々な【家庭的低価格魔導製品】の販売と普及が更なる経済成長を促進すると共に、3代も続いてきた我がシーグムンドシュカール貴族家は後8,9年もすればやっと侯爵の爵位を授けられそうだって謳われている中、わたしは屋敷のパティー会場である敷地内のボールハウスにて、とある男子に挨拶された、
「やあー。君はジュリアさんですね~?シーグムンドシュカール伯爵の一人娘にして将来はこの『ロークシャルーッド』町にとっての次期当主な令嬢さんって人……」
「そうだが?」
「お初にお目にかかり光栄ですね。僕は『アールノア地域』に我が家が領地を持っているカールソン・フォン・ギッベンナイハーという者です。父はギッベンナイハー伯爵で、今は領地にて、更なる改良型の『家庭用の魔導製品』を開発している最中ですよ」
わたしに近づいてきたのは銀髪のショートヘアをしている男子で、どうやらわたしと同程度の伯爵家の出のようだ。
「これはご丁寧な挨拶で嬉しいいものだな。で、・ギッベンナイハーくんがなんでわたしに話しかけてきたんだー?」
「それはもちろん~、見目麗しい美貌と才能を誇る君と仲良くなりたいからですよ。だから、父が君の誕生日会に参加すると言ったら、小躍りしちゃいそう期待していたんですね、僕~」
「わたし、チャラそうな男は嫌いだが?」
「そうは言わずに一度は僕の友達になってから評価してくれよ~。きっと君の人生にとっての楽し過ぎる日々が始まる時期になるかもしれませんよ?」
それだけいって、カールソンと呼ばれる男子にダンスの誘いを受けたので仕方なく付き合っていると、
確かに彼はダンスが上手いし、そしてもっと話し込んでいけば、意外にも私と趣味や興味が同じものも多くて、びっくりさせられたって感じることもあった。
あの頃、【最悪な一年間】が2年前で終わったばかりの時期は、我が王国内を暴れ回っていた魔神アフォロメロの毒牙にかかっていた女性が3000人以上も行方不明になり、攫われた後からはわたしのヒーロ的な存在だった【激舌の壮麗男、マックミュレーン様 】に討伐された後でも、未だに彼女達の在り処を突き止められなかった彼と王国の全ての人間が悔しい思いをしていた。
実は、わたしは最初から男嫌いという感情がなくて、それどころか、むしろこの王国にとって、……いいや、『この世界』にとっての『初めての男の精霊術使い』であるマックミュレーン様に対して、それなりに憧れと幼少期特有の恋慕を抱く時期もあった。
だって、映像で見て思ったんだが、あの長い詠唱を必要とした【神話級の精霊術】をあのセクシーな長い舌の激熱な動きで、彼の謎の精霊様、確かに彼がお呼びになっているその精霊の呼称は【舌好き雌の無名ちゃん】ってことで、変な呼称の割にはバカにもできないほどの神話級の精霊魔術をいっぱい有する精霊だということ!
で、明らかに【3体の大聖霊】よりも【中格聖神】に近い力と能力を持っているその【 舌好き雌の無名ちゃん】は精霊にしては強力すぎて、古より存在していた【3体の大聖霊】よりも遥かに圧倒的な力を持つとされている、誕生してから10年も経っていない【2体の大精霊王】の内の一体であると、噂では言われてるんだっけー?
まあ、後から知るようになったのは、精霊術学院のイルレッドノイズ学院長がそのうちの1体である【太陽の大精霊王、 ミヴァールツアー】をどんな奇跡的な機会があって契約できたか定かじゃないんだが、映像を見る限り、あの魔神と渡り合えるほどの天変地異めいた神話級の精霊魔術を次々とあのセクシーな激烈的な動きしていた長くて特別な舌をお持ちになられてらっしゃるマックミュレーン様をお観戦した時に、確かにもう別の1体の【月の大精霊王、ヘグデンタール】が実はあの【 舌好き雌の無名ちゃん】の本当の正体なんじゃないかって考えている色んな精霊術学者が今までで論文が絶たない程に出してきたはず!
まあ、でもたとえわたし自身がマックミュレーン様に対する好意と恋慕を持っていたとしても、他の男性は違うってなるんだが、あのカールソンって子は付き合っていく内に、徐々に馬が合うところも多くて驚いたなって感心した頃には既に、彼はわたしにとっての掛け替えのない【親友】となって、いっそ恋愛を始めてもいいと思った3年前の、わたしが13歳になった頃に彼の領地の街である『ザルツア』に滞在していた頃に、
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「済まない、僕はどうやら金貨がいっぱい入ってる方の小袋を屋敷においてきてしまったようなので、今は取りに戻っていきたいんだが、少しの間でそこのベンチにて待っていて貰えるんですか?」
「…もう~~!またそれ~?カールくんもいい加減そのドジっ子くんっぷりを改善させないと駄目じゃない~まったく。まあ、カールくんのことは好きからこんなもので怒ったりしないけどね、えへへへへ……」
「すぐに戻るので、今はこれで我慢してねー!」
ちゅっぷ~!ちゅちゅ…….
恥ずかしげもせずに、堂々と人前の多いこの大通りの商店街前に人がたくさん行き来しているところでもわたしの唇に彼のそれが触れて、キスを交わしてきた。
「じゃ、すぐ戻るから、そこから動くんじゃないぞー!」
タタタターーー!!
慌てて走り出していった愛しい『はず』のカールくん。
あの時、まさか理不尽な仕打ちが待っていたとは露も知らずに、浮かれていた気分のままで彼の帰りを待っていたバカな私がいたのだった!
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この『イリアム商店街』から彼の屋敷までは近くて10分しかかからないはずなのに、今は1時間近くが経っていいてもカールくんはまだ戻らない。もうそろそろ戻ってきてもいいころ合いなのに、まだ帰ってこないとは………
「待つって言われても、さすがにもう遅いなってなってるから、わたし、見に行くぐらい怒られぬだろう……よし!」
そうと決まれば話が早いので、覚悟が決まったわたしに善は急げといったふうに、すぐにカールくんの屋敷に向かって歩き出していった!
ター!ター!ター!
「--!?」
やはりカールくんの姿が見えたー!
彼の屋敷から距離が近い『魔道飛行車の修理修復専門屋アグミス』のすぐ左側に、女性用の服屋があって、その店の前に立って、フリルのいっぱい入った赤いドレスと白いドレスを着ている二人の超絶美少女と楽しく話し込んでいるカールくんが見えたー!
「でね、でね、『あいつ』ときたらバカすぎるなんだよー!まさか1時間も僕のことを待つとか従順すぎてペットみたいで笑っちゃうよね~!」
「きゃはははー!だからいったじゃない~!カールソン様みたいな将来は絶対に大出世する貴族令息にはもっと相応しくてお淑やかなご令嬢さんが何よりもお似合いのはずなのに、何よりによってあんな単細胞の男女とつるむようになったか、理解に苦しみますわー!」
「そうよ、そうよ、なんでカールソン君みたいな素敵すぎる殿方があんな地味な服装してるばかりの半端者でガサツ女といつも時間を共にしてきたか分からないわ!家では『魔道兵器』のロッドと鞭ばかり振り回して研鑽とか修業ばかりやってきたって聞いてるし、そんなに体術が好きなら早いとこ契約精霊でも見つけた後に精霊術にでもなって殿方と無縁な生活を送ればいいだけじゃない、あの脳筋令嬢はー!」
「まったくだ!僕だって好き好んでジュリアと付き合ってきた訳じゃないんだよ。うるさい父の決定だからな…政略結婚だかなんだか知らないんだけど、僕達の地位をもっと向上させるためには我がギッベンナイハー伯爵家が専門とする【家庭用魔導製品の制作】を武芸の心得と武術の教えを主業とするシーグムンドシュカール家を結びつけることだったらしい。だから、よっぽど僕をジュリアと結婚させたがる両親なのだが、生憎とそういう女はタイプじゃないんで、今までは本当に苦労して演技を続けてきたものだよー」
「ほうー?それがお前の本当の本心かー!カールくんー!」
「「「---!??」」」
振り返ってきた彼ら3人のようだが、もう遅い―!
「お前を信じてきたわたし!愛してきたわたしが馬鹿みたいだったぞーー!!これでも喰らえー!」
怒りを上手く抑えられなかったわたしはさっき、彼がわたしのために買ってくれた首輪ネックレスを彼に向かって投げつけると―!
タタタタ―――!!
すぐさまその場から立ち去っていったわたし!
「待て、ジュリアー!これには訳がー!」
「もう知らないよ、お前の事!今すぐ手を離さないとぶん殴るからなー!」
尚もわたしの腕に縋りついて言い訳を用意してるっぽいカールに飽きれながら、強い口調で追い払おうとすると、
「頼むよ、さっきの彼女達はただ昔からの腐れ縁で、話を盛り上げさせるためにそんなでっち上げた【嘘のジュリア像】で君のことを敢えて悪く話してしまうことになったが、全てはあの取るに足らない子達に会話の腰を合わせるだけ―」
「お前の言ってる言葉こそ嘘の極まりだぞー!?大体、誰が信じると思うんだーそんなことー!?本当にわたしのことが好きで、大事に思うならば、例え嘘偽りの発言でもわたしのことを他人の前で悪く言ったりはしないんだぞー!わたしをどんな人だと思ってるんだ、『男』のお前が―――!!もうお前の事知らないし、婚約の話もなかったことにするんで、これからはわたしと関わろうとするな、鬼畜男ーー!!」
タアアーーーーーー!!
それだけいって、『空中浮遊魔術』を使ってあそこから離脱した。カールは魔術全般がからっきしなので、同じくこれを使ってわたしを追ってきたりすることはできないはずだ!
………………
ビュウウウウゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンン!!
「きゃあああーーー!!!助けて―!」
ん?その声―!
低速度と低飛行で飛んでいる最中に下方から聞こえてきた声があるので、そこの街の裏通りにいる右方向の眼下へと見下ろせば―!
「助けて――!!私を~!?うんふ!んんふ~!?」
どうやら、一人の女性を地面に組み敷いている3人の…男---!!?また『男』だとー!?
くそ!許せんぞー!またも『男』によって不幸にされている、乱暴されている女性が目の前にー!
「ぐへへへ~!大人しく自分の運命を受け入れろ―ぐふぼおーー!?」
バコオーーーーーー!!!
ター!
「そこまでだ!お前らーーー!!」
『身体能力強化』を使うまでもなく、蹴り飛ばした男を一瞬で睨んだ後、もう二人残ってる男に向かって鋭い視線で怒鳴った!
それから、あの男共をやっつけた後、わたしの中には男に対する嫌悪感と不信感が植え付けられ、『男なんて生き物はあの尊いマックミュレーン様を除いて、取るに足らない卑しい生物達ばかりだ』って認識が強く頭の中で印象付けられ、もうトラウマを感じたくなくなったわたしが自分に課した精神的防御反応だったんだろう………
だって、無理もない話だったろうー?
立て続けに、同じ日に連続として運悪く『男』に対する苦くて気持ち悪い体験をさせられたから、わたしがもう『あんな理不尽な生き物』と付き合いたくないと思うのも当然。
いくら『全ての男性は悪者じゃない』といったって、そもそもの話、彼らと関わろうとしなければ、わたしが感じた絶望も落胆も感じなくなるだろう?そして、男が完全に別離された町で暮らせば、さっきあの【魔術の才能一切なさそうな無力系女性】が外道な男達に襲われることもないだろう……
子を作りたいならば、夫を一週間ごとに一回だけ家に招き入れて良いし……。
だから、男嫌いになったわたしはそれから、1年後に首都へ引っ越したばかりの頃にクリスティーナ様と出会って、男性という類の人間に対しても大きな疑問点を抱えている彼女とも意気投合して、こうして去年の精霊術学院に入って1年生になってからは彼女の母親である学院長の『共学化計画』の話が浮上して、猛反発を見せ始めたクリスティーナ様のサポートと支援をするべく、彼女の立ち上げた【純粋なる淑子研鑽会】なる部活に副会長として参加したのだった。
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