表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/140

第十九話:チーム戦の訓練、そして最悪な帰還

放課後の地下訓練ホールにて:



「オケウエー!敵の右翼の撃破をお願いねー!」


「分かった!オードリーも左翼を頼むー!」


今、俺達『チーム・オケウエー』は地下訓練ホールにて、イリーズカ先生の監視の元で【チーム戦】を意識した戦い方を練習して、今はまさに適役として相手になった【魔道自立戦闘ゴーレム(マジック・オート―メテッド・コンバット・ゴーレム)】8体と戦っている最中の俺達。


ちなみに、魔道自立戦闘ゴーレム(マジック・オート―メテッド・コンバット・ゴーレム)】というのは特別な【物理法則無視系の魔術】と【材質強化を得意とする精霊からの精霊魔術】を同時に使っての特殊な製造法で作られた訓練用の模擬試合ドローン…というかロボット?だね?


まったく、北大陸って古より現在に至るまで絶たずに魔術の訓練と練習ができる大地なんだからそれを応用しての魔道技術も発展し過ぎていて、南大陸の人間としては少々羨ましい限りだぜー!


「では、わたくしは【小守白霊防壁】を皆に付与しますわねー!アールドヴィオーレ 、『我が味方へ小壁の白霊気を与え給え―!』--!!」


フシュー!フシュー!フシュー!フシュー!フシュー!フシュー!


ちなみに、今の俺達『チーム・オケウエー』が展開している陣形は【スタンダード陣形】であるこちらだ:


挿絵(By みてみん)


「よっしゃー!これで僕らの身体中に追加防御の能力が施され、敵の攻撃からもっと耐性が増すはずっすー!そんじゃ、【セフィーブレニエル】ー!!我が声に応じ鉄砲の脅威を振りまけ―!」


そう唱えたジェームズは自分の契約精霊であるセフィーブレニエルを魔道ライフルのような形に変えて武器化させ、


ズダダー!ズダダー!

カチャ!カチャ!


ジェームズの前に陣取っているヒルドレッドに向かって襲い掛かる2体の【魔道自立戦闘ゴーレム】を確認したので、2回までも3発連続のそれぞれの【精霊銃弾】をゴーレム達へと発砲したジェームズ。


ゴーレム達はそれぞれ3メートルの身長を誇るので、至近距離となればマジで脅威となりそうなので、【サポーター】役のジェームズが【ディフェンダー】役のヒルドレッドの援護をするのが当然。

もちろん、近接戦闘における優位性もヒルドレッドにはあるが、後ろに頼りになる仲間がいるなら甘えて味方に任せるのも戦術の内のはず!


「ちぇー!」


ズダダー!ズダダー!ズダダー!ズダダー!ズダダー!ズダダー!


さすがは世界獣【剛力級、最弱クラスのクイン・アント】の脅威度、反人力量と戦闘力を模倣して作られているだけあって、『チーム・オケウエー』において最弱のメンバーであるジェームズがいくら【精霊銃弾】を撃っていっても仕留められたのが1体だけで、残りの2体はー


「せやーーー!!!はーーつ!!」


ぐちゃーー!!ぐちゃーーー!!


自力防衛で2体のゴーレムを圧倒するヒルドレッドがいるのだった!


「悪かったっす、ヒルドレッド嬢!2体を仕留め損ねちゃってー!」


「構いませんわ、ジェームズサンー!1体だけで撃破できても期待以上のものなんですのよ、『今の実力のままの貴方』であっても」


「なんか痛いところついてきた感じがしないでもないっす~!?」


「気のせいですわ、ジェームズサン!では、一緒に魔道飛行車に乗ってあげることはできませんけれど、オケウエーの同性友達である貴方と共に背中合わせで戦ってあげても良くてよ?お~ほほほ!」


「なんっすか、それー!もう僕らに向かってきた3体のゴーレムも倒しちゃったんだし、僕らの役目はもう終わりって感じっすよなー?」


実際に、今は敵の右翼2体をオケウエーが聖剣イーズベリアで次々と切り刻んでいてもう仕留めるまで数秒も残ってないというだけはなくて、敵陣営の左翼3体を既に氷漬けにしたオードリーも見えたので、実質通りに戦闘終了って感じで『チーム・オケウエー』の勝利に終わりそう。


「どんな場面にも適応される一般的な言い方だけでしたわ?気にしないで下さいまし」


「密な場所で一緒にいては駄目なのに、背中合わせで戦うのがいいんっすかー?ガバガバな信条を持ってんな、ヒルドレッド嬢っすー!」


「~!?なんですって~?それが聞き捨てなりませんわよ、ジェームズ!今すぐわたくしの近くへ寄って下さいましこの拳が貴方の腹にー」


「そこまですよ、ヒルドレッドさんにジェームズさん!喧嘩は良くないです!」


慌てて駆け出してきて喧嘩になりそうなジェームズとヒルドレッドを止めたジュディ。


「ふふふ、フロンデルヒートをレイピア―の形で武器化したのに、結局は左翼の敵を全部オードリー嬢に持ってかれたのね」


「まったくですよ、クレアリスさんー!おかげで、私が赤色のレイピア―姿にしたフロンデルヒートを使ったまま敵に突撃する練習ぜんぜんできませんでしたよ~~!」


不満を漏らして頬を膨らませるジュディーに、


「まあ、まあ、これからもいくらか練習できる機会があるし、これぐらいにしてあたくしの先走りを許してちょうだい。次があれば、あんたの活躍できそうな敵はひとつだけ残してやるわね」


少しだけお辞儀してスカートの裾を優雅に摘まんでジュディーに珍しく謝罪したオードリーに、¥


「みんな、お疲れさんだったね!見事な連携プレイだったぞー!」


俺がみんなの集まっているそこで合流していくと、


「オケウエー、まだここにいる気?あそこをまだ見てないのかしら?」


「えー?」


オードリーに言われて指さされた観客席へと視線を移動させるとー


「……」


どういう訳か、今の時間帯に地下訓練ホールへと入場するための資格を学院長が誰もかれも簡単にくれそうになかったので観客席がまばらすぎて、それではっきりと一人の人物に目が行きやすくなってるあそこに、いかつい顔しながらもどこかちょっぴりとダンディそうな雰囲気も纏う、あの金髪髭を揃っているおっさんは……


「早くいきなさいわよ、オケウエー!あの人、あたくしの父であるドレンフィールド公爵なのよー!あんたに会いたくてずっと変な調子ばかりしてたわね、昨日からー!」


「--!?そうなのかー?いかん、俺いますぐ行くねー!」


公爵ともあろうお方を待たせて怒らせる真似はできないので早く行かないとー!俺のことに興味があって会ってみたいってオードリーも言ってたし、良好な印象を持ってもらえるだけでありがたいのにこれ以上の第一印象を悪くさせるわけにはいかないよねー!


タ、タ、タ……


観客席の階段を昇って、真っ直ぐに最上階に達すると、


「お前か、おれの娘と仲良くなっているオケウエー男爵というもの?」


「はい!俺です、ドレンフィールド公爵さん!」


「はっはっ!肩の力を抜け!別に取って食ったりしないからな」


「はい~。あ、あの…オードリー、…嬢から聞いたんだけど、……俺と会いたいっていうのは?…」


緊張しながらも勇気を出して肝心のことを聞いてみると、


「そうだなぁ……強いているなら、我が娘について、お前に知らせなければならないことがあるのでな。だからこうして話し合いの場をイルレッドノイズ嬢とそこのイリーズカ嬢と共に計らってもらい、

お前との会話をいま無事に開始することができるというものだ」


「な、なるほど……あの、…それで、オードリーについて俺に伝えたいことって…」


ちらっとあそこを見ると、遠い席に座っているイリーズカ先生に手を振られながら微笑まれるのを見て取れたのだ!確かに先生に計らってもらったというだけのことあって、先生も俺の第一印象が良くなるように公爵に何か言ってくれてたんだね!ありがとう、先生~!


「そうだな……これは娘に黙ってお前に伝えることになるが、何があっても娘におれが告げたことをいうんじゃないぞ?いいな?」


「はい!務めて頑張るのでオードリーには絶対に公爵さんのお伝えしたことを言ったりしないのでどうかご安心をー!」


「はっはっ!それならいいぞ。では、……実は、お前もすでにオードリーから知るようになっただろうが、娘が小さい頃から良く訓練に参加させられ、過酷な子供時代を送っていたって知らされたんだったな、娘から?」


「……え、ええ、……なんか、そのぅ…、公爵さんが、…ね」


「はっはっ!歯切りの悪そうにしてるようだが、お前の思ったままのことだ!……確かに、おれは昔から、オードリーをニルーマと同じように立派な『精霊使い』になるよう教育を施し、いつか娘にも姉と並んでのドレンフィールド家の現世代の2番目の【大聖霊使い】になってもらいたくて、いつも過酷な訓練メニューをおれとニルーマで課していた過去があった。……辛かっただろうと察することができても仕方ないのでな。……この家に生まれた者としての定めはそういうものだ。なにせ、実力すべてが伝統だからな」


「…………」


「だから、精霊術使いとしての実力も今の一年生でありながらも伸びしろがまだたくさんある、【希望の才女】とまで呼ばれるようになったんだが、それでも限界というものがあるんだ。最近、あの【グリーン・ジャイガント・スイーパー】 に襲われ命を落としそうになった件みたいに……ああ、そうえいば、人質にされたニルーマも変な柱に閉じ込められ激痛を浴びせられたらしいオードリーのこと両方をあの........イリナ...だった【バケモノ】からも救ってくれたお前だから、本当に感謝するぞ!」


「…ど、どういたしまして!」


「あの時、娘のことを助けてくれたことは感謝するぞ。でも、敢えて頼みたいことがまだあるとしたら……って、これこそ本題になるかあー…」


「?」


「辛い思いを娘に強いてきた自覚があるし、昔に、イリナなる子との複雑な事情もあったので、娘には迷惑ばかりかけてきたんだが、これからも、娘がもっと【精霊術使い】として成長できるよう、そしてもっと幸せになっていけるよう、どうか娘のことは頼んだぞー!」


頭を少し下げている公爵に、


「え? えええーーー!!?」


素っ頓狂な声を出した俺は公爵の言った言葉が信じられなくて、ただただ呆然と立ち尽くしていたのだった!


………………………………………



……………………



その後、ドレンフィールド公爵が帰って、訓練ホールの舞台に戻った俺に、


「オケウエー!父が何と言ったのよーー!?」


「オケウエーさん!大丈夫ですか?何も怒られてないですよね?」


「おい、なんかあったんっすか?顔色ちょっと複雑っぽいんだけど?」


「まあ、オケウエー君、そんな苦虫を噛み潰したような顔しなくてもいいのよ?何か問題でも抱えてたら、不肖このクレアリスが何でも相談に乗ってあげるのよ?【漆黒の魔王】さんだもの、……精神的ケア―もうちの『使命』なのよ、ふふふ……」


「何かあったの知りませんけれど、もし深刻な事情がおありのでしたら、わたくしに言って下さいな―!力になれるかどう分かりませんけれど、まずは相談してくれませんと何も始まらないのですからねー!」


「みんな………」


俺のことをそんなに気にかけて心配してくれる大切な仲間達の言葉に、一瞬感極まって嬉しい涙を零れ落としそうになったけど、なんかいつも泣いてると男としてダサいと思ってこらえると、


「いいや~~、さっきは公爵さんからは王様とこのレイクウッドの国のためにもっと頑張れ~とか励ましの言葉をかけてもらったばかりで、これといって深刻な課題とか要求を求められたりしないので、安心してくれ!」


それだけ言って誤魔化してみると、


「オケウエー……」


何か察しているような顔して訝し気な目を向けてくるオードリーの表情を敏感に感じ取っても、素知らぬふりをして、訓練をまた一度で、皆と共にやり終えた!


……………………………………………


……………………


それから、次の二日間も同じように放課後の訓練ばかりをしてると、いざ1月の27日、水曜日の放課後の地下訓練ホールでの訓練を終える頃の午後5時35分になると、



「大変だヨーー!!みんなー!地上の方の訓練場で、とびっきり大きな魔道飛行車が飛んできて浮遊したまま、オケウエーちゃんのことを大声の『魔道拡声器』ごしに呼んでいるんだヨーーー!!」


「オケウエー君達ーー!!さっき学院長から許可を得てそちらを地上へ呼ぶように言いつけられたんだーー!!」


「「「「「「----!!?」」」」」」


その声ーー!?って、あの観客席の階段からこっちへと降りてくるクラスめーちのイザベラとニナがいるーー!?


タタターー!


「どういうことだ、ニナーー!」


「本当に早く来てくださいー!皆さん―!」


「何があったんだよーー!?」


「実に騒がしいったらないんだヨ~~、みんな!だって、魔道飛行車の屋根に立ったまま、『チーム・オケウエー』のみんなのことを呼んでいる、…あの厄介極まりない、【純粋なる淑女研鑽会】が全員揃って、声を張り上げながらオケウエーちゃん達二人の男子生徒を今すぐにでも学院から追い出すよう学院生すべてを扇動している最中だヨーーー!!」


「「---なんだと―ーーー!!??」」


揃って声を上げる俺とジェームズに、


「そうだよ、オケウエー君にジェームズ君!上が大騒ぎなのも、学院長の娘でありながらも共学化を真っ向から反対してきた、『裏の生徒会』とも俗称されてる【純粋なる淑女研鑽会】の会長さん、クリスティーナ ・フォン・イルレッドノイズとその妹さん、リーリスが別荘から帰ってきたからよーーー!!!」


ニナから、そんな最悪な事実を告げられた俺達『チーム・オケウエー』がここにいるのだった!



………………………………………………



……………………………



_________________________________________


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ