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四十四話:王城への叙勲式の誘い

シュゥゥゥゥ……………


完全に霧散した【聖体正義戦獣】のイリナを確認した後、


パチーーーーーーーーーーーーー!!!

すうぅぅぅ………


【聖封第7、莫大規模聖白浄清球状魔封(マッシーヴ=スケール・オブ・ホリーホワイト・クレンジングスフェーリカル・マジック・シール)】という真っ白い巨大な球体が消えて、残っているのはこの空中に浮かんでいる俺一人だけだ。


「どうやら片がついたようだな、オケウエー・ガランクレッド」


「…ジュリア。…さっきのあれ、本当にありがとうな。だけど、助力を提供してくれたからには何かの見返りがほしいんだろう?自主退学ならば、生憎断らせてもらうが、他の方法でなら考えてやらないことはないぞ?」


「まずはその言い方を直してもらうが先決だな。ジュリア『先輩』、のはずだろう?」


「あ!そういえば、ジュリアって2年生だったっけ?おっけー!ジュリア先輩、俺で良ければ何かほしいものはないかな?俺を学院から追い出す以外の望みで」


「お前を追い出す以外に欲しい物はないー!分かったならささと自主退学するんだな、フェクモ男!」


ターーーーー!!!


それだけいってすぐに飛び去っていったジュリア先輩。


長身な体形に後押しされるように、その短いミニスカートから伸びる魅惑的な紫色タイツに包まれている長くてすらりとした脚がもっと強調される美しさを醸し出している様子なのでただただその光景を見ていただけだった俺。


「あ、もう行っちゃった…」

『女心……難しいね』


「いや、お前も女だろう、イーズ?」

『イーズは……イーズだよ?オケ兄ちゃんの契約精霊で……そして、オケ兄ちゃんもいつも良い食事……提供してくれる』


「話の要点から遠ざかってないか!?お前!」

と、そんな軽い会話をイーズと交わしているとー


「オケウエーーーーー!!大丈夫っすかーー!」

ん?


あそこの方向を見てみると、どうやらジェームズと彼の同行者になった3人の女の子の姿を見つけ、ここへ向かってくるようだ。


「ジェームズの担当した場所、『都民立中等学院レイクミリアム』 だったっけ?もう片づいたな?」


「うっす!いいや~~、本当にあっという間すぎて準備運動の範囲にも入ってないっす!ところで、さっきお前がデカくて白い巨人と戦ってたとこを飛びながら少し見てたんだけど、あの超~~大きいな真っ白い球体が出現したら、お前らの姿消えて見えなくなったんっすけど、もしかしてあれを召喚したのオケウエーで中でヤツを倒しちゃったのかな?」


「まあ、そんなところかな。見ての通り、球体が消えてそこから姿が見えるのは俺一人ぐらいだしな。自然にそういう結論に思い至るだろう」


「やっぱりお前はすげえーな!フェクモから遠路はるばるにやってきて、慣れない地で慣れない言語で差別発言ばかり晒される学院に通って誰でも凹む状況下満載だってのに、お前がそれでも我慢するどころか、むしろそれを糧にもっと強くなって、仲間も増やし、挙句の果てに愛の大聖霊とまで契約しちまってるとは……同じく学院においての珍しい男子生徒同士なのに僕より遥かにヒーロー像してるじゃないっすかー!この~!!この~!」


ぎゅ~む!ぎゅ~む!


「ああ、ちょ~!いきなり何してんだよー!?おぉ、や、やめろー!3人が見てるよ~?」

もう感極まったとばかりに、俺の側までよって腕を俺の首に回してぐりぐりとじゃれついてきたジェームズに、そっちの連れの女の子達が、


「ああいう感じのジェームズ…初めて見ます…」


「やはりジェームズ殿も殿方ですよね!学院における数少ない男子生徒であるオケウエー殿を大事な友人として接している様子です」


「男同士特有の距離感、実に壮観だ。腕を回しているジェームズの屈託ない笑顔、オケウエーの困ってるようで実に困ってなさそうな表情。本当に同性の友情は良いものだねー!かくいう、あたしもここのリルカと友人でチームメイト同士してるんだっけ?でも、なんかジェームズとオケウエーの方があんなスキンシップまでしちゃえる間柄で羨ましい~!」


口々にエリス、リルカとシャルロットがお互いに向けて内輪話に花を咲かせていると、


「ところで、オケウエー。あの白い球体って確かにお前の聖霊魔術が発生させたもので間違いないっすよねー?だったら、なんで中へお前までもが中へ入らなきゃいけない訳―?普通、そういう聖霊魔術って何かの効果的なダメージとかを自然に相手に与えられるものなんっすよねー?」


「…それだったら、どうやらさっきの『世界獣』は、特殊の性質と体質を持っているようで俺の愛の大聖霊からの聖なる精霊魔術が効かなかったって気づいたから、わざわざ中へ入って、……風の四元素魔術で始末するしかなかったんだよ」


嘘ついてごめん!


でも、どうしても本当のことは言えないので。


「なるほどなー!いいや~~、あの感じの山みてえな反人力だと、十中八九で第4階梯の四元素魔術の使用が必須だったっすよねー?それを風のヤツにして使えるようになってるとか、一体お前って何か天からの召し物か何かのすげえ選ばれし者的なヤツーー?」


「別に。フェクモにいた頃、単なる鬼のような身体能力と基礎トレーニングや本での座学ばかりやってただけだよ?後、運が良いとか、元々俺の身体による聖魔力がいきなりそれを『魔術が使える環境下』にいると、自然に成長する速度が他のと明らかに一線を画す程に早いとか。色々仮説を立てそうじゃんー?」


「はははー!確かにそうっすよねー!でも、さっきの本~当にヤバすぎたよねー?なんで樹界脈が普段、ここへ分脈の一つでも伸ばしてきたことなかったのに、今日に限ってだけ突然通ってきたんっすかねー?やっぱ、前にみんなが話し合った通りに起源の『世界樹ワールドツリー』何かがあったんすよね?」


「…ああ…それについてはみんなと合流してから、……オードリー達が起きてくる時にでも全部話すので今は待っていてくれ」


「そう?じゃ、あそこの2階建て家屋の庭のところで休憩しにいかないー?ここ第2区画に入ってから丁度汚れも少ないみたいだし、比較的綺麗なんっすよ?」


「うん、そこへ行こう。魔道通信機で連絡するからみんなをここで合流するように伝えるよ」


【聖護守英防壁(ホリー・ディーフェンシーヴ・エックセレント・ガーディングバリアー)】を解除して、未だに眠ってるままのオードリーとニールマリエー を連れてあそこへ行く俺とジェームズと女子生徒3人。



……………………………………………



…………………



魔道通信機でみんなと連絡をとって35分後:


「みんな揃ったな!じゃ、オードリー達はまだ起きてくる気配なさそうだし、先に始めるけど、俺達の今まで遭遇してきた異変は一つの原因が元で発生させられ続けてきたものだってイーズが判明してくれたことなんだよー!」


「要するに、樹界脈が何故、普段だったら絶対に通ることのない地域や地帯にまで伸ばされてきたように通るようになって、可視化の暴走状態になって強力な世界獣を顕現させましたのかって原因をオケウエーさんの大聖霊様が真相を突き止めましたかー?」


「そうだね、ジュディ。要するにー」



…………………………



俺は掻い摘んで全てを話し終えると、


「……まさかそんなことがあったなんて……。正体不明な悪い人が『世界樹ワールドツリー』を支配下に置くとは…」


「『クレガーキール 』 なんだっけ?なんかヤバそうな感じしちゃいそうな名前なんっすよねー!あっちこっちへと樹界脈を伸ばして暴走させてきた目的……どれも僕達『精霊術学院』と関係ありそうな場所で、しかも明らかに僕達の実力を試そうとして仕向けてきた暴走っすよねー!?」


「これはますます王国内にとっての未曾有の大災害になりそうなのね、あの『クレガーキール 』って人から『世界樹ワールドツリー』を解放しない限り......何度でもうちらを狙って樹界脈を操ってきそうなのよね」


「でしたら、これからは猛特訓してわたくし達がもっと強くならなければなりませんわよねー!今の王国軍と【王宮親衛精霊部隊】 は明らかに人材不足で優秀な精霊術使いも欠如してるわよ!ですから、いずれわたくし達にも王国軍が形成するでしょう『世界樹奪還作戦』に同行させられるかもしれませんわねー!その日が来てもいいように、鬼のような訓練を毎日に始めるべきですわー!」


「まああ~、そんなことがあったとは~。でも、それは確かに厄介なのよね~~、あの『クレガーキール 』って黒幕は~。なんか魔神アフォロメロ並みに危険な印象を名前だけでも感じ取れるし~~」


「なるほどねぇ、オケウエーくん!ボクもこれから生徒会員に要注意を出して、怪しい人物が学院にも町にも会ってないのかって、これからも警戒してそういう人と遭遇した途端すぐ報告するようにって伝えにいくから、こちらからも何か役立ちそうな情報を探っていっくよぉー!」


エルヴィーナ会長が支援してくれるならば本当にありがたい!


幅広い人脈と数多くの交流関係を持っている会長なら、何か新しい有力な情報も掴めそうな気がする!だって、『クレガーキール 』ってヤツは裏で暗躍するのが得意だそうだし、今回のイリナみたいにヤツからの差し金も要注意ってことでみんなに警戒を高めて欲しいねー!


「これからの王国…どうなっていくんでしょう…」


「オケウエー殿、貴方の大聖霊様からの情報が正しければ、確かに厄介な状況がこの国だけじゃなくて、世界中にまで飛び火していきそうな可能性を孕んでいそうですね。あの『クレガーキール 』って輩の最終目的……やはり推し量ることでさえも恐ろしく感じる危険度マックスな感じがする人物像です!」


「差し金が誰であろうと勝てるようになるためにあたしもこれから訓練をもっと頑張るんだねー!あなた達男子生徒にばかり大活躍させてはたまらないんだからー!」


やる気が満ちて舞い上がっている赤髪のシャルロットは気合が入ったように真剣な張り切り具合の表情を浮かべて、ジェームズを見ている様子だ。


あの感じだと、ジェームズと一緒に訓練したそうな目してるんだね。


「みんな!色んな見解してくれてありがとうー!これからも引き続き状況が少しでも良い方向へと転換されるよう動くけど、まずは『チームオケウエー』としての結束を固める方から始めてみたい、リーダーの一人として!」


あの柱が何かしたのかこれからは学院に戻って保険医の先生に見て貰わないといけないけど、今はオードリーは深い眠りに落ちているのでこの会話に参加できないため、まずは『チームオケウエー』とし一番大事なことを伝えないとねー!


「これからも一緒に戦うことになるけど、オードリーがさっきああなったのは自分のお姉さん、ニールマリエーが攫われ人質に取られてたから不利な状況下で罠に入ってしまって、運よく間に合って辿り着いた俺が助けてやれたんだけど、オードリーが起きたら、一緒に彼女の心の支えになってやらないとな!彼女の姉さんが攫われた時、実家にどれほどの犠牲が出されたかわからん。なので、ドレンフィールド家がどれほどの被害を被ることになったか、後で全貌が明らかになると同時に、オードリーの精神的ケアーも強化していきたいー!いいなー、みんなー!?」


「「「「「「「「はいー!」」」」」」」」


後、残ってる懸念事項があるとすれば、ジェームズはまだ何も言ってないけど、さっきはあんな早いタイミングで俺のところへと駆けつけてこれたジェームズを見るに、なんか遠いところであるアイデールスの町から辿り着いてこなくて、街中からやってきたって推察できたので、どうして皆がいるアイデールスから一緒じゃないのかって疑問点もあることから、どうやらジェームズはアイデールスにいた先生達と合流できない理由でもあるってことなのかな?


ジェームズ一行と近い距離にいたのは……街中でレイザリアー中等学院へ剛力級の雑兵クラス、クイーン・アントへと討伐しに行ったヒルドレッド。


ふと彼女とジェームズを交互に見れば、どっちも平然としていて困ってるような顔を見せないので彼ら二人との間に何があったか、どうしてジェームズが南のアイデールスへ先生達の加勢に向わなかったのか、一番街中にいた距離の近いヒルドレッドと何かがあったってことぐらい察せるよな。


ターー!


「失礼しました!そちらは『チームオケウエー』の皆さんですよね?」


ん?近づいてくる気配をまったく感じないけれど、いきなり空から着地してきた軽装の兵士がいることを確認した。


「そうだが、お前は?」


「はっ!自分は斥候の任務を全うするアドリアンと申します。チームのみんなに接触してきたのは、王様からの伝言を伝えに参った次第です!どうか、よくお聞きになって下さいませー!『オケウエー・ガランクレッドとそなたの率いる学院の『チームオケウエー』のみんなさん。そしてイリーズカ先生とエルヴィーナ生徒会長、及びジェームズ・リッチモンドの世界獣討伐任務を手伝ったことあるエリス・フォン・レンドール、リルカ・フォン・ゲブラー、シャルロット・フォン・グーズケンハイム3名に対し、本日、王都の中とアイデールスの町だけじゃなくて王都の外れの廃墟地帯で突如として出現しおった謎の新型世界獣を全て討伐してくれて感謝するぞ!みんなを労いたくて謝辞と勲章を与えたいので、今夜は王城へやってきてくれ』というお言葉です!どうか良い返事をお願いいたします!」


「…なるほど。それならいいよ?今夜だよね?王城へ行くのって」


「はっ!」


「では、俺達全員が行くよって王様に伝えて下さい。夜になる前にきっとオードリーが起きてくる頃合いだと思うから大丈夫だとは思うけど、もし時間になったらオードリーが一緒じゃない場合、彼女がまだ全快したりとか重い披露感に襲われて寝起きできないことがあるのを王城側にご理解して頂きたいのでどうか分かっていて貰えないか?」


「それでしたら問題ありません!国王陛下様は寛大なお方である故、そちらの事情もお汲みになっておられると思っておりますよー!」


「なら良いー!みんなも王城へ行く準備をしに寮へ戻るぞ!」


「「「「「「「はいーー!」」」」」」」


もちろん王様のお誘いは断れないけど、それ以上にこの国の王城もどんな建築様式とデザインしてあるのか気になるので、一度は行ってみたいとも思っているよ。オードリー……その前に起きてくればいいけど。



…………………………………………………………



………………………



一方、とある山頂の中心地点に腰を下ろしている二人の人物がいる:



「計画が順調に進んでいってるようで何よりだと思うが、貴様も案外よい仕事をしているものなのだな」


「これはお褒めに預かり光栄だこと~!けけけけ!そうだな、……イルレッドノイズ嬢よ、例の『暗黒娘』の調子も健在みたいだし、駒がこうも勢ぞろいだと動かし甲斐もあるというものだねえ~けけ!」


一人は顔の上半身だけを覆う仮面の男で、もう一人は上着のブレーザーを着ており、中には赤色の軍服とズボンを履いてる30代のきつい顔してる女性が見えた!


「でも、【愛の女神】 の覚醒は失敗したようだけれど、そんな茶番劇まで用意した必要があったのかしら?そんな大仰な舞台までお膳立てしておいて哀れな子羊までも利用したまでに」


「まあ、そういうことは追々詰めていく作戦として、これからも見守っていく方針を継続していくからそう焦ることもないだろう?今は冷静に全貌を見渡し、計画の遂行上に必要な仮定が踏まれていくことをこちらからただ見届けるだけでいいさー!」


「ふん。ならそうさせてもらうけれど、時間はいつまでも余裕がある状況じゃないのを忘れるでないぞ?『あれ』が復活した時の状態を押さえつけるために、【愛の女神】の力が必要だからな」


「けけけ……分かった。じゃ、我も忙しいので先に行くのだけれど、君もほどほどに『雄狩り』しにいってくれたまえ。『彼の国』にて、嗅ぎつけられる前に済ませると良いのだがな、けけけかかかー!!」


ビュー――――ン!

それだけいって、仮面の男が飛んでその山から退場したようだ。


「実にいけ好かない男なのだが、どうしようもない。ゲールトルド嬢と同様に、『わたしの』目標を達成するため彼の協力も必須だからな、はぁー」


溜息をつきながら、山の上でそう呟いたのは他でもない、聖エレオノール精霊術学院のイルレッドノイズ学院長であった。


…………………………………………………………………


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