四十三話:精霊術学院の死霊魔術使い
ターーー!!
シュー―――!
「………」
自分の着ているブレーザーを脱いでからそこの地面で転がってる首を覆いかぶさるように投げると、
ただただ冷然とした目を首の捥がれたそこの銀髪っ子の死体をここで着地したと同時に見下ろす。
大丈夫、『死の息吹』の痕跡も綺麗さっぱりとその死体やあっちで覆いかぶさっている首から消えた!これで、何か検死でもされても死霊魔術だってすぐ分かるような決定的な証拠も残さない……だろう。
「…今日この瞬間、……初めて人の子を殺めたな……」
まさかフェクモにいた頃はずっと死霊魔術の訓練だけして、動物を殺しまくってはゾンビー化させていったばかりの俺は、ついに北大陸にやってきて初めて人間をこの手にかけるだなんて……
「最初から…殺すつもりがなかったが…この子があまりにも外道すぎて、…そして近くにいたニールマリエーを絞め殺そうとしたから、俺は……殺るしかなかったんだ」
でも、敢えてこの悪人の死体を前にして、有効活用の道があるとしたら、あるいは………
『この子を【死体蘇生(ゾンビー化)】するの? 』
「イーズ!……そうだな、……彼女があまりにも卑劣なことしてたから殺すしかなかったけど、…でも、死した後の彼女に対しても償ってもらおうってんなら、【死体蘇生(ゾンビー化)】しててもいんじゃないかな……なんか、ゾンビーかさせて、俺の眷属にでもなってもらって俺側付きの特殊な『従者』にしてやってもいいのかなって,あはは…」
半分冗談交じりに言うと、(本気じゃないがな、…うん!)
『オケ兄ちゃん……最低……』
「まあ、ただの冗談だったよ、イーズ。そ、その声…、怒らないでよね?だって、俺にはお前と訓練をして、それからー」
『氷竜マインハーラッドを討伐するんでしょ?……そして、おじちゃんの【ケクル病】も直すって。……死霊魔術と融合した新魔術を作られれば……』
「うん!その通りだよ、イーズ!」
そのためにフェクモ人を良く思わない人が多いギャラールホルーツ にやってきて精霊術学院に通ってるんだしねー!
「よしー!ゾンビー化するのなしだから、さっさとそこで寝落ちて動かなくなったオードリーを回収してこっから離脱するぞー!屋敷の外で転移させたオードリーの姉ちゃんも連れて帰ることにな!」
『御意』
イーズを鞘に収めて死体の側から移動しようとすると、
「そういえば、この子の名前を聞くの忘れてしまったっけ?」
『そうだよね。まあ、仕方ない……オード姉ちゃんの姉ちゃんの救出……優先だったから……」
それもそうか!
うん、しょうがないかぁー。
…でも、この子からしたらきっと無惨なんだろうなぁ。殺した人に対して、名前までも覚えて貰えないなんてことを……
さっき、あの『混沌の波力』で構成された柱をどうして生成できたのか、銀髪っ子の言ってた『クレガーキール 』ってやつは何物だったのか疑問点も多く残ってるが、今はとりあえず、オードリーを、
ターー!
「っと!」
手で抱きかかえて、お腹のところで握り持って掬いあげると、すぐに出口の玄関にある両開きのドアーを開けようとした、がー!
シィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンン!!!!!!!!
「ーー!?なんだ!この耳鳴り音はーーー!!?」
後ろを振り返ってみればーー
シィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンン!!!!!!!!
「なーー!?」
どういうことだー!?
あの首のない死体のスカートのポケットから、いきなり小さなペンダントが出てきて宙に浮遊し、そこで宙に浮いたままになってるペンダントらしき物体から強烈な耳鳴り音と光を発し始めて、そしてーーー!!
パチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン!!!
ひと際大きな閃光が迸ったかと思うと、
ぐぐぐ………
「ーー!?」
ぐぐ~!グググギョーーーー!!
ググゲーーーー!!
死体の上で浮いていたペンダントがさっきの閃光で弾けて塵となった後に、突如としてその死体だったものが何倍までも物量で膨らんでいき、そして、この屋敷の天井にまで突き破る勢いで膨れ上がっているとーー
いかん!早くここから出ていかないとーーー!
ゴードーーーーーーーーー!!!
勢いよくドアを蹴ってすぐそこの草が生い茂る地面で眠ってるままのニールマリエーも別の手で救いあげて、両脇でオードリーもニールマリエーも抱え上げ『空中浮遊魔術』を発動しあそこから飛び上がるとー!
ガコーーー!!!ガコココココココオオオーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
屋敷そのものの建物がぶっ壊されたように超巨大な真っ白い巨人が生え出てきたーー!!
頭が別なものになっていて、不気味な顔してるそれは両目が異常なまでに大きすぎて、鼻も突き出た刃みたいになって口はただ一線が左右から伸びているだけで、胴体も両手足もすべて白一色で統一されたその裸になって乳房だけが乳首なくなったただの硬い風船みたいな形になってるその姿はーー!?
『名乗り出るの忘れてしまったみたいでわりーなー!黒ボイー旦那よーおーー!!アタイはイリナだぜー!さっきはどうやってアタイの首を捥いでいたか分からなかったが、きっと何かの聖霊の教えたトラップかなのだろうー!?でも残念~!こうして『生き返ってん』だからよーう!これで、ラウンド2(ツー)開始だ!』
「ーー!?バカなーー!!さっきは確かに首を捥がれ死体からの鼓動の停止も聖魔力量の消滅も確認したんだーー!!一体何があったらただの屍と化したお前がー!いきなり死体が爆発的に膨れ上がって巨人な姿となって蘇られるんだよーーーー!?」
『いいやーー?蘇るんじゃなくて、死体だったアタイがつけていたペンダントがアタイの殺害後で発動し、爆発後の飛び散った破片で『可視霊体化魂魄移植(ヴィージバル・スピリットボディートランスフォーメション・オブ・ソウール=トランスフェーレンス)』として新しい『容器』に魂を移植させた後、『樹界域展開』の要領で実体を得て、こして屋敷もぶっ壊し、てめえをやっと叩き潰せるように、こんな姿、【聖体正義戦獣(ホリーボディ・おぶ・ジャスティス=ファイティーングビースト)】になれただけだぞーーー!!』
「それがお前の隠し玉か――!?イリナーー!!」
どうやら、イリナから発生させていたその声もただ機械的な声色を帯びてあの一線真横だけ伸びる『口らしきもの』からのもので、俺に話しかけているようだ。
でも、要するにイリナがいうにはそのペンダントだったものがお前の魂を別の身体へと移植できるってことー!?
そして、なんかその身体から感じた反応は、……『反人力』ー!?しかも、聖魔力も混じってのーー!?
『正解。クレガーキール様からの最後の切り札でペンダントを貰ってきたからな!だから、こうしてーー!』
ヴ―――――――――――シュウウゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
「うおおーー!?危ないー!!「
ここへと駆け出してきたその巨人は宙に浮いてる俺をその太い腕で叩き潰そうと振り下ろしてきて、
シュー――――ン!!
ター!
【近距離転移術】で以って、もっと後ろにあった廃墟の家屋の屋根へと転移した。この魔術は近距離だけが転移可能で、見たことある場所にしか転移できないのでさっきここへ来る時に既に視認したここへと転移できたんだ!
くー!
オードリーとオードリーのお姉さんを両脇で抱え込んでいるまま、イーズも鞘に収めたままにしてるこの状態の俺ではどうしようもできないのでーー!
あ、そうだ!まずはあれを使うんだった!
『逃げているばかりのようだが、無駄だぞーー!?だってよーーう!」
グググググググググーーーーーーーー!!!!!!
地響きが鳴るように聞こえると、そこで更に巨大化していったイリナの姿が見えたーー!
ありゃー、【グリーン・ジャイガント・スイーパー】よりも1.5倍近く大きいぞーーー!?
『ははははははははーーーーー!!!これでてめえら3人も終わりだーーー!!!!』
……………………………………………………………
………………………………
王都クレアハーツにある王城内の謁見の間にて:
「なんじゃとーー!!!廃墟群がある第2区画で莫大な反人力と聖魔力も探知した超大型な巨人の姿をしておる『世界獣』らしきものが現れたんじゃと―――!?それも、今まで確認したことのない姿形のものでーーーー!!?」
「はっ!確かに第2区画の近辺で謎の『世界獣』らしき超巨人の出現を確認致しました!今、その巨人と戦っている者が一人もいることを斥候が確認できました!聖エレオノール精霊術学院に入学してきたばかりの、イルレッドノイズ学院長のお墨付きの期間中のテスト客人として通う、フェクモ出身のオケウエー・ガランクレッドで御座います!」
「ほおー!あの少年か!じゃ、まずは斥候に、あやつの戦いぶりを観察するだけでいいと伝えよー!こちらから王国軍第1旅団も王都守衛部隊、第1師団も動かすなー!この時間帯だと公園にも人があまりおらんし、少年が負けるとも思わないんで都民を避難させる必要もなさそうじゃ!」
「はっ!……しかし、良いので御座いましょうか?彼一人で戦わせても?」
「うむ!イルレッドノイズ学院長が推してくれた『呪われた大地』からの奇才と聞いたあやつが、どれほどこの王国にとって価値のあるものになれるのか、ちょっと興味も湧き出てきおったからのうー」
「な…成程!流石はお賢い陛下で感服しておりますー!では、これからも引き続き成り行きの観察を継続しております故、退室させて頂いても良いので御座いましょうか?」
「そうするといいんじゃよ、リノールト大臣」
「御意!では、失礼致しました!」
それだけ言って、謁見の間を出ていった【魔術発動権管理省】 の リノールト大臣だった。
…………………
「頼んだぞ、少年よ。前々からその『呪われた大地』ってレッテルが気になるが、ふたを開けてみれ
ばああも活発で真っ直ぐでいい働きしてくれそうな若いのもいるんじゃな!」
期待に満ちた目つきで、出ていった方向にあるその両開きの扉だけを見つめるばかりのレイクウッド8世国王陛下である!
………………………………………………
………………………
バコオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
ゴドゴド――ーーーーーーーーーック!!!!
「ぐーっ~!?くそ―!」
白い巨人、【聖体正義戦獣(ホリーボディ・おぶ・ジャスティス=ファイティーングビースト)】のパンチを受けて遥かの後ろの大きな家屋の煉瓦の壁にぶつかったまま突き破って入られたー!!
「なんて強さだーー!!イーズ!なんでさっき、普段通りに聖剣で右ストレートを切りつけることで弾き返そうとして、ヤツの表面上の皮膚を切り裂けなかったのかーー!?」
さっき、既にオードリーとニールマリエーをあそこで置いて【聖護守英防壁(ホリー・ディーフェンシーヴ・エックセレント・ガーディングバリアー)】 の障壁の中へ入れたんだったが、それからあの白い超巨人へと襲い掛かっていって、逆に返り討ちのパンチを受けて、遥か後ろにあるこの家屋へと吹き飛ばされ壁を突き壊してまで中へと転がってきた俺!
『どうやら、あの【聖体正義戦獣】らしい……姿になった悪い姉ちゃんの表面には……聖魔力が常備で覆い纏われ、……密度の濃い物質として固体状態になって……鎧にしているようだ』
「なんだとー!聖魔力を身体の表面上で固体化させ鎧にしてるだとーー!?道理で堅くて切り裂けないってわけー!でもそれなら、どうやってー」
『勝算が……ある。でも、まずはー』
「ーー!?」
ターーーーーーーーーーーーーー!!
胸騒ぎがするのでイーズが言い終える前に直感に従って飛び出していった俺!間に合え―――!!
ヴシュゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
「待て――――!!」
あそこで、俺の張った【聖護守英防壁】の中に入れておいて眠ってるままのオードリーとその姉がいる障壁目がけて、拳を振る降ろそうとしたイリナが見えたので、早く一瞬で到達するように【近距離転移術】を発動しようとした、けどーー!
ペーーーーーシ!!ペシペシペシペシペシペシーーーーーーーーーー!!!!!
どこから現れたか、いきなり拳を振り下ろそうとした手首が何かの巻きついてくる茨状の超長い鞭によって、両手足を縛り付けられ、身動きが取れなくされている様子だ!
「本来ならば、このわたしがお前達のために手助けしてやることはないのだが、生憎とこちらも聖エレオノール精霊術学院の一人の生徒だからな!こんなバケモノが王都に放たれ以上、手を貸さない訳にはいかんのだー!お前を追い出すのは後からでもいいー!今はこいつに集中しろーー!」
あの紫色ポニーテールの子……確かに、前々から俺に向かって何度も蹴ってきたことあるジュリアっていう子だ!
宙に浮いたまま鞭を操るその姿は確かに魅力的な女性そのままのしなっている背中とくびれた腰の肉付きの良い太ももまでをここから見れる。
「ジュリア―!!助かった、恩に着るぜ―!」
「ふーん!ありがたいと思うなら、この後戦いが終わったら自主退学した方を強く勧めるがなー!『フェクモ男』ーーーー!!!」
彼女の軽口に構わずに、
「『四の型、聖波突飛突出強押』ーーーー!!」
この聖霊魔剣術にて、俺は縛り付けられていたけどもう鞭の拘束から解放された真っ白い巨人まで近づいて、至近距離で剣の切っ先を向けると、力強い弾けるような聖魔力の超高速流出の白い指向性的オーラが破裂したように突き飛び、眼前の巨人の巨体をも純粋なる聖魔力で構成された風力で以って、900メートルも先に突き飛ばすことができたーー!!
思った通りに、巨人の表面の皮膚はさっきみたいに切り裂けなかったようだが、ただ純粋なる力の本流なら突き飛ばせたのだーー!!
「ケリを付けにいけーーー!!オケウエー・ガランクレッドーーー!!」
「言われなくてもなーー!!」
ビュゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンン!!!!
躊躇なく駆け出していった俺は巨人の胴体を狙って、『五の型、十字大浄斬獄』を見舞いしようとするーー!!
ピ――――――――――――――――ン!!!
カチャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンン!!!!!!
「なーー!?」
どういうわけか、十字の形をしている反人力を一切合切拒絶できる力を持っている大浄化させられる能力と一緒に物理敵の切り裂きも上級クラスの真っ白い斬撃をイリナへと放っても、その十字型の斬撃がただかちゃーって音を鳴らしてヤツの身体に触れた途端、一気に霧散して消えたー!
「どういうことだー!?」
『ははははははははーー!!!これこそがアタイの【聖体正義戦獣】になった今の特性だーー!聖魔力を身体中の表面に固体化させるように、鎧のような真っ白い皮膚にしたまま、それらを中心にこのお腹の中からある『聖核』によって聖なる波動が体内でも体外でも流れていき、反人力を持ちながらも同性質な聖なる存在であるてめえからの【愛の大聖霊】特有の『聖なる聖霊魔術』をも無効化できるぜーーー!!【愛の大聖霊】と契約してるてめえにぴったりな対抗策だってクレガーキール様がペンダントをくれた時に言ったんだ!!あははははははーーーー!!!!』
「……つまり、要するに、その姿となった今のお前は聖なる存在そのものとなり、どっちかというと、反人力を持つ世界獣でもなく、『聖魔力を防御特性に持ちながらも反人力だけを攻撃する際に使用する』特徴的な新型世界獣ってことなのだなーー?」
やっぱり、さっきの直感が半ば半分で当たったようだ。
イリナの【聖体正義戦獣】はなんとなく、俺のイーズみたいな聖なる特長か何か同じようなものをもつんだろうって思って、さっき俺のオードリー達を守るために張った障壁へと襲い掛かったヤツを見て、もしかしたらその『同じ特性』を活かしてその聖なる障壁でさえ打ち消せるんじゃないかって危惧してたんだけど、どうやら聖なる特性が上手くイリナが活かすのは防御する際だけで、攻撃に転じる際はただ反人力だけを使って行われるものみたいでほっとする。
『そうさーー!!まさかフェクモ人であるてめえがそう早くアタイの攻防切り替えの『力の源』の本質を見抜けるとは大したものだ!だがなー!知ったところでーーー!!』
パチーーーーーーーーーーーーー!!!
「ーーーーー!!!?(目晦ましの閃光を放ちやがったーーー!?)」
バコオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
ゴドオオオーーーーーーーー!!!
「勝てる見込みがないってのは一目瞭然なんだぜーーー!!!」
…………………………
シイィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンン!!!!!
「なるほど……」
『ぁあーー?』
シイィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンン!!!!!
そう。
イリナからの両手の振り下ろしのダブル組みの拳で確かに俺は今、地中でクレータのようにめり込んでいて物理的ダメージを負った。
だが、どうやら、【愛の大聖霊】の権能で契約している俺にも尋常ならぬ強靭で頑丈な身体と身体能力を持つようになり、今はその特質をフル活用して、獰猛なまでに打撲を受けて地面にめり込んでも、
「確かに痛い……俺の頭と背中に直撃したことも見事に一瞬だけで人生一番の激痛を感じた。だがな、その拳は単なる反人力が2重までになって纏われてるだけで、別に攻撃力はそんなに高いとは言い難いって今、身をもって知ることになったよ。前に戦った【グリーン・ジャイガント・スイーパー】の方がもっと強力な『反人力魔技(マジックアーツ・オブ・アンチーヒューマンパワー)』を使えたぞー?」
バコオオオオオオオオオオオ―――――――――――――!!!!!!
地面にめり込んでも聖剣イーズはまだ強く握り持っている俺の右手が少し切っ先を巨大で太い拳の表面に当てると聖霊魔剣術を発動できた!
『三の型、聖波爆出』で切り裂けることが出来なくとも、その破裂したような聖魔力の爆発が十分に両拳を自分の身体から2,3メートルほど押しのけることができたので、その隙に突き飛ばされた拳を追って聖剣の先端を触れさせると、
【聖封第7、莫大規模聖白浄清球状魔封(マッシーヴ=スケール・オブ・ホリーホワイト・クレンジングスフェーリカル・マジック・シール)ーーー!!!】
ギュウウウウーーーーーーーーーーーーーーンンン!!!!
超巨大な真っ白い球体が【聖体正義戦獣】の拳から全身すべてを覆い尽くし、それからーー!!
「よっとー!」
そう。
真っ白い球体のオーラが固体化する前に、俺は術者としての権能を使い、中へと入ることもにした。
そう。固体化した後は、外側や中の表面だけが固体化するけれど、中身はただの空洞の空間になる!
カチャ―――――!!!
中に入ると、表面一重だけ固体化したけれど、敵の動きを秒数間だけで鈍らせられて、別に前の食人植物みたいに石化したりはしない。
やっぱり、イリナの持ってる聖なる特長で、この聖封第7の聖霊魔術の能力下に晒されながらも石化する効果がないようだな!聖なる聖霊魔術に対して聖なる耐性があるからーー!!
だがー!
ぐちゅうーーーーーーーーー!!!!
その鈍くなった動きを利用して、深々と聖剣をヤツの腹へ突き刺すことができたーー!!やっぱり思ってた通りに、他の身体の全身に硬い聖魔力の鎧が覆われているのだから、もしかして弱点である聖核が入っている部位である腹の表面だけ鎧の硬さが脆くなってるんじゃないかって予想した!
結局その通りになっていてほっとする(でもたとえ貫き通せなくても死の壁とかで片づけられるしただかっこいい締め方を目指したいってだけ)
『無駄だーー!!何度も言わせんなよーー!!てめえの聖なる力はアタイに通じー』
「いいえ、通じるさ!なにせ、この固体化した聖封第7には外からの干渉や観察が一切できないようになってるからな!」
外から見ると、球体がただミルクのように真っ白い球体になったので、中での光景が見えないし、反人力も聖魔力の放出も………そして、『死の息吹』の放出も外から感知したり探知することは不可能になってる。
つまり!
「【呪いの刺突】ー!」
聖剣で開けられた傷穴の中へ、俺の真っ黒い五指が突き入れられた!
『ヴぁ~!ヴぁヴぁヴぁヴヴぁ~~~~!!????ヴぁヴぁヴぁさかーーー!?てめえヴぁ暗ごくヴぁ術のヴぁかいてヴぇーー!?』
すると、 強烈な毒が相手の身体に入り込み、全細胞を腐らせる程の恐ろしい魔術が発動し、今イリナを苛んでいる激痛はまさにそれだ!
さらにーー!!
「【ボーヌソード】!」
【ボーヌソード】を召喚すると、腹深くに突き刺さった聖剣から手を放して、【ボーヌソード】の方を握り持つと、
「これでしまいだー!言っとくけれど、暗黒なんとかって魔術をお前が言おうとしたが、これは暗黒魔術ではなくー」
バサ――――――――――――――――――!!!!!!!
………………
一気に全身を【ボーヌソード】が放つ強烈な『死の息吹』で両断した!
今回は本物の実戦なんだから、フェクモにいた頃のように『死の息吹』の密度を薄めにしたか殆ど纏わないままで動物の狩りをしていた時みたいにではなくて、今度は本格的な殺害行為なんだから全力の斬撃をかましたってわけ!
「死霊魔術だからなーー!」
これにて、イーズの聖なる力だけで傷つけられなかった真っ白い聖なる巨人たるイリナを俺の死霊魔術にて、北大陸においての初めての獲物となった!
これで終わった。
イリナには知らなかったようだったが、俺は精霊術学院において、唯一の【死霊魔術使い】だからな。
そして、オードリー、……お前がどのような関係をイリナと結んでいたか知らないが、今回だけは仕方なくただのバケモノと成り下がったコイツを討伐しなきゃいけない場面だったからな!
もし、……仲直り……は不可能か、……あれだけのことを仕出かしておいたからにはこうなるしか…………
よく考えれば、本当にすごいことを俺が今、初めてやっちゃった気がする。
だって、今回の敵は世界獣ではなく、………元々人間だった世界獣っぽいバケモノだから!
複雑な表情と憂鬱な気分になった俺はただただ、両断され、世界獣らしく徐々に蒸発を初めて、ゆっくりと消えていく様をただ憂いを帯びた顔で見下ろすだけだった。
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