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二十九話:聖剣イーズベリアの聖なる力

オケウエーの視点に戻った:



「怪我してるよね?ちょっと『俺の障壁』の中に入っててね。すぐ終わらせにしていくから」


あの巨人姿の世界獣のオードリーを握ってる方の右手を『この剣』で切り落とした後、地面に着地した俺はオードリーの満身創痍な格好を見て心配してると、すぐに『あれ』も発動しておいた。


オードリーにはなるべく安心してもらいたいので、彼女をこの腕で抱きとめるままで微笑みかける。


「オー、オー、オケウエー!ぁあぁあぁあ、あ…………あた…っくぐずぅ……しいうぐずうぅぅ………………」


と、そんなことを考えてると、なんでかオードリーの顔からは感動したように、次々と目から一粒、また一粒の涙を流して、俺の顔を見ながら安堵の色が濃い表情を向けてきた。


「すまんなオードリー、さっきのあれのせいで皆とはぐれちゃって……下の階層からもっと早くお前のところに駆けつけてくるべきだった」


「ううん、死んじゃいそうになったから恐怖の反動で泣き出してしまったけど、もう気にしてないわよ、そんなこと……大事なのは、あんたが無事に戻ってきた事だわ。まあ、あくまでチームリーダの片方として…心配してるだけで他意はないわよ?……で、『その剣』も持ち帰ったままにしてるってことは、『それ』が『あれ』、なのよね?」


目が潤んだままのオードリーは自分の流してしまった涙を拭うと、俺へ『こいつ』について聞いてきた。

「ああ……これはー」

『ガキキキケコオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーー!!!!!』


ゴドオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!

カチャアアアアアァァァーーーーーーーーーーーング!!!


言い終える前に後ろから途轍もない重い爆発的な力で以って別の手の拳を振り下ろしてきたあの巨人の世界獣だったが、俺の発動しておいた精霊魔術【聖護守英防壁(ホリー・ディーフェンシーヴ・エックセレント・ガーディングバリアー)】にて、術、事もなくガードすることができた。


「この障壁!?やっぱり、ニールマリエーお姉様の精霊と同じ感じと匂いがするわよね、そうでしょ、そこの愛の大聖霊ー?」


この真っ白い障壁の中でやっとオードリーを降ろした俺は鞘に収まったままのこの剣を抜き放ち、オードリーに見せる。


「ああ……この聖なる剣こそが【聖剣イーズベリア】で、【愛の大聖霊】の武器化した状態だ」


「へええ……お姉様の【管理の大聖霊】みたいな小型槍の形してない~のね。まあ、それぞれの大聖霊に違う姿形がした武器がいても普通かしらね……」


「じゃ、オードリー。あれを先にぶちのめしに行くから、この中に待っていてくれよな?」


「ええ、勿論わよ。……それと、オケウエーー!行く前にちょっとー!」

「はい?」


「そのう………あたくしの事……助けて…くれて……が……と…」

「ん?声が小さいからこっちからはなんにも聞こえないんだけど、何を言いー」


「だ、だからー!さ、さっき……あたくしのピンチだった時を…た、……助けてくれたこと!……あ、ありがとうね!…ま、まあ~!あくまでも『友達として』助けてくれたことに関してだけだからねー!別に深い意味はないから、あたくしに友達以上の関係を望まないで欲しいわねー!ふーん!」


しどろもどろになりながらも何でか顔を赤くさせたままのオードリーからそんなことを言われたので、


「お、おう!それは前にも交わし合った決まり事じゃんー!一年間だけの『友達の契約』で。決闘に勝った俺の要求っていうのはそれだけだろう?」


「ええ、確かにそうだけど、でも人間って心があるでしょー?あんたの気が変わってあたくしに友達以上の関係を求めてきたら承知しないわよーー!?」


「あ…ははは……まあ、確かにオードリーは美人だし、強くて男の俺でもかっこいいと思ったこともあるし、身長もあまり高すぎず短すぎずで可愛いし、惹かれる要素は十分なんだが生憎と今の俺には恋愛がどういうものか分からないね。オードリーのことも今のところはただの頼り甲斐のある相棒しか思ってないから、まずは精霊術の訓練と勉強に専念していきたいだけ。それをやってからー」

ドーーーーーーーーー!!!


「恋愛がどうのこうの言う資格があるってもんだーーーー!!!」


バサアアーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!

『ギクゴオオオオオオオーーーーーーーーーーーー!!!?』


巨人のバケモノの身体に、【聖剣イーズベリア】を自分の得意とした、下から斜め上の斬撃で振るった。


それだけで、圧倒的な聖魔力が何十倍も濃く圧縮された密度が載せられた切りつけにバケモノの硬すぎる甲羅すらも簡単に切り裂き、緑色の鮮血が太ももと腰辺りから肩へと一線して噴き出していった!


『ギグゲエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーー!!!!』

シュウウウウウウウゥゥーーーーーーーーーー!!!!!


またも切断されてない方の腕から拳が振るわれたので巧みな【空中浮遊魔術】で飛びながら避けた俺は今度こそ、巨人の頭を狙って終わりにしようと剣を振るった、がー!


『ガギガゲケケーーーーーーーーーーーー!!!!!!』

ズウウウウウウウウゥゥゥーーーーーーーーーウウンンンンン!!!!!


いきなり口を開けた巨人のバケモノがその中から真っ赤な【反人力】の砲撃みたいな広範囲な波動を吐き出して、俺を呑み込もうとした、だがー!


【聖封第12、波殺斬気流十字切(ホリーシールナンバー12,ウェーブキーリング・ブレイドタービュランス・オブ・ザー・クーロス)】ーーーー!!!

詠唱言葉を唱えながら同時に聖霊魔術を発動した。


普段、唱え終えたから発動するのがベストだけど、間に合いそうにないので発動しながらの詠唱となった。


この『聖霊魔術』を発動すると、聖剣を自分の身体の中心に掲げると、十字の形をした聖なる大きくて真っ白い『聖痕』がすぐ目の前に展開され、敵からすべての『波動』めいた攻撃を無効化とし、霧散させられる能力を発揮できる!


「次!聖ーぶあー!?」

ゴドオオオオオーーーーーーーーーーーーーーー!!!!


次の攻撃用の『聖霊魔術』を発動しようとしたら、巨人の片方だけ残ってる手がいきなり下からのアーパーカットを俺に喰らわせ、直ぐ上にある天井にまで激突しそうになったところに、

パチイイィィィーーーーーーーーーーーーーーーング!!!


……………


「ふうぅぅ……。助すかった、イーズ!ありがとうな!」


『どうも。あれは……【剛力級の中の……最強部類】の【グリーン・ジャイガント・スイーパー】……だよ。滅多に現れない……だけど厄介』


イーズのいう【グリーン・ジャイガント・スイーパー】からアーパーカットを喰らいそうになったところ、どうやらイーズベリアにあそこの位置から遥か600メートルだろうか?の距離へと転移してくれた。これはあの【近距離転移術】って物理法則無視魔術よりもっと遠くへと転移してくれたものだな、イーズ!


「じゃ早くあそこへ。オードリーは未だにイーズが発動してくれたあの【聖護守英防壁(ホリー・ディーフェンシーヴ・エックセレント・ガーディングバリアー)】の中にいるから大丈夫そうだけど、一応あのバケモノが何か隠し玉を披露目してくるか心配だから早く戻らないとー」


『待て、オケ兄ちゃん』

「ん?どうしたんだよ、イーズ?」


『あの【グリーン・ジャイガント・スイーパー】……特質的な能力……ある』

「え? 特質的な能力って…それが何のものだ?」


『【死滅後全体絶対全快(コンプリートレーストレション・オブ・オール=ザーボーディ)】のはず……もし攻撃され死んだら……たちまち全体が全回復し、再生する能力……』

「ー!?だ、だったらー!」


『普通の聖魔力が載せられてる魔術……精霊魔術……一般的なものはみんな無駄……。だけど、イーズの【改:絶清大聖魔術技】一式なら……無効化できる』


「かい、【改:絶清大聖魔術技】ってヤツにそれができるとー!?なら、俺が今それを試してみてもいいのかー!?」

『もちろん……オケ兄ちゃんがこれ使ったら、絶対勝つ……だけど、今の素人のオケ兄ちゃんの実力なら……自身の体内に宿る聖魔力が……99パーセントも消費され、そして……最後は絶対、寝る』


「なるほどなぁ……消費が尋常じゃないレベルの切り札級の奥義か……」

でも、それ使わないと、あそこの巨人のバケモノが俺の聖剣による普段の攻撃を受けて死んでいっても全身が全快するように蘇るってイーズが教えてくれたし、やっぱり勝った後の俺が気絶するように眠ってしまうことにするしかなさそうだなぁ……


「じゃ、やってやるから使い方教えろー!」

『任せて、オケ兄ちゃん。実は……【改:絶清大聖魔術技】というのは……イーズ特有の【大聖霊級の精霊魔術】……いわゆる、オケ兄ちゃんも知ってるように、……一般的に定義されるようになった【聖霊魔術】であり……【精霊魔術】じゃないって……』


「それは既に分かってることだから、かいつまんでやり方だけ教えてー!あの巨人今すぐにでも撃滅して終わりにしたいんだ」

『焦らない、焦らない。……じゃ、やり方は簡単……まず、分かって欲しい事は、【改:絶清大聖魔術技】というのは……普段の聖魔力を消費しての【聖霊魔術】じゃなくて、……オケ兄ちゃんの聖魔力を【大聖魔力】という……聖魔力の上位互換を通して発動するもの』


「ー!?【大聖魔力】を通して発動ってー!?でもそんなもの聞いたことないぞー!?魔神を除いたら、すべての生命の体内に聖魔力だけが宿ると教わったんだよ、俺達はー!どうやったら【大聖魔力】を手に入れられるとか、体内に宿せるようになんだよー!?イーズ!」


『簡単な質問だよ、オケ兄ちゃん。いししし……。自分の聖魔力の殆どを【大聖魔力】に……変換するよう行うだけ……』


…………………………………


「うううおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!【改:絶清大聖魔術技、第1魔技段(マジック・アーツ=ステップナンバーワン・オブ・リニューアル:アブソリュート=クレンジング・グレートホリーマジック・アーツ)】、【全身聖白潔実大波壁】ーーーーーーーー!!!」


バコオオオオオオーーーーーーーーーー!!!!!


今、俺の身体を強烈で、神聖なる真っ白いオーラが半径30メートルに展開し、俺を中心に据えるこれは、禍々しい全ての【反人力】が載せられる攻撃方法を一切に無効化できる絶対的な聖なる光だ。


それだけじゃなくて、この【全身聖白潔実大波壁】という第一部類の【改:絶清大聖魔術技】には反人力を体内に宿してる生き物すべてに対してを触れさせる途端に、跡形もなく消し滅ぼせる効力を持つ。


つまり、反人力を世界獣だけが持っていることはそれが対象だ(でも、【伝説級の世界獣】ともなれば、使い手の力量と聖魔力の大聖魔力への変換量によって効力が左右されるとイーズが教えてくれたので、おそらく今のままの俺じゃ、まだこれを使ってあの氷竜を撃滅できないだろうな)


この大規模な聖なる光の円型障壁に包まれながら、俺は宙を駆け出して、真っ直ぐにあの【グリーン・ジャイガント・スイーパー】に向かって飛び出していく最中だ!


『キギキギギギカガガガケエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーー!!!!』


最後の抵抗とばかりに、巨人の頭、というか髑髏にあるその眼球二つから、赤色の壮絶なる細長い砲撃がこちらへとその威力が融合された大きなビームとなって俺の方へと放ってきたんだが、


パチイイイーーーーーーーーー!!!!

「無駄だーーー!!」


俺の障壁に触れた途端、まるで最初から存在していなかったかのように、成す術もなく一瞬で消滅させられた。


「これにて浄化されやがれーーー!!!禍々しき反人力の権化よーーーーー!!!!」


カチャアアアァァァアアアアアアーーーーーーーーーーーーーアアァアーーンンンンン!!!!!!

『ガキキキケケケケケーー!ケエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーー!!!?』


巨人のバケモノ、『グリーン・ジャイガント・スイーパー』の【剛力級最強】の世界獣のすぐ目の前に到達した俺は、自分の身体中から展開されている聖なる真っ白い光の障壁によって、ヤツが触れた途端、たちまちにーーーー!


シュウウウウウウゥゥゥゥゥ………………………………


まるで俺の死霊魔術の【死の壁】にでも触れたように、その巨人のバケモノは徐々に、跡形も残さぬまま、淡々と消えていくのみ。


……………………………………………


…………………


「ぐ―ッ!はあぁぁ…はあぁぁ…はあぁぁ」


もう立ってられなくなって、床に倒れた俺は全身から力が抜いていったかのように、指一本も動かすの億劫に感じる程に聖魔力の殆どを変換に使って、いますごく消耗してる状態だ。


「 はあぁぁ…はあぁぁ…はあぁぁ…はぁぁー」

「オケウエーーーー!!大丈夫なのーーー!!」

タタタタ…………


地面に倒れて動かなくなった俺に、オードリーが駆けつけてきた。


俺の消耗した状態が原因で、彼女を包み込んでいたイーズの【聖護守英防壁(ホリー・ディーフェンシーヴ・エックセレント・ガーディングバリアー)】が強制解除され、それでそこから出てきたオードリーが駆けつけてきたらしい(でも、あの障壁には前に見たヒルドレッドの聖霊魔術の障壁みたいに、中からは自由に外へと出られるんだってイーズに言われた)。


「はあぁあぁ……もう……聖魔…力が枯渇……眠くも……なったし……俺、寝る…ね?」

「オケウエーーーー!待て!寝る前にクレアリスがどこにいたか知ってるのーー!?」

おう、彼女かぁ……


確かに、上の階層、つまりここ……へと様々な通路や絶崖を昇って引き返してきた途中に、イーズの『気配察知能力』にて、クレアリスの聖魔力の波長を感じ取って、彼女の気配が徐々にここへと向かっていくのを確認できたので、すぐに戻ってくる頃合いかと思うんだが、今の俺はもう眠すぎて、一声も喋ることなく、俺はー


スウゥゥゥ…………………

「オケウエーーーーー!!………って、もう眠ってしまっただけなのね………」


まるで泥か鉛の湖の中にでも沈んでいくように、俺は意識を失うように、深くて重い眠りの監獄へと落ちてゆく……………


「お疲れさん、オケウエー。さっきのあれ……か、かっこよかった……わよ…ねっ」


心なしか、意識を失う寸前に、オードリーからそんな労いの言葉をかけられた気がしたんだけど、俺の気のせいだけだったかもなぁ………………………


……………………………………………………


………………………


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