二十七話:オードリーの本気の力
第二階層の【大試練の場】にて、オードリーの視点:
「クレアリスーー!! オケウェーーーー!!」
次々と襲われてきてこの場からいなくなったクレアリスとオケウェーに対する状況の逼迫した流れに焦燥感を覚えている私はただただ歯ぎしりをしながら、あそこで未だにヒルドレ達に攻撃の嵐を止めない『レッド・フーリックス』をどうにか先に撃滅するべきだという目標に意識を集中することにした。
どうやら、さっきオケウェーを襲ってきたあの床から突き破ってた大鋏が先端に生えている尾はあそこの『レッド・フーリックス』のお腹の甲殻表面から生え出て垂れ下がったりようになって、あそこから直ぐ直下の床をその尾で突き破って、遠くから伸ばされてきたそれがこっちの方の床を貫いてオケウェーに奇襲をかけてきたようなのよねー!
空中に吹き飛ばされていったオケウェーがなんでかあの壁に衝突しそうになったところに、壁を素通りしていったんだけれど、あれも何か一種のトラップだったでしょうわね。
でも、そのすぐ後、いきなり何故かあの長くて蛇の様に伸ばされたあの2本目の尾が『どこからの斬撃』によって、切り落とされたみたいだけれど、あれはなんだったかしらね…?
あそこに切り落とされた鋏のついてる最先端部分の尾が転がってるし、それで怯んだのか蠍のバケモノが急にお腹の中へと仕舞いこんだようで脅威がひとつ減って楽になったって感じわよね!
そして、そこの穴へと引きずり込まれていったクレアリスのことも心配だけど、今は目の前の敵の撃滅を優先するべき時わねー!
災弾五円陣撃だと、重なり合う60本の氷柱の発生が成す【大氷太巨柱】の氷結具合が広範囲すぎて、すぐ近くにいるヒルドレの障壁も破壊できて中にいるヒルドレ達を巻き込んじゃいそうだから使えないっていうのも分が悪すぎるわねー!せめてヒルドレがもっと鍛えられてからチームメイトになった方がいいけれど、今はないものねだりばかりしていても仕方がないし、別の方法でー
「お困りのようですね、オードリー様」
「ー!?誰―!?……え?あんたは……リルカなのー!?あんたも精霊術学院にー」
「話は後です。今、あの3人の命が危ないでしょう?わたしも彼女達の救援に協力すべく参ってきたまでのことですよ」
「ー!?じゃ、どうしたらこっちから攻撃をしかけたままあの3人を巻き込んじゃわないようにできるか、方法があるっていうのーー!?」
「はい、ありますよ。まずは、『具現化せよ、我が手元に一匹の白蛇となれ、ミルヴァシュティン』!」
それだけ唱えると、リルカという銀髪少女の手のひらには一匹の小さな白蛇が現れ、ちょこんと手の中で身体の首にあたる部分を伸ばして、
「シシシシャーー!シシシューー!」
まるで挨拶でもしてるように、オードリーに向かって頭を上下させながらそんな可愛い声を出してる。
「オードリー様もチームリーダーの一人としてご自身の支給されてきた魔道通信機を【異空間収納】に保管しているようですが、もう片方を持つのはあそこの3人ではなくオケウェー殿のようですねー?」
「ええ、そうわよ。それで?」
「じゃ、【異空間収納】は各個人の魔術使いや精霊術使いが自身達の特有とした『【純正聖魔力気】の波長』にて、発動したり保管するものだから、オードリー様の魔道通信機が保管されてるそれをあそこのヒルドレッド達に送ったり転移させたりすることは出来ないので、仮にもう片方の魔道通信機があっても遠距離からあの3人へ届かせることが出来ないでしょう。直接に近くまで届かせれば、あのバケモノの攻撃範囲に入るので。そして、投げていってもあの蠍のバケモノがその尾を長く伸ばして、叩き落としながら破壊できるでしょう!よって、最も成功率が上のわたしの精霊、 『ミルヴァシュティン』を通して、4人の声が互いに届くようにしますねー!」
「そうなのー!?助かったわよ、リルカ!」
「では、始めます!『公共交信声響』ーー!!」
…………………………
ヒルドレッド達の視点:
ガチャ―――ング!!!!ガチ―――――ング!!!ガチャ――――ン!!
「ぐっ~!もう手足も痺れてきてるし、聖魔力の保持量も大幅に減ってきてるし、何分まで持てれば【大
守白霊防壁】を解除していいんですのー!?」
焦燥感を募らせてるヒルドレッドの後ろ姿を見てるジェームズとジュディはつられて、彼女にずっと守ってもらってるという事実が二人の『足手まとい感』を否が応でも高まらせる光景となり、申し訳なさいっぱいの二人はなにか状況を好転させるために話し合っているところ、
「ジュディー!これ以上はヒルドレッド譲さんに悪いから、僕だけでもここから抜け出して、あの通路までに一本直進していこうっすよーー!」
「そんなの無理です、ジェームズ!だってジェームズは【身体能力強化】をまだマスターしてないんでしょうー!?ここから走って行ってもあそこの壁にある開いてる通路までは10秒以上もかかるはずー!その間にあの大っきい蠍からの遠距離砲撃が撃ってきたらどうしようー!ほら、あの尾からのさっきのビームってヤツでー!」
「だからといって!ずっとこんな障壁の中にいても埒が明かないだろうー!?ここ、透明だから外おこってること見えてるんだけど、あそこのオケウェー達がなんにも出来ないことを見るに、そしてついさっきどこかへと吹っ飛ばされ消えて行っちまったあの二人を見れば、契約精霊も『彼らみたいな才能や規格外っぷり』も何もかも持ってない僕達に、ここにずっと留まっていて何になるっすーー!?せめてヒルドレッド譲さんのお荷物にもならないように、ここから出てってあの通路まー」
「駄目ですわ、二人とも!出て行っちゃ駄目!ここはわたくしと……まあ、一応頼りにさせてもらったオードリーの方も信じてお待ちになって下さればいいんですのよー!」
「で、でもー!」
『みんな、聞こえますかーー!!』
「「「ーー!?」」」
「この声はー?」
ジェームズの疑問に答えるように、
『こちらはオードリー様とは昔からの古巣での縁を持っているリルカ・フォン・ゲブラーという者です!今、自分の契約精霊を通して、わたしとオードリー様からの実時交互通信ができる精霊魔術を使っているところです!オードリー様とみんな、作戦の提案があるのでよく聞いてくださいねー!」
………………………
……………
50秒後:
「おおおううううーーーーーー!!!行こうジュディ!作戦通りに真っ直ぐにあの通路へと走れーー!!」
「はいですー!もう直ぐ入れますね、あそこへーー!」
今、僕達はさっきオードリー譲さん達の考えた『例の作戦』を敢行して、ただただ一心不乱にあの壁が開いてる中へと招き入れるっぽい通り道を目指して絶賛走行中のところっす!
「5秒、4秒、3秒ー」
フシュウウゥウーーーーーーーーー!!!!
「ジェームズーー!!避けて下さいーーーー!!!蠍からの唾がーー!唾ーーー!!!」
「ーー!くっ~?しまったー!」
あの蠍が頭をこっちに向いてさっき見せたあの水流速度の速い唾を吐き出して僕へと撃ってきてるのを見たので、早く走るスピードを上げていこうとしたところに、いきなり足がクリスタルの大きいな破片に躓いて、少しだけよろめいてしまったーー!
でも、この一瞬の油断が命取りにーー!
シュウウウウーーーーーーー!!!
「ジェームズーーーー!!!」
ああー。これ、駄目なヤツ……
まるで走馬灯が流れるように今まで人生で起きてきた様々なこと……
僕が小さい頃から何度か貴族の坊ちゃん共にイジメられた時……
作家の父さんが『あれ』を書こうとしてフロンドハイット男爵に仕事場を荒らされ断念させられた日の八つ当たりで僕へと発散してきた時……
そして、去年の春休みの頃でもまたも近所の同じ平民な子達に自分に魔術や精霊術の才能がないと罵られ、それで文句言って反撃してみたら最後は増援を呼ばれて、半殺しまでにボコボコされて4か月間以上も全快治療の期間を費やして…………
何もかも上手くいかない人生、暴力を振るわれるばかりの僕に、つい、お迎えがくるんっすねー!
「ジェームズーーーーー!!!」
ジュディの声が聞こえてきたけど、もう駄目だわ僕。
だって、死ぬもんは死ぬものなんだろう、ううぅぅぅぅ………
バザバザバサーアアーー―――――――!!!
「諦めるな少年ー!それでも精霊術学院の片方初めての男子生徒かー!?」
「ーー!?え?誰だお前―!?」
よろめいてしまって地面に手足がついてる僕に、『レッド・フーリックス』から吐き出されてきたあの毒性と溶解性の高そうな唾が届く前に、どうやらそこに着地してきた子が何かの……『精練魔剣』らしき長いロングソードを握って、消し滅ぼしたようだ!
「あたしはシャルロットだね。シャルロット・フォン・グーズケンハイムって子爵家のものだよ。さあ、立て、ジェームズ・リッチモンド!あの大穴まで直ぐ目と鼻の先でしょ?」
僕に手を差し出して立ち上がらせてくれたのは凛々しいまでにかっこいい雰囲気を纏う男勝りな赤い髪の毛ロングヘアを持ってる少女で、どこか愛想笑いが苦手なようで、事務的な微笑とシリアスと憂いがすべて混沌的に混じってる微妙な表情を向けてきてる。
「助けてくれてありがとうございしたっすー、シャルロット譲さん!ちなみに、何年生の人で?」
「あなたと同じ1年生なんだけど?」
「ほえー!?本当っすか、それー!?同い年なのに強すぎるっすよ、さっきの……『精練魔剣』だったっすよねー?」
「うむ。…じゃ、あなたのことも助けてやれたし、『レッド・フーリックス』の始末をオードリー様達が完成するまで待機任務に戻るね!」
「ああー!ちょー」
タ―――――――!!
それだけいうと、直ぐに【空中浮遊】の『物理法則無視魔術』を発動して、上からの遊撃待機兵とでもいうようにあそこの一か所だけで空中浮遊したまま動こうとしない様子。
というか、あの赤い色の髪の毛って、確かに東方方面の隣国である【ゼールドリッチ=ヴォールフガング帝国】からの留学生だったっけ?赤髪なら、あの国だけが主流人口を占めてるからね、大陸全体で。
それにしても、C組にはいないようだけど、もしかしてA組の子なんっすよね、シャルロット嬢さん!
「ジェームズ、大丈夫ですかー!」
「うっす!宙に浮かんだまま突っ立ってるあそこの子が助けてくれたからっすー!」
「私も見てきたんですけど、オケウェーさん並みにかっこよかったですね!魔剣をあんなにガンってー!一振りしただけで唾を消しちゃったってあれ!」
「本当にすごかったっすよね、ジュディ!さあ、彼女の努力が無駄にならないように早く中へ入るんっすねー!」
「うんー!」
ジュディをつれて、一直線早くあの通路へと駆けていく僕達。
…………………
オードリーの視点:
「あれを氷漬けにしなさい、ベネーー!!」
「ぐらおおーーーーー!!!」
プーシュウウウウウウゥゥゥーーーーーーー!!!!
戦術通りに、私は前にオケウェーに胸を触られた時のと同じでベネを氷の竜巻を纏うように【氷結竜巻】という精霊魔術を放った。これは聖魔力の消費量が小さくないけれど、今回は怒りに任せた発動じゃなくて勝算ありきの戦術なので、気合いがいっぱい入った!
カチャーー!カチャカチャカチャカチャカチャアアーーーーーーーーーーーーング!!!!
そう。
リルカに勧められた通りに、【氷結竜巻】を発動してベネを直接にあのバケモノへと至近距離で氷漬けにするよう指示したの。
確かに、至近距離での【氷結竜巻】は威力が抜群だからあの『聖魔力耐性10倍の尾』がついてる熟成体の『レッド・フーリックす』でさえ上回るダメージを喰らわせられるわね。
問題はその威力が絶大すぎて、今の実力を持ってるヒルドレなら近くに【氷結竜巻】の影響下に合って10秒以上も障壁を保てないでしょうって思ってたから平民組のために使えなかったけど、リルカの友達、……あのシャルロットが一緒にやってきたのなら、通路へと平民っ子二人が駆け出していっても助けられると提案してきたから、やっと使うことにしたわよね!
なにせ、精霊魔術の障壁を【氷結竜巻】で破壊されても、精霊術使いとして精霊魔術に対する耐性がついてるだけじゃなくて強靭な肉体まで持ってるヒルドレならなんとか全身が氷漬けにならないように抵抗できるけど、ジュディ達はそうじゃないので、私がベネを【氷結竜巻】にして襲わせるためにはあの二人が先に障壁から抜け出していってもらう必要があったからわね。
障壁の中にいると、【氷結竜巻】から距離が近いそこには10秒間も立てば障壁が私の強いベネが発生させた氷の竜巻によって破壊され、その絶対的な零度を発揮した途端あの平民組二人までを氷漬けにしてしまうはずわよね!
そのお陰で………
シュウウウウウゥゥゥゥゥゥ……………………………
やっとあの醜くて仕方ない顔してるバケモノをついに氷漬けにできたー!
あの先端の穴から聖魔力を吸収できる尾にも対処することができず、巨大蠍全体がもう氷の骸と化したようなのね!はははっ!私達に散々手間をかけさせた事に対する罰みたいでザマだわー!
ビキー!
え?
ビキー!ビキビキ―!!
そうだった!
魔術も精霊魔術もどっちもが引き起こした現象に、必ず聖魔力を使い手から消費して、またはその引き起こされた現象にも聖魔力の残滓が大幅残ってるわよね。
だから、凍り付いてる尾の全長に、先端部分だけが意外にも頑張ってるようで吸収機能のある小穴に、その中身へと凍りつかれないように必死に抵抗して『聖魔力が融着してる氷』を吸収してるみたいだ。
「だから、尾の先端部分の凍えた箇所だけひび割れが始まったようなのねーー!」
でも、そんなことはもうさせないし、許さないわよー!
『ヒルドレーーーーー!!!』
『お、オードリー?一体何なんですのー!?人の名前をそんな大声で呼んでー』
リルカの『公共交信声響』にて話しかけた私に不満いっぱいの返事を返してきたのを気にせず、言わんとしてることを続ける、
『もうジュディ達があそこの通路へと入っていったはずわよねーー!?だったら、その場から離れて、二人を護衛する形であんたもあそこへ入って頂戴ーーー!!もう『レッド・フーリックス』のことも少ししたら私が単独だけでもぎったんぎったんにしてやるから、今あそこの通路の中に危険がないか二人を援護して頂戴ーーー!!』
『まあ、誰が貴女からの命令をー』
『決闘してやるわよーー!』
『え?』
『だから、決闘してもいいって言ってるわー!これでいいでしょうー!?』
『…まったく…貴女も人使いの荒い女で困りますわね。まあ、今回だけですからね!そして、約束ですわよね、貴女の言葉で!』
『ええ、頼むわ、ヒルドレ……昔からのよしみで、そして……ずっと良きライバルにいてくれること……って、何言わせようとしてんのよ、そこのバカヒルドレー!さっさとどっかへ行ってしまえー!』
『おほー!まあ、せいぜい一人で頑張りなさいな!二人の事は任されたから行~っきますわよーーー!!』
カチ――――――――――ン!!
タタタタ…………
障壁を解除した途端、真っ直ぐにあそこの通路へと走り出していったヒルドレの姿が見えた。
「さて、後始末の時間わよー!ベネ!!」
「ぐらおおーーーー!!!」
「【大斬切撃氷巨刃(グレート・カッティングアッタク・オブ・ヒュージュアイスブレイド)】ーーーーー!!!」
かちゃーーーー!!!!
シュウウウウウゥゥゥゥウーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
【大斬切撃氷巨刃】にて、宙に跳び上がっていった真体姿(トゥ―ル・フォーム)のベネを一本の柄のない大型の巨大な刃に形を変えた後、すぐにそれを身体の大半が凍ってるレッド・フーリックス目がけて飛翔させていった!
ガアチャアァアアァァーーーーーーーーーーーーーーーーンンング!!!!!!
当たった瞬間、山のような氷の塊と化したあれがたちまち砕け散り、氷片となって何分か分からない間で霧散して消えていった。
「ふぅぅぅ………」
『終わったべ、オードリー主!』
「ええ、見事だったわよ、ベネ。さあ、早くオケウエー達の救ー」
シイイイイイィィィィーーーーーーーーーーーーンン~!!!
パチー―――――――ン!!!パチー――――――ン!!!パチー――――――――ン!!!
「へえぇーーーーーーーーー!!?なにが起こってるのーーーーー!?」
言葉を言い終える前にいきなり耳鳴り音が聞こえてきたかと思うと振り向けば、あそこの『水があった元湖』で強烈な緑色の光源が3本も出来上がり、そしてパチンっという破裂した音が3回も炸裂した後、
「ギロオオオオアアアアアアーーーーーーーーーーー!!!!!!」
「グラオオオオーーーーーーーー!!!!」
「キルウオオオオオオオオオオーーーーーーーーー!!!!!」
周りを眩しく緑色の光で照らしていたけど、ついに光が収まってきて中から出てきたのがさっきのと同じ蠍姿の巨体な3体の世界獣なんだが、前の個体と違う点をあげようとすれば、今の3体の方は頭の方にもっと醜くない虚ろな真っ黒い穴のような二つの目と鼻があり、顔全体がなにかの不気味な人形を思わせるもの。
そして、もう一つの相違点は、今回の巨大蠍の姿に、3体すべてが赤色ではなく、真っ白い色をしていることにある!
「あら、今度は『アイス・フーリックス』のお出ましかしら?……丁度いいわよね。ヒルドレ達の安否を気にしたり守ったりする必要がなくなった今の私なら、思う存分鬱憤を晴らせるわね!!あーーはは!」
次々と強力な【剛力級】が出現しっ放しってことは確かに前の仮説通りに、ここルネヨー・フラックシスにおける【樹界脈】の全体が変容してるなら世界獣の出現率も高まったって可能性が濃くなってるわよね!
今、巨大な蠍が今度3体までも現れて、独りになった私へと睥睨した佇まいで徐々に近づいてくるのにも関わらず、表情を冷静沈着そのものを浮かべる私が次に取る行動は、きっとあの『アイス・フーリックス』を自分達の存在が如何に矮小であるかを思い知るものとなるでしょうわね!
「前の決闘はただの遊び程度だったけれど、今回は本気の全力だわーーーー!!」
それだけ言って締めくくる後、
「大氷結の地獄に落ちよーーーー!!【大災乱弾三十円陣撃】ーーーーーーー!!!!」
ベネを手元に呼び寄せ武器化した私がとっておきのすごい『精霊魔術』を発動するために詠唱を一気に済ませたわ!
ビュー―ンビュー―ンビューン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!ビュー―ン!
シュウウウウウゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーー!!!
オケウエーと戦った時に見せたあの【災乱弾五円陣撃】よりも回転してる魔法陣の数が6倍までに膨れ上がった様は見る者を感嘆としたものに見えるでしょうわね!
あれの上位互換であるこの【大災乱弾三十円陣撃】には氷結の能力が巨大すぎて、本当に使うべき場面にしか使っちゃいけないって去年の秋休みでやっと習得した時に分かったことだわ。
確かに、目の前の3体の『アイス・フーリックス』の【魔術属性】は『氷性』であり、同じ属性を持つ私のベネなら分が悪いと思う人もいるでしょうわね。
だけど、同じ属性に対して耐性をある程度もっていても、それが自身より巨大すぎる『力の差』、純粋なる『発動時における聖魔力の全消費量』が桁外れな大規模魔術に攻撃されたら、たとえ同じ属性に対する耐性があろうとも、簡単に格の違いでそれらすべてを上回れる破壊力を発揮するはずだわ!
だから、この3体のいずれかは強力な魔術耐性の尾を持っていても、私の本気の『精霊魔術』にかかれば赤子の手をひねるみたいにできた!
バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バン!バ!バ!バ!バ!ババババババババババババババババーーーー!!!!!!!
カッチャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!
すべての360発の中型氷弾を撃った後の目の前の光景はただただ、真っ白くて、神々しいまでに見える純然たる氷殺の巨大氷柱が大きな山さながらの風景を醸し出している。ターゲット3体の掃滅、確認できた。
「さて!」
ぱちー!
手指を鳴らすと、
ガッチャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
たちまち氷の大塊と化した3体が惨めにも崩れ落ちてなくなった。
世界獣は強ければ強い程、上級であればあるほど、滅ぼされた後の亡骸が早く霧散して消える。10秒以内で。
「これで華麗に片付けられたわね。ご苦労わ、ベネ!」
あの3体も私達の力を前にしたら成す術もなくそうなったわよね。
さすがに同じ属性でもあの氷竜マインハーラッドの方が何十倍も遥かに強いから、こんな3体の【剛力級】でも単独に討伐できなければ、先が思いやられるわね、まったく!
なので、これにて『訓練終了』ってところかしらー?
早くオケウエー達を探すなり、先生に救出を頼むようにしないとーー!
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